EVOLUCIO WORKS INFO

EVOLUCIO WORKS INFORMATION

落雁

2015-12-02 19:18:42 | Diary


デザインの資料を探していると、
ふと、神社様式の袋から小さな紙包みがいくつも出てきた。

包みを解いてみると、
小さな鈴の形の砂糖菓子が一対現れた。

ラクガンか。
ひとつ口に入れると優しい甘さが心地よい。

これはコーヒーを淹れなくては。

この繊細な甘さにはダークなローストは合わないから、
そうだ、しばらく熟成を促していたブラジルのブルボン種がある。
私はいそいそと手回しで豆を挽き、沸いた湯で丁寧にコーヒーを淹れた。

窓越しの冬の日差しのように柔らかな口あたりは、
飲むうちに甘さの陰から少しずつ酸味が顔を見せ始めるが、
そこでラクガンを半分口に放り込むと、
酸味の輪郭が明瞭になり、しかも香りさえ一段と冴えてくるのだ。

和三盆の澄み切った甘さは、
死ぬ直前に、最後に口にしたい味かもれしない。
……ラクガーン。







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする