「白秋」に想ふ―辞世へ向けて

人生の第三ステージ「白秋」のなかで、最終ステージ「玄冬」へ向けての想いを、本やメディアに託して綴る。人生、これ逍遥なり。

ミネルヴァの梟は黄昏時に飛ぶ

2005年04月23日 | Monologue & Essay
 ドイツの哲学者ヘーゲルが言ったとされる言葉。
ミネルヴァ(Minerva)はギリシャ神話の知恵の女神(ローマ神話ではアテナAthena)で、彼女が愛護していた梟も英知の象徴とされる。この言葉は、梟は黄昏時になって初めて飛び立つように、現象や歴史が意味することもその終わりになって初めて明らかになると解するらしい。しかし、自分としては勝手にややうがった意味に解釈している。誰であったかは忘れたが「哲学は50をすぎてから」と言った人がいた。哲学のようにものごとを俯瞰的に少しはゆっくりと考えるのは人生の黄昏時からが適しているという意味であろう。人生経験の平均値というものがあるならばその平均値をはるかに下回っているが、物理的な時間だけは哲学をやるのに適した歳になりつつある(こういうのを「馬齢を重ねた」というらしいが、馬に対して失礼である)。ならば自分のなかにつもった塵や芥をも糧にして、少しはゆっくりとものごとを考えてみたい。そんな気持ちにさせてくれた言葉である。
(原文 2004.03 記)
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