E&Aタンゴクラブにおいて、なぜか渋谷スタジオは特に男性の割合が多い。
先日の7日はユージンとアシタントのブッキー含めて男性が10名。
なんと男性が二人ほど女性より多い状態。写真右端はよく見ると男同士だったりします(笑)。
実はブエノスでも男性がクラスに多いのはよくある光景。やはり男性は女性よりも数倍頑張らないと女性には追いつかないということでしょうね。。^^;
「男性が多い」ということでちょっと思い出した事がひとつ。
タンゴを始めて数年、ミロンガへも通うようになり、いろんなタイプの男性とも踊るようになった「女性達」から私が講師として最近よく言われる事があります。
「男性達にステップより音を優先して躍らせてくれるような指導をお願いします!」とよく言われる。これは当たり前っちゃあ当たり前なんだけど、タンゴという音楽があっての踊りですからね。男性のリードする踊りに音楽性がなければ女性にとって「苦痛」でしかないのも確かに事実。しかし、音楽性と一言にいってもショーダンサーが見せるような表現をそのまま真似して男女ともに眉間にシワをよせながら、意味もなく情熱的にポーズをとればいいってもんでもないし、音を外してしまうのを恐れ、ずっと同じテンポのサリーダとオーチョだけじゃ進歩が無いし、それじゃあ踊れる女性は1曲で飽きる。変化のないサリーダやオーチョのみを羅列するくらいなら音に合った上での自由に歩くカミナンドのほうがずっといい。
つまり、素敵なシルエットを保ったまま、多くのパソを正確かつソフトなリードでストレス無く踊らせる事ができ、更に音楽性を持たせられれば何も問題はないわけだが、当然、一朝一夕では難しい。
まず、タンゴダンスってなんぞや!?ってとこから簡単に考えると、驚くほど歴史は浅く、古き伝統を重んじるいわゆる伝統芸能でもないし、フォルクローレのような民族舞踊でもない。タンゴという音楽もダンスも様々な移民達が集まることによって生まれた近代的な社交的娯楽と言えると思います。それは現在でも変わらず、ブエノスでもタンゴを踊るのはほとんどが外国人であるというのは周知の事実。もともと貴族的な規制に縛られながら発展したものではないので、確実にこうじゃなきゃいけないというような形式的な決まりもないし、全てがまったくの自由な為、とらえどころも難しく曖昧。しかし、あくまでタンゴダンスというのはタンゴを踊る多くの人達により統計学的に少しずつ形創られてきているので、暗黙の了解っぽい決まりがかろうじてあるくらい。ということで、現地ブエノスでもタンゴを教える先生によって180度、指導法や見解が違ったりするのは当たり前だし、ステップの名前などはあってないようなもの。いわば言ったもんがちなので、新しいステップの名前などは次々と生まれてます。が故に多くの個性が発生し劇的な発展を遂げたりすることで芸術面も日進月歩で向上します。一言ではとても言い表せませんが、まだまだ未開である部分の神秘性や媚薬にも例えられるような中毒性などもタンゴの大きな魅力。またタンゴには自由な芸術的要素が多く含まれており、踊り方のメソードや表現法などは個人の好き嫌いに大きく委ねられる為、タンゴを踊る人の多くは同時に「評論家」でもあり得るのです。
文章にするとなんだか小難しいですが、簡潔にすると
「タンゴという大衆音楽で男性と女性が愉しんで踊る。」
だけのことなので、過剰に構えて気負う事はないということを言いたい訳です。
「心地よいアブラッソ、安定感のあるムーブメント、ソフトかつ明確なリード、曲のイメージに合った音の取り方やステップ、レディーファースト、人としてのコミュニケーション」←勿論これで全てではないですが、少なくともこれらのことを男性は気をつけるだけで、レッスンもミロンガも更に楽しくなると思います。
逆に信奉的な理論武装によって「型」に囚われ過ぎると自由を失い、極端にタンゴがつまらなくなってしまう事もあるので、あくまでタンゴダンスは娯楽だということを忘れず、「感覚的に楽しむ」というのが大切なのではないでしょうか。
ちなみに私がタンゴを踊るのは「楽しくて気持ちいいから」です。
至ってシンプルでしょ?
アルゼンチンタンゴダンス・ユージン&アリサ