ユーラシアウァッチ:ロシアから見る世界情勢

ロシアは一帯一路の地政学的要所。米中対立や中東対立のキープレイヤー。マスコミのロシア情報は貧しい。その致命的穴を埋める。

2019年ロシアの北朝鮮への石油製品輸出は増加:「瀬取り」以前の問題として

2019-06-21 08:48:19 | ロシア 北朝鮮
 いわゆる北朝鮮の「石油および石油製品瀬取り」問題に絡んで、国連制裁委の報告書公開をロシアと中国がブロックしたと報じられている。瀬取りによって、2017年に設定された50万バレルの倍以上の石油(及び関連製品)が密輸されているという指摘を含む報告書だ。これが事実なら問題である。
 ただそれ以前の問題として、「瀬取り」ではない正規輸入で、北朝鮮はどれほどの量の石油および関連製品を輸入しているのだろうか。その数字をちゃんと把握しないでは、送料としてどのくらいのエネルギー資源を北朝鮮が得ているのか推計することはできない。
 EWはロシア税関統計から、2018年と2019年現在までのロシアから北朝鮮への関連品目輸出実績をチェックした。

<2019年ロシアから北朝鮮への石油(及び関連資源)輸出実績>
品目コード2710 石油、歴青油、石油の調製品、廃油
品目コード2711 石油ガス、その他のガス状炭化水素

輸出総量
19232.9トン
142323.46バレル*(14万バレル強)

<2018年1月日現在までの輸出実績>
品目コード2710及び2711に加えて
品目コード2713「石油コークス、石油アスファルト、石油や歴青油の残留物」**

輸出総量
27233トン 
201524.2バレル(20万バレル強)

 <EWの分析>
 つまりは、2018年にはロシアだけで50万バレル上限のうち20万バレル近くは公式輸出している。そして2019年前半だけでも14万バレル。
 2019年に入って石油輸出のテンポが増した。このままのテンポで行けば公式輸出だけでも30万バレルくらいいくことになるか。
 それにプラスして中国からどれくらい輸出されているのか、瀬取りの100万バレルを足すとどのくらいになるのか、という分析が必要。
 これは各国の貿易統計を原文で読めればできること。
 ちなみに2019年のロシアから北朝鮮への輸出実績には鉄道関連資材もある。
 朝露(さらに半韓国とつなぐ)鉄道のプロジェクトはあきらめていないこともうかがえる。 

*トンからバレルへの換算式は以下の帝石サイトに基づく
 https://www.inpex.co.jp/ir/unit.html
**2019年のこれまでの輸出実績の中に品目コード2713は記録されていない。


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