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デザインの資料を探していると、
ふと、神社様式の袋から小さな紙包みがいくつも出てきた。
包みを解いてみると、
小さな鈴の形の砂糖菓子が一対現れた。
ラクガンか。
ひとつ口に入れると優しい甘さが心地よい。
これはコーヒーを淹れなくては。
この繊細な甘さにはダークなローストは合わないから、
そうだ、しばらく熟成を促していたブラジルのブルボン種がある。
私はいそいそと手回しで豆を挽き、沸いた湯で丁寧にコーヒーを淹れた。
窓越しの冬の日差しのように柔らかな口あたりは、
飲むうちに甘さの陰から少しずつ酸味が顔を見せ始めるが、
そこでラクガンを半分口に放り込むと、
酸味の輪郭が明瞭になり、しかも香りさえ一段と冴えてくるのだ。
和三盆の澄み切った甘さは、
死ぬ直前に、最後に口にしたい味かもれしない。
……ラクガーン。