『いのちの食べかた』(森達也・著、理論社)
見てから読むか、読んでから見るか。むかし何かの映画のキャンペーンで、たしかこんなキャッチコピーがあった。今回は映画『いのちの食べかた』を見てからこの本を読んだ。映画の感想はかなり素直な気持ちを書いたつもりだ。もしこの本を読んでから映画を見ていたら、映画の感想は差別問題のほうに引きずられていたかもしれない。それはそれでよかったのかもしれないが、理屈が先 . . . 本文を読む
『いのちの食べかた』(ニコラウス・ゲイハルター・監督)
この映画は畜産学を専攻している友人から薦められた。一言でいえば、自分の想像力が試される映画だった。われわれが日々口にしている肉、魚、卵、野菜、果物などの食材が、どのようにして作られているかを撮ったドキュメンタリーだ。セリフやナレーションはまったくない。映像がたんたんと進んでいくだけだ。機械化された工場で整然とされていく牛、豚、鶏たちの . . . 本文を読む
『農が拓く東アジア共同体』(進藤榮一、豊田隆、鈴木宣弘・編、日本経済評論社)
日本の農業は危機的な状況にあるというが本当だろうか。物価高などの問題はあるにしても、毎日のゴハンやオカズにも事欠くという日本人は少ないだろう。しかし、日本の食料自給率を示されると背筋が寒くなってくる。例えば、本書から引用すると、日本の穀物自給率(2005年)は26%にすぎない。フランスの160%やアメリカの120%と . . . 本文を読む
『農が拓く東アジア共同体』(進藤榮一、豊田隆、鈴木宣弘・編、日本経済評論社)
日本の農業は危機的な状況にあるというが本当だろうか。物価高などの問題はあるにしても、毎日のゴハンやオカズにも事欠くという日本人は少ないだろう。しかし、日本の食料自給率を示されると背筋が寒くなってくる。例えば、本書から引用すると、日本の穀物自給率(2005年)は26%にすぎない。フランスの160%やアメリカの120%と . . . 本文を読む
『科学を短歌によむ』(諏訪兼位・著、岩波書店)
ときどき短歌や俳句をよんでみたいと思うことがある。実際に作ってみたこともある。しかし、長続きがしない。そもそも才能もないし、あきっぽいからなのかもしれない。それでも、人の作ったものを読むのは好きだ。実に的確に情景を描写していて感心させられる。文は人なりというが、ときに文章よりも三十一文字や十七文字のほうが作者の思いを雄弁に語ってくれる。本書は科学 . . . 本文を読む
『デザート・クァルテット』(テリー・テンペスト・ウィリアムス・著、メアリー・フランク・画、木下卓、結城正美・訳、松柏社)
本書のサブタイトルは「風景のエロティシズム」。この「エロティシズム」とは、ふつうに考える男と女との間のエロティシズムではなく、それを超えたものといえるだろう。人間は社会的存在である前に自然的存在であると捉えるならば、人間は本来的に性的存在であるといえる。そして、「エロス」と . . . 本文を読む
『障害・病いと「ふつう」のはざまで』(田垣正晋・編著、明石書店)
主として序章「脱援助と、絶えざる言い換えの努力」(田垣正晋・著)、第1章「社会における障害とは何か」(田垣正晋・著)、第2章「軽度障害というどっちつかずのつらさ」(田垣正晋・著)、第8章「慢性の病気にかかるということ」(今尾真弓・著)を読んだ。
たとえば、階段や坂道を上るのが自分は苦手である。息切れや動悸がするからだ。老化の . . . 本文を読む