ラパロスコピストの夢

大阪梅田で子宮内膜症と闘うラパロスコピストのblog
子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩できるか?

はじめにお読みください

健保連大阪中央病院に勤務するラパロスコピスト(腹腔鏡術者)のブログです。婦人科腹腔鏡下手術、子宮内膜症、慢性骨盤痛等の治療を専門としています。

このブログでは腹腔鏡下手術、子宮内膜症、子宮筋腫に関する基本的な事柄については解説していません。まず、下記のウェブサイトをご覧になることをお勧めします。
日本子宮内膜症協会
子宮筋腫・内膜症体験者の会 たんぽぽ

手術を希望される方はこちらをご覧ください。

医療相談、ご質問にはお答えしませんのでご了承ください。

おすすめの本はこちら?ブックス・ラパロスコピスト

正確で精細な手術を目指して

2025-01-07 | 腹腔鏡
病院のホームページには、私の『手術に対するモットー』として「丁寧な手術をすること」と記載されています。これは、腹腔鏡下手術において、時にラフな手術操作が見受けられる現状を踏まえたものです。もちろん、丁寧な手術を心がけることは重要です。しかし、いくら丁寧に手術を行っても、技術が伴わなければ、結果としてラフな手術になってしまう可能性があります。 

そこで私は、「丁寧な手術」をさらに進化させた「正確で精細な手術」をモットーに掲げようと思います。それは、単に丁寧なだけでなく、解剖学的構造を正確に把握し、緻密な操作によって、出血や組織損傷を最小限に抑える手術のことです。 

下記の画像は、腹腔鏡下子宮全摘術において、右の尿管と子宮動脈を同定しているところです。尿管の走行が明らかになっており、尿管を包む外膜がはっきりと同定できるのがわかると思います。これが出来るのは自分がイメージしている層を正確に剥離しているからであって、いくら丁寧に手術をしても正確で精細な操作ができなければ、剥離層は虎刈りのようになり、しばしば尿管は一部でしか同定できず、まったく意味のない手術操作になることは珍しくありません。
 
このように、精細な手術を行うことで、 
  • 術後の合併症リスクを低減 
  • 患者の回復を促進 
  • より安全で確実な手術の実現 
などが期待できるのです。 私たちは、常に「正確で精細な手術」を心がけ、患者さんにとって最善の医療を提供できるよう、努力を続けていきます。 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする