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夢の羅列<ピンク・リーゼント・前編> 20171207
私は夢の中で小さな店舗を持っていた。
場所は郊外駅の商店街の外れ、小さな神社への参道沿いにあった。
店の中は年末というのにガランドウで、かといって、
どうにかしようという気にもまったくならず、それなら
夜の時間だけを知り合いに貸すことにした。
私もまだ少しは頭が回るのだった。
知り合いは会社員なのだが、妙にセンスが良く、
あちこちからオールド・アメリカン的な品を瞬く間に仕入れてきて、
参道にあるとは思えないような、これは'40スタイルとでもいうのか、
雰囲気はロカビリー以前のビッグバンドジャズでも流れてきそうな店になった。
内装も'50の派手さではなく、
カントリー家具の木目調を優しくカラフルにしたような品の良さで、
白や淡いピンク、ミントブルーなどの色が絶妙に色褪せたように塗装されていた。
コーヒーカップなど食器はすべてファイアーキングで揃え、
そのカップを並べる木製トレイもおそらく当時の本物ではないだろうか。
ここでコーヒーやドーナツでも売るのか、
それともカップや雑貨などを売るのか、よくわからないが、
なんというか、マーサ・スチュアートの焼き菓子でも出てきそうな店になったな。
間口のもともとの古いニス塗り木枠のガラス戸は、そのガラガラの開閉音と相まって、
どうにもこうにも昔の文房具店のような貧相なイメージが染みついていたのだが、
彼のマジックにかかると、すっかり優しいオフホワイトに塗り替えられて、
さらにガラスにもなんだかカッコイイ英語が楽しい書体で描かれると、
まるで生まれ変わったかのように明るい表情で輝き出したのだ。
いやぁ、やればなんとかなるもんだな、などと私は感激していた。
そんなことを考えながら宵の店の前に立っていたら知り合いがやってきた。
つづく。