↓この映画では、次のような現状、ことの経緯、事例が紹介されている。(シッコ@Wikiより転載。)
アメリカ合衆国には先進国の中でも珍しく日本のような国民健康保険制度がなく、民間の医療保険に入れない人がおよそ5000万人いる。貧困層でなくても、ちょっとした疾患によって保険への加入を拒否されたり、保険金の支払いを拒否される人は多い。
一般のアメリカ人はこの映画の中で、国民皆保険制度はソ連型のような社会主義であるとしてアレルギーと恐怖を感じ、いざというときの状況に対する危機意識が低く、政治については無関心あるいは条件反射的な反応しかせず、相互扶助や弱者を助けようとする精神にも乏しいとされている(これはマイケル・ムーアの一貫したスタンスでもあり、華氏911やボウリング・フォー・コロンバイン、マイケル・ムーア in アホでマヌケな大統領選(出演作品)においても共通している)。この事は、国民皆保険制度があり、さらに医療費が無料のカナダやイギリス、フランスなどの一般国民の意識と対比され、危機意識については、ちょっとの旅行にも保険をかけていくカナダ在住のマイケル・ムーアの両親の事例も対比として示される。
医療費が払えず病院にかかれないので、自分で傷口を縫う人。
仕事中に誤って指を二本切断。指をくっつける手術費用が薬指は12,000USドル、中指なら60,000USドルと言われ、中指は諦めざるを得なかった人。
医療費があまりに高額で家を売りに出す人。
高齢であってもなお、自分の医療費を払うために働かざるを得ない老人。
交通事故により病院に運ばれ一命を取り留め、保険会社に保険金を支払ってもらおうと連絡したら、当時は意識不明の重体であったにもかかわらず「救急車が使用される場合には、事前に連絡が無ければ保険は適用されない」と言われた人(ちなみにアメリカでは、救急車を呼ぶだけでも日本円にして数万円単位の請求が来る)。
複数の医師からなる病院の医療チームが「この検査と手術が必要」と言っているにもかかわらず、保険会社はそんな検査や手術は必要ないとして保険金の支払いを拒否し、結果として治療を受けられずに亡くなった人。
上記の例のように医師が必要と判断している治療への保険金の支払いを拒否していた保険会社に、「マイケル・ムーアが映画のために、このことについて社長へのインタビューを要求している」という嘘の手紙を、マイケル・ムーア本人には知らせずに出して、即座に保険金の支払いが認められた人。
保険金の支払いを(相手の命に関わる場合であっても)徹底的に減らそうとする保険会社のエージェント。
貧困層向けの医療保険制度メディケイド(medicaid)やHMOによる治療において、治療費用が安く済めばボーナスをもらえるので、患者が検査を受けないかもしれないことを見計らって、わざと遠方の病院を検査のために指定する医師。
医療費の支出を抑えるため、命に関わる場合であっても十分な検査治療を認めないことに同意し、それによって多額の献金を得て昇進した医師の、議会における証言。
入院治療費が払えずに病院を強制的に追い出され、車で貧民街まで運ばれて路上に放置される患者。
議会における医療・保険業界との癒着や寄付金の実態。
ヒラリー・クリントン氏がすすめていた国民皆保険制度が、医療・保険業界からの寄付金によって頓挫した疑惑。
ニクソン大統領の、医療保険に関する会話の盗聴テープ。ニクソン大統領の健康保険制度になど興味は無いという主旨の発言に対して、民間の保険会社だからお金になると述べる側近。それに「悪くない」と応じるニクソン大統領。
9.11のとき、瓦礫の山を取り除く救援作業にボランティアとして参加したが、その影響で肺を悪くし、多額の医療費がかかるようになってしまった人。米政府はそういうボランティアには治療費を全額出すと明言しているが、それを示す証拠や条件が厳しすぎて、払ってもらえていない人も大勢いる。この事例は映画の中で、手厚い医療看護を受けるテロリスト容疑者達や、キューバの医療福祉制度と強く対比される。「9.11の英雄」であるそのボランティアが、アメリカで苦労しながら多額のお金を出して買っていた薬は、発展途上国であるはずのキューバではわずか数セント。
保険料と納税額が少ない分、医療費に3割もの自己負担を課せられ、無保険者であるがゆえに病気やけがの治療ができない者が急増し、鶴見和子さんをはじめ、リハビリを打ち切られた病人が命を絶たれ、また妊婦をはじめ引き受ける病院がなく命を落とす者が続出し、暗に長生きしすぎた年寄りの病人はさっさと死ねと示唆しているに等しい後期高齢者医療制度なるものがまかりとおる日本は、確実にアメリカの悲惨を後追いしている。作品中、入院・加療費を払えぬゆえに街中に捨てられる病人が登場するが、同様のことが日本でも現に起こっている。
アメリカも日本も、利己的な権威主義者による衆愚社会であることに変わりはない。それゆえの福祉の貧困。悲しいことだ。
シッコ SiCKO
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