処感

日々、想うままに綴る言の葉の置き場
My dear Life!

*光と影が交錯した一日…。

2005-02-10 00:12:26 | エッセイ
今日は濃い霧から始まった。真っ白な外の光景は何時見ても幻想的。
いくら寒い日が続くと云っても、季節はこうやって確実に動きだしていると
実感できる。真冬はもう去りつつあるのだ。そう予感する。

職場の朝の会議で一人の同僚が今月一杯で退職との報告があった。
詳細をここに記す事は差し控えるが、理由は仕事をする上で問題があり、これまでも
何度も上司から注意・指導をされたが改善をする様子も見られなかったという故であった。
私や他の同僚も彼女が入って以来 出来る限りフォローをし続けて来たが(苦笑)
甚だ残念なことにいつもそれは虚しく空回りし、真直に彼女に伝わる事はなかった。

勤務時間内は仕事に専念し集中するのが当然と認識しているが、そうではない方も
おられるのが残念で仕方がない。責任感・問題意識を持っているかいないかでかなり
仕事に対する取り組みが違って来るのだと確信しているが、そういう「意識」を
持たずにこれまで生きて来た方にそれを求めるのは酷な事なのだろうか…。
主婦ではあるが、仕事をしている間は「仕事人」である。甘えなど通用するわけがない。
その仕事に対して誠実に取り組むかどうか…しかないと思う。
会社はボランティアではない。営利と効率を求める場である。会社に対して利益を
もたらす事がつまりは自分に還元されて来るのである。
(情はもちろんその場にはあるが程度問題だと思われる)
報告の後、暫く空気が重たく感じられたが、仕事が始まってからは忙しさに紛れ
いつも通りの流れになった。

帰りの電車を待っている時、一人のお年を召された女性が私に電車の方向について
尋ねられた。何か気が動転されているご様子だったのでゆっくりと言葉を選んで
彼女に伝わるように話したら、その方はホッとされたのか、唐突に事情を語り始めた。
ご自分の娘さんが病に倒れ入院してしまったとの由、心配でたまらなくフワフワと
してしまって何時もなら間違えない電車の行き先がどうしてもわからなくなってしまい
途方に暮れてしまっていたのだと一気に私に伝えた。
同時に、その方はみるみるうちに目に涙が一杯になってしまったので私は思わず
何の根拠もないのに「大丈夫ですよ、きっと大丈夫。」と、彼女に対して言葉を掛けてしまった。
(そうでも云わないときっとその女性は電車にも乗らないかもしれないと心配になったから。)
これから病院に向かうとのことだったので「きっと、お母さんのお顔を見たら、お嬢さん
ホッとして安心なさいますわ。」と、来た電車に一緒に乗り込み、彼女が降りる駅まで
同席して励ました。その方は降りる頃にはずいぶんと気分が落ち着かれたのか笑顔で
「ありがとうございました。お陰で病院へ行けます」と仰った。
…心から「お大事に」と私は答えた。

一年以上共に職場にて働いた同僚には伝わらなかった思いが、見ず知らずの方には
ホンの数分であるのにかかわらずキチンと届いた…その事に私は少し励まされた。

まるで、光と影…。人という存在の複雑さに今更ながら畏怖の念を抱いた。



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