ラパロスコピストの夢

大阪梅田で子宮内膜症と闘うラパロスコピストのblog
子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩するのか?

はじめにお読みください

健保連大阪中央病院に勤務するラパロスコピスト(腹腔鏡術者)のブログです。婦人科腹腔鏡下手術、子宮内膜症、慢性骨盤痛等の治療を専門としています。

このブログでは腹腔鏡下手術、子宮内膜症、子宮筋腫に関する基本的な事柄については解説していません。まず、下記のウェブサイトをご覧になることをお勧めします。
日本子宮内膜症協会
子宮筋腫・内膜症体験者の会 たんぽぽ

手術を希望される方はこちらをご覧ください。

医療相談、ご質問にはお答えしませんのでご了承ください。

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─ Two-stage pass:一度出す ─TLHへの私のこだわり9

2025-01-24 | 腹腔鏡
今回は、TLHにおける腟断端縫合の運針で、私が実践しているTwo-stage passというテクニックについて解説します。

Two-stage passとは?
縫合の際、組織が固かったり、左手がうまく寄せようとしても、一度で深く運針するのが難しい場合があります。このような場合に、無理に一度で運針しようとすると、浅い運針になってしまい、組織をしっかりと寄せることができず、腟断端離開のリスクが高まる可能性があります。そこで、私はTwo-stage passを採用しています。


これは、前壁と後壁を二度に分けて運針する方法です。簡単に言うと、一度針を出して持ち直すということです。

Two-stage passのメリット
一度で運針した方が早く済み、持ち直しもないので心理的にも楽です。一見すると早くてカッコよく見えるかもしれません。しかし、浅い運針になりそうな時には、Two-stage passを採用することで、深くしっかりと運針し、創部を正確にしっかりと寄せることができます。

もちろん、毎回Two-stage passを行う必要はありません。しっかり縫えるのであれば、One-stage passで問題ありません。かし、「ちょっと寄りにくいかな?」と思う時には、Two-stage passを採用することで、より安全で確実な縫合を行うことができます。



早さよりも確実性を
私は、早さよりも確実性を重視しています。「ちゃんとやっておきたい」という気持ちから、Two-stage passを採用しています。筋腫核出術でもこうすることで、しっかりと子宮筋層を縫合し、安心して妊娠出産を迎えていただくことができます。小さなことにも手を抜かないでおきたいですね。😊 
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