固定資産税は徐々に安くなるといわれますが、建築費が高騰する、地価が上昇するなどしていれば、実は下がりません。
固定資産税が安くならない、おかしいと感じる方へ向けて、固定資産税がいつ安くなるか解説しましょう。
固定資産税は、三年に一度の基準年度に安くなる可能性がある
はじめに、固定資産税は建物と土地にそれぞれ課されることを知ってください。
戸建てを所有する方は、借地権などである場合を除き建物と土地を所有しますが、建物と土地を所有するのであれば、それぞれに固定資産税が課されます。
マンションの一戸を所有する方は、定期借地権などである場合を除き、建物である「一戸部分」と、土地である「敷地権」を所有しますが、建物と土地を所有するのであれば、それぞれに固定資産税が課されます。
そして、建物と土地の固定資産税は、令和三年度、令和六年度、令和九年度など、三年に一度の基準年度と呼ばれる年に安くなる可能性があります。
あくまで「安くなる可能性がある」に留まり、必ず安くなるというわけではありません。
つづいて、建物と土地の固定資産税が、基準年度に安くなる状況を解説しましょう。
建物の固定資産税は、物価水準が安定していれば基準年度に安くなる
建物の固定資産税が安くなる可能性があるのは、令和三年度や令和六年度、令和九年度など、三年に一度の基準年度のみです。
基準年度以外の税額は、前の基準年度の額に据え置かれます。
基準年度に固定資産税が安くなるのは、物価水準が安定し、前の基準年度の時点より建築費が高騰していない状況に限られます。
前の基準年度の時点より建築費が高騰していれば、前の基準年度の税額に据え置かれます。
たとえば、令和三年度の基準年度の時点で、その建物と同一の建物を同一の場所に新築するために必要となる建築費が1,500万円である「建物A」があったとしましょう。
令和六年度の基準年度の時点でも、「建物A」と同一の建物を同一の場所に新築するために必要となる建築費が1,500万円であれば、令和六年度の時点で「建物A」の固定資産税は安くなります。
一方、令和六年度の基準年度の時点で建築費が高騰し、「建物A」と同一の建物を同一の場所に新築するために必要となる建築費が2,000万円まで上がるなどしていれば、令和六年度の時点で「建物A」の固定資産税が安くなることはありません。
「建物A」の令和六年度、令和七年度、令和八年度の固定資産税は、令和三年度の固定資産税に据え置かれます。
- 基準年度の時点で、前の基準年度と建築費が同等、または下がっていれば、建物の固定資産税は安くなる
- 基準年度の時点で、前の基準年度より建築費が高騰していれば、建物の固定資産税は安くならない
基準年度の時点で建築費が高騰していれば固定資産税が安くならない理由は、建物の固定資産税を計算する方法と、建物の固定資産税評価額を計算する方法にあります。
詳細は、私が運営するサイト「固定資産税をパパッと解説」にて公開中の記事にて解説中です。
固定資産税がいつ安くなるか気になる方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。
土地の固定資産税は、地価が下落していれば基準年度に安くなる
土地の固定資産税が安くなる可能性があるのは、建物と同じく令和三年度や令和六年度、令和九年度など、三年に一度の基準年度のみです。
基準年度の時点で地価が下落していれば、土地の固定資産税は安くなります。
反対に、地価が上昇していれば、固定資産税は高くなります。
これは、戸建てが建つ土地、マンションの土地(敷地権)、更地を問いません。
土地の固定資産税は、その土地に建つ建物の築年数が経過することや、所有期間が経過することでは安くならず、周辺の地価に応じて変動し続けます。
ちなみに、土地の固定資産税には、地価が大きく上昇しても税額はさほど高くならないように、地価が大きく下落しても税額はさほど安くならないように調整される措置が設けられています。
その措置を「負担調整措置」と呼び、全ての土地には、申請不要で負担調整措置が適用されています。
これにより、土地の固定資産税は、地価が大きく上昇しても税額が急激に高くなることはなく、地価が大きく下落しても税額が急激に安くなることはありません。
なお、土地の固定資産税は、著しい地価の下落があれば、基準年度以外であっても税額が安くなる場合があるため留意してください。
土地の固定資産税が安くなる可能性があるのは、三年に一度の基準年度ですが、例外も設けられています。
それではまた次回の更新でお会いしましょう。不動産のことをわかりやすく解説するブログ「不動産のあいうえお」でした。