この話は、ほんと好い加減にして欲しいと思った話です。
私、とても温泉が好きです。
中でも、長野県の或る温泉が大好きで、公共湯とか、東京から日帰りで入りに行っていました。
日々の疲れが蓄積し、自分が壊れていきそうなアラームが鳴ったような気がしたので、夜、高速をひた走り、温泉駐車場に到着したのは夜中の2時頃でした。
この頃の遂通し前の浴場は、ちゃんと整備されてしまい自由に入れなくなっていたので車中泊することになり、休憩すること無く、1000CCのミニクーパーで夜の高速を飛ばしてきた影響で昂ぶった神経を鎮めるのに苦労しながら、ミニの可倒式バッケットシートに身を委ね、朝一の温泉を楽しみになんとか眠ることが出来ました。
ただ、その時間に入ったばかりに、とんでもない2人が一緒になりました。
明るくなり時計を見ると、まだ朝の7時。
幾らなんでも「まだ開く訳無い」と一寝入りし、次に起きたのは、9時の20分前のことでした。
何時から開くのか確認しに行くと、管理人さんが居て、
「いいよ、入って」
最高の天気、山の空気、土の香り、鳥の囀り、谷川の水音に加え、このオジサンの一言。
私は、自分の幸運さを知り、神様に感謝を捧げ、本当に気持ち良く露天風呂に浸かりました。
数十分して入ってきたのは、名古屋かどこかの大学生。
気分が好い私は、この学生と様々な事を話していました。
やがて、入浴者も一人二人と増え、8人目位に『奴』が入ってきました。
私は、風呂の入り口が見える位置に居て全ての人を観察できる位置だったので、この『奴』の異様さが引っ掛かりました。
(何だ? この目付き。 こいつが出している雰囲気は?)
「なにも隠してません」とでも言いたげに澄ましていましたが、この位置に座っている私の目は誤魔化せません。
軽く体を流した『奴』は、しらっととぼけて湯船に浸かります。
温泉を楽しむ以外に、何か楽しそうなんです。
( ? ? )
私の視界に『奴』が居たので表情をそれとなく観察していると、何か、私を清々し気分にしてくれている山の神々しさをぶち壊すような、そんな気分が広がって、とても嫌な感情になっていくんです。
(何? この嫌な気分・・)
原因を探すと、直ぐに見つかりました。
当時の湯船は地面を掘った造りで、湯船の深さは、座って地面が頭の高さにくる設計。
湯に使っている『奴』の背後の頭上で、小太りで毛むくじゃらの男が背中を湯船に向け、相撲で力士がやる蹲踞をしているんです。
つまり、湯船に浸かっている人から見れば、この『小太りで毛むくじゃらの男』の肛門が丸見えの状態だったんです。
『奴』を観察することで、知らずに見ていたんですね。
それでも、世間知らずな私のこと。
どうして湯船に浸からないのか深く考えないまま、また『奴』の観察を始めました。
見せ続ける『小太りで毛むくじゃらの男』に不快感を抱いている人の目を発見しては、『奴』は喜んでいるみたいに感じます。
『奴』は『小太りで毛むくじゃらの男』を眺める位置に移動して、眺めています
「え? もしかして連れ?」と、思った時です。
「もぁ勘弁してください」
ノーマルな人間でも、つい虐め心を起こさせるような惨めな顔で無言のまま懇願する『小太りで毛むくじゃらの男』は、懇願する様な顔を『奴』に向けています。
そして案の定、『奴』は、やはり無言で目配せし、
「誰が止めて良いと言った」
とでも言いたげに、顎をしゃくったかと思ったら、泣きそうな顔で『小太りで毛むくじゃらの男』は、再び湯船の我々に向かって、清々しい陽光と山の空気に肛門を晒し始めました。
好きな女の子に
「今夜帰らなくても良いんだ」
といわれても、
「家の人が心配するから、帰らなきゃ駄目だよ」と、
本気で心配する痛い私のこと、この時点でも、何が起こっているのか理解できていません。
「汚いもの見せてないで、早く風呂に入ったらどうなんだ!」
と、『小太りで毛むくじゃらの男』に投げつけようとした瞬間、本能のほうで警報が鳴リ出しました。
「それ言ったら、喜ぶのは『奴』・・・」
私、頭が怒りと理解出来ない状況で混乱したまま露天をを出て、最初の学生と食事をしたんですが、話なんか上の空。
高速を飛ばし、家に着く頃にやっと解ったのは・・・
「こう云う世界が本当に有るんだ」 ということ。
どういう世界かというと、ホモの羞恥?放置?プレイを、事もあろうか、露天風呂でやっていた訳です
もし、私が思ったことを、そのまま『小太りで毛むくじゃらの男』に言ってしまっていたら、私の言葉が、暫くは、彼等のおかずになっていたかと思うと、本能の警報に従って良かったと心の底から思います。
ただ、今でも悔しいのが、我が家から往復で600km以上は有るんです。
しかも、1000ccのミニでその距離を走るとなると、かなりの体力を消耗するわけで・・・
でも、我々の迷惑そうな顔が、暫くの間、彼等のおかずになったんでしょうね。
いえいえ、もしかしたら、この記事を見つけた二人は、また燃えるのかもしれません。
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