MLB通算3000本安打に、あと65本。
日米通算最多の4256本安打(NPB;1278本)に、あと43本。
米国のスポーツ専門局「ESPN」が「2016年に注目すべき5大記録」と題した記事を掲載して、その中でマイアミ・マーリンズのイチロー選手のMLB通算3000安打が紹介されました。
記事では今季中に達成の可能性がある5つの大記録を紹介し、その筆頭がイチロー選手で「イチローはかつてほどの打者では無くなったが、2016年に注目に値する2つの数字に到達するだろう」としています。「あと65安打で30人目の達成者となる3000安打」。そして「その数字の過程で、彼は44本のヒットを打てば、日本とメジャーでの数字を合わせて4257安打となる。これはメジャーのヒットキング、ピート・ローズを超える」とし、日米通算でMLBの最多安打記録を更新するイチロー選手に期待を寄せています。
昨シーズンはマーリンズのイチロー選手が日米通算の安打数でタイ・カッブさん(タイガースなど)の4191本を超えたと話題になりました。
ただ、どちらかといえば日米通算記録を重要視しているのは日本だけ、米国ではNPBにおける記録は「Unofficial record=参考記録」とされています。2008年にイチロー選手が日米通算3000安打を達成した時は日本メディアは大きく取り上げられましたが、その日本メディアを米国メディアは「何を騒いでいる?」的に冷静というよりも、ニュースにすらならないような扱いでした。
(イチロー選手日米通算3086安打の記念バット)
当時、レッドソックスのバリテックさんは「(日米)合算を認める、認めないでイチローの価値が変わるわけではない。メジャーの舞台で今、誰よりも安打を打っているだろ。日本と米国の安打ペースを比べてみればいい」とイチロー選手のプレーを褒め称えていました。今でこそイチロー選手の安打ペースは落ちましたが、MLB通算だけでも3000安打に迫ろうとしていることは事実です。
さて、MLBではあくまでもMLBだけでの記録を公式記録として扱っています。NPBを含めて、他国のプロ野球での記録はすべて参考記録です。
日本でも正式にはNPBだけの記録が公式記録となっています。MLBとの日米通算はメディアでの記録?でもありますが、名球会を含めて、市民権は得ていると思えます。
最近は米メディアのESPN電子版は「イチローの偉業を語る上で、日本の記録を含めることは賛成である」としたり、FOXスポーツも「最初からメジャーでプレーしていたら歴代安打記録を更新していただろう」との見方を変えて来ています。
逆に考えてみると、毎年多くの外国人選手が日本にやって来ます。しかし、MLBで実績を残していても、日本では米日通算として記録を紹介するすることはなく、もちろん、NPBでもMLBでの記録は扱いません。参考記録どころか、「MLBでは通算○○」としか扱いません。
記録の取り上げ方として、どちらが閉鎖的かというと、それは日本だと言っても良いかも知れません。さらに、韓国や台湾、メキシコやドミニカなどのプロ野球記録だって通算に入れません。まあ、入れるどころか日米通算にはこだわるのですが、そういう議論すら沸き起こりません。
基本的にはどちらの野球のレベルが上ということではありません。異国へ単身乗り込んで活躍するためには技術的対応はもちろん、身体的な健常さ、頭の切り替えなどを含めて、自分を磨き、適合して行かないといけません。ですから、合算の「是非」を云々いうのではなく、例えばイチロー選手というアスリートを評価する中での物差しとして考えてもいいんではないでしょうか。もちろん、積み重ねてきた歴史のすべてを含めてです。
その積み重ねてきた数字の背景を見れば、その凄さはよく判ります。
イチロー選手は名誉よりも、そのプレーで残した結果を見てくれれば、それで充分だと考えているのではないでしょうか。