ユーラシアウァッチ:ロシアから見る世界情勢

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中国・欧州間鉄道貨物輸送は前年比2割増 ロシア鉄道は運賃割引きで支援

2020-04-12 14:58:51 | 一帯一路 中央アジア
1月~3月の「中国―欧州」間鉄道輸送貨物量は前年同期比18%増加し、同ルートでの貨物鉄道便数は15%の増加となった。中国商務部による4月9日付の公式発表を引用して、4月10日付コメルサント紙が伝えた。
 貨物輸送量増加の後押しとなったのは、ロシア国営鉄道による運送料金引き下げ及び中国へ戻る「空コンテナ輸送」に対する優遇措置である。
中国―欧州間コンテナ鉄道輸送は海上輸送に比べて輸送期間が大幅に短縮できる(中国から欧州の仕向け地まで11日~2週間程度)半面、中国向けの貨物が少ないため「空コンテナ」を中国に戻す際のコストが問題となってきた。コロナウィルス感染拡大を受けて欧州諸国での生産活動再開は中国よりも遅れており、それが欧州発の貨物量の更なる減少、空コンテナのさらなる増加を招いている。「コロナパンデミックが実体経済の数字に修正を与えていますが、トランジット貨物輸送分野も例外ではありません。以前中国・欧州間貨物輸送で中国向け貨物は中国発欧州向けの約半分でしたが、今では3割という水準に下がっています」とロシア国営鉄道会社RJDの子会社「RJDロジスティク」のドミトリー・ムレフ代表取締役は言う。
2020年1月1日から社RJDは、ロシアを経由する中国欧州間コンテナ貨物輸送の促進のため、それまで「空コンテナ」のトランジット輸送に際して課されていた付加価値税を撤廃した。さらに欧州諸国からロシア国内を経由して中国に戻される「空コンテナ」輸送に対して同社は40%の運賃割引を導入した。
その他にもRJDは中国西部からカザフスタンを経由してロシアに入る通称「南側ルート」に対する輸送料金割引を行っている。「南側ルート」はロシア・カザフスタン・ベラルーシの「関税同盟」圏を通過して中国・欧州を結ぶルートである。中国西部と欧州を結ぶ最短ルートであり、上記三カ国国の国営鉄道の合弁「ユーラシア鉄道同盟」社がこのルートの鉄道貨物便を運航している。
ロシアを経由して中国と欧州を結ぶルートには、中国東北部からロシア極東のザバイカリスクに入る「北側ルート」もあるが、このルートに対してもRJDは同様の割引を提案している。
これらの優遇措置により、1~3月の中国・欧州間鉄道貨物輸送量は前年同期比で約二割の増加となった。中国商務部の担当者によれば、3月の一か月だけでも中国から欧州に向けて800便の貨物輸送鉄道便が運航され、これは一か月の本数としては最高記録となった。中国商務部は引き続き中国・欧州間の鉄道貨物輸送を推進するため具体的なプログラムを策定済みであるという。(4月9日付RJDパートナー)(4/9)

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