縁側間倉の細々手帖

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【遊戯王マスターデュエル】「カジュアル」を考える

2022年07月25日 23時49分51秒 | 日記

遊戯王マスターデュエルにて、今日の告知でカジュアルマッチの実装が発表されました。

そもそも今までランクマッチと対になるマッチングシステムがなかったのがむしろ意外だったのですが、これにてルーム以外で勝利のために全てを捧げる以外の選択肢が出てきました。
 
ただ、カジュアルマッチはほとんどの確率で期待通りにはいかないと思ってます。
それにはいくつかの「誤解」があります。
 
誤解『カジュアルマッチは実力が近いデッキと出会える場所』
遊戯王というカードゲームは歴史の長さと同時に「1つのパックに強さの異なる複数のテーマが存在する」ことが長らく続いてきました。
これはマスターデュエルでの追加パックを見れば解りやすいと思います。【軍貫】や【魔鍵】で【相剣】や【ふわんだりぃず】に勝てるかと聞かれると熟達の人でも困った反応をするでしょう。あるいは「メタを張れば」「そのデッキだけを見るなら」と言われるでしょう。
そしてそれはランクマッチで用いられるデッキだけを軒並み使用不可にしても変わりません。その次に強いデッキたちがそれ以外のデッキを駆逐するだけです。
そういった「強さの段階」が地層の如く積み重なっているのが現代の遊戯王です。
現実のフリー対戦ではこの「デッキごとの実力差」を人の知識で合わせたデッキを選ぶことで「デュエルが成立する実力差」を成立させているのです。
カジュアルマッチにおいてはこの「調整」の機能が存在しないため「実力が同程度」のデッキに巡り合う可能性は低くなります。
レートの概念も存在しないため、シンプルに「強いデッキは自分より弱いデッキと当たりやすい」「弱いデッキは自分より強いデッキに当たりやすい」マッチングが実現します。
おそらくカジュアルマッチを望む方にはここを誤解している人も多いのではないでしょうか。
ちなみにデッキの強さを計算することはシステムには不可能なので「同じ強さでマッチングさせる」のは土台無理な話です。
 
誤解『カジュアルマッチでは手札誘発や妨害がいない』
これは明確にNoです。
なぜなら「先行後攻を問わず1ターンキルを行うデッキが存在する」からですね。
例えばbotで有名になった【イグナイトワンキル】がありますね。これは人の手で開発されたもののうちbotでも扱えるものが利用されたに過ぎません。
先行でぶん回すデッキには先行制圧もあります。
例えば《ハリファイバー》と《アウローラドン》を用いた展開のセットは現時点では特に規制されていません。(むしろ先日の追加パックでサーチを封じる《超雷龍》が出てくるようになりました)
むしろ先行制圧は格上にも勝てる可能性を提供しているとすら言えます。
そして、これらに対抗するためには手札誘発は必須です。それゆえに手札誘発は一定の確率で使われます。(使わない人はこうしたワンキルを全て諦めた人だけと思ってください)
では「同じ強さなら手札誘発を使わない選択はできないのか」となりますが、それもできません。
デッキに入れてしまったカードは引いてしまうものです。そして引いてしまったものは使わなければそのぶん損をします。
つまり、「自分は手札誘発を入れていないのだからお前は手札誘発を引いても使うな」と求めるの「引いた手札誘発ぶんだけお前の手札を少なくしろ」と言っているのとまったく変わりません。
なので加減はしてくれるかもしれませんが負けそうな時にはさすがに使われます。それは「手札誘発を入れている悪いやつ」ではなく「手札誘発を今まで使わないでいてくれた優しい人」です。
カジュアルマッチだから手札誘発や先行制圧は来ないと思っている人は安心してください。手札誘発も先行制圧もカジュアルマッチにはあります。とはいえ当たる確率が少なくなるとは思います。
 
誤解『ランク用のデッキはカジュアルに来ない』
これはめちゃくちゃ都合のいい誤解です。
カジュアルマッチはどんな目的で来ても許される場所です。
蹂躙することが目的で環境デッキを使う人もいれば、新しくランクマッチで使うための練習や試運転として持ち出す人もいます。
したがってこのようなデッキと当たった時には「目的が違うんだな」と思って諦めましょう。無理に付き合う必要もありません。サレンダーは正当な権利です。
 
誤解『ランクで活躍してるカードはカジュアルマッチには来ない』
これも都合のいい誤解です。
例えば《鉄獣抗戦》ってめちゃくちゃパワーカードがありますよね。あれって種族が対応していればどんなデッキにも入りうるんですよ。
例えば【紋章獣】で《ユニコーン》を使い回したり《レオ》の効果を使うために《抗戦》と《鉄獣戦線》リンクモンスターを採用するのはまっとうなひとつのアイデアなんです。
他の例として【LL鉄獣】がデッキあります。あれは星1の鳥獣族であるLLがたまたま《ナーベル》を引っ張り出せるって理由でドッキングした結果「強いテーマと強いテーマが手を組んだ」形になっただけであって「相性の良いカードを組み合わせる」という全てのプレイヤーに許された当然の権利を正しく利用しているに過ぎないのです。
ただポケモンでたまに聞く「最後に好きなポケモンを抜いたら完成です」みたいなことが遊戯王でもよく起きるんで、その葛藤に踏み込まないよう頑張ってるプレイヤーも少なからずいます。
飲まれない程度に上手くワンポイントで活かしてるデッキにはトラウマと同情を隠して称賛を送ってあげてください。(伝える方法はないんですけど)
 
だいたいこんな感じですかね。
まとめるとこんな感じです。
「カジュアルマッチは誰がどんな思想で使ってもいい」
「同じ思想と近い実力という条件が揃った時にデュエルが成立するマッチング仕様」
「強いと分かってるカードは相性次第でどこでも見かける可能性がある。なぜならそのカードは強いから」
「手札誘発は負け戦を減らすための当然の権利」
 
個人的にはもう少し凝って勝率でマッチングくらいはしたかったなと思うところですが、とりあえずカジュアルマッチそのものの実装は今後の展開も込みで期待しています。
 
最後に現代遊戯王と遊戯王MDにおける手札誘発の実情を紹介して終わろうと思います。
ランクマッチなど勝利を争うことが本命である環境では手札誘発は必須カードになります。
もしサイドデッキも含めて手札誘発の入っていないデッキが入賞したら「手札誘発なしで挑んだチャレンジャー」ではなく「手札誘発を入れられない事情のあるデッキだった」「汎用的な手札誘発の役割を担えるカードがデッキの中に存在していた」と考える方が圧倒的に正しいです。
しかし、カジュアルな場面では手札誘発は常に飛び交っているとは限りません。
というのも、手札誘発は現代インフラの割に高いカードです。
すべてのデッキに3枚入るというのに大して供給量やレアリティが優しくないんですよね。デュエマの《フェアリー・Re・ライフ》くらいにはばら撒いて欲しいんですが。(ちなみに増殖するGだけは割と安価です)
そんなわけで「何枚あっても足りないのにそんなに買ってられないので入れられない」という現象が当たり前に起きています。
そのために身内レベルで「手札誘発はガチ構築のデッキだけ」「手札誘発そのものをやめよう」といった提案がされることが結構多いと思います。
そもそも手札誘発と対抗手段の投げ合いそのものが不毛だと感じる人も多く、カードの供給不足という環境がこれらの意見を後押ししている感じです。

しかし、マスターデュエルでは事情が違います。
ランクマッチ用に作った手札誘発は特にそれ以上の対価を払うことなく他のすべてのデッキで利用できます。
手札誘発を持っている人はこれから作るすべてのデッキに手札誘発を入れます。
そのため「手札誘発を入れない」理由が弱く、上記の通り「何もできずに負け盤面を作られた」を防ぐためにも手札誘発は十分量入れる人が多いと予測されます。
なので「手札誘発が存在しないマスターデュエル」はデュエルルームでもない限り存在しないと言って過言ではありません。
手札誘発を入れない人も「手札誘発がある」想定でデッキを組まざるをえないのです。
 
手札誘発自体「先行展開が強すぎる」という理由で作られた概念であり、それ自体ももう10年以上前です。
今更手札誘発なしの環境は作れません。モンスター効果が連鎖する環境も遅くすることはできれど弱くすることはできません。
 
遊戯王というカードゲームとしても、そういった環境を嫌いレガシーな環境を求める人のために「ラッシュデュエル」というものを作ったのだと思っています。
ラッシュデュエルは結構好評な声が多いので「遊戯王はダメだ」と思うならば一度体験することをおすすめします。
 
改めてこんなところですかね。これでカジュアルマッチへの誤解が減れば幸いです。
それでは。


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