『巨食症の明けない夜明け』(松本侑子・著、集英社文庫)
松本侑子氏のデビュー作である。とはいっても、彼女の本来の意味でのデビューは知らない。単行本としての『巨食症の明けない夜明け』は手に取ったことがないからだ。本書の次に書かれた『植物性恋愛』と、その数年後に出た『作家以前』や『読書の時間』などのエッセイが「松本侑子」と自分との初めての出会いである。ちょうど同じころ『巨食症の明けない夜明け』が文庫 . . . 本文を読む
『センス・オブ・ワンダー』(レイチェル・カーソン・著、上遠恵子・訳、新潮社)
情緒ゆたかな文章と詩情をそそる数編の写真に彩られた小さな本である。著者はレイチェル・カーソンというアメリカ人女性である。写真で見るかぎり物静かな感じの女性だ。しかし、彼女の四冊目の著書となった『沈黙の春』は、たぶん彼女自身も予想していなかったであろうが、世界に大きな衝撃を与えた。世の人々に環境破壊の実態を知らしめたから . . . 本文を読む