野球小僧

台湾

私のブログにお越しいただいてありがとうございます。どうか、みなさまとご家族、関係者の方がご健康であっていただければと思っております。

さて、私は会社の業務において、そのほとんどが中国に工場を持っている台湾メーカーへの指示調整となっています。世界中に感染が拡大しつつある新型コロナウイルスについても、毎日のように情報が送られてきており、その対応に追われています。

その台湾ですが、今回の新型コロナウイルス対応について、日本国内外から後手後手の対応と批判されている日本とは好対照の対応を取っています。

台湾はご存知の方も多いと思いますが、国際社会的には微妙な立場にあります。1971年に国際連合のアルバニア決議によって、中華人民共和国が中国の代表として認め、代わりに台湾は追放されました。以後、台湾はWHOからも排除されてしまいました。

2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した際、台湾はWHOからSARSの診断方法など重要な情報の提供を受けられず、世界で最も流行の終息が遅れてしまいます。

今回の新型コロナウイルス騒動でも、2020年1月21日に台湾で感染者が確認されますが、1月22日、23日の世界保健機構(WHO)緊急委員会に招待されませんでした。このとき蔡英文総統は、「WHOは政治的要因で台湾を排除せず、台湾が参加できるようにしてもらいたい」とコメントしています。

1月30日にWHOはようやく緊急事態を宣言しましたが、台湾はその際の緊急会議にもオブザーバーとしての参加すら許されていません。その後、台湾の参加を容認すべきとの声が広がり、2月11日になってWHO新型コロナウイルス専門家国際会議で、ようやくオンライン参加が認められました。

台湾の衛生福利部は中国の意向で、多くの国際的な組織への加盟を認められておらず、WHOへの加盟も認められていませんが、今回の新型コロナウイルス対策では独自の情報を収集し、必要と思われる対策を先手先手で実施し、国民に対し毎日のように関連情報を提供し、台湾人の健康と安全を守っています。

2019年12月31日
中国で、「原因不明の肺炎が27例、うち重症7例が確認された」と発表。台湾政府の衛生福利部は、即日の注意喚起を行い、中国・武漢からの帰国便に対する検疫官の機内立ち入り検査、空港などでの入国時の検疫強化を指示し、即実行
(日本の厚生労働省が最初の注意喚起は2020年1月6日)

2020年1月2日
専門家などで「台湾衛生福利部 伝染病予防治療諮問会」の「旧正月春節インフルエンザ対応整備会議」において、武漢の肺炎についての対策を検討。医師の診察時のN95マスク装着の徹底、入国検疫の再強化と帰国後10日間の経過観察、旅行経歴の告知の徹底など、即実行

1月5日
「中国原因不明肺炎 疫病情報専門家諮問会議」が行われ、経過観察を10日から14日に延長

1月6日
台湾行政院が中国での正確な情報を把握するための調査体制強化を指示

1月7日
武漢地区に対し危険レベルを「レベル1:注意 / Watch(一般的予防措置の遵守)」に引き上げ

1月8日
すべての国際線と中国・厦門、泉州、福州などの船舶の往来についても警戒レベルを上げる。また、2019年12月31日~1月8日までの武漢地区からの帰国便数、帰国者人数、疑義のある案件数やその症状を発表。国民に管理体制が整っていることを開示。その後、台湾での検査状況と武漢・中国での伝染病情報は、毎日発表

1月11日
SNSで「台湾ですでに武漢コロナウイルスに感染した症例が見つかった」という情報。台湾政府はすぐに当該情報がデマであると発表。デマ情報、報告などを流した者は「社会秩序維持保護法」あるいは「伝染病予防治療法」で罰せられると警告

1月14日
タイで武漢から来た女性が陽性反応で隔離されたことを衛生福利部が確認。タイからの入国者や帰国者への特別検疫体制を検討

1月16日
武漢から1月6日に帰国した神奈川県在住の男性が10日に発病、16日に陽性と確定されたことが日本でも報道され、衛生福利部で検討。タイと日本の例を分析し、「ヒトからヒトへの感染は排除できない」として、さらに武漢地区への危険レベルを「レベル2:警示 / Alert(防護措置の強化)」まで引き上げ
(日本は、この時点で厚労省は「WHOなどのリスク評価では、持続的なヒトからヒトへの感染の明らかな証拠はない」と発表)

1月20日
タイ、日本、韓国などで新型コロナウイルスに感染した患者が発生したことを受け、台湾政府は「厳重特殊伝染性肺炎 中央伝染病指揮センター」を設立。全省庁と地方政府の横断的な連携で伝染病対策に取り組み、台湾政府は「積極的対応に乗り出しているから安心してほしい」とメッセージ
(日本の「新型コロナウイルス感染症対策本部」の設置は1月30日)

1月21日
武漢からの飛行機で帰台した女性が、空港での検疫で「症状あり」と認定され、搬送先の病院で陽性と判定。機内で接触があったと見られる46名についても追跡調査(全員が陰性)。台湾は武漢地区の危険レベルを「レベル3:警告 / Warning」に引き上げ
(WHOはようやく「ヒトからヒトへの感染」の可能性を認め、日本は武漢の危険レベルを「レベル2」まで上げたのは1月23日)

1月22日
台湾政府が「国家安全ハイレベル会議」を招集

1月23日
武漢が封鎖され、台湾政府は伝染病発生レベルを上げ、警戒態勢を強化。「中央伝染病指揮センター」を衛生福利部長が直接指揮

1月24日
台湾でマスク不足が深刻になり始め、中央伝染病指揮センターが、「マスクの輸出禁止」を決定

1月27日
台湾政府は武漢へのチャーター機派遣を中国政府に打診し、台湾人の保護と帰国を要請。中国側は回答を保留
(日本政府は1月26日から中国政府と協議を開始(1月29日に第1便))

1月30日
蔡英文総統は、「国民を迎えに行きたい」「武漢地区に滞在している台湾人が適切な援助を得られることを願い、中国側への働きかけを継続する」と発表

2月3日
武漢から台湾人を乗せたチャーター機が台北に到着

2月15日
台湾初の犠牲者発生

2月16日
中央伝染病指揮センターから詳細な報告を発表。亡くなった方の同居家族、非同居家族、医療機関接触者などの全員に検査を実施。16日の時点で医療関係者60人は全員陰性、同居家族のうち1人が陽性と判定

2月25日
台湾立法院は600億台湾ドル(約2200億円)規模の景気対策を承認

2月29日
「クラスター」と呼ばれる集団感染を認定し、入院していた病室を閉鎖、消毒を要求。病室に出入りしていたスタッフ、入院患者、見舞いや付き添いなど、リスクの高い人々を対象に、調査、隔離、検体採取。風邪に似た症状のあるスタッフは、2回の検査を実施し、2回とも陰性であっても14日間の自宅隔離。隔離満了後の再検査で陰性が確認されれば出勤。風邪に似た症状がないスタッフについても同様に検査で陰性が出ても、14日の自宅隔離。同室の入院患者は、指定の個室に移送して隔離入院。検査で陰性が出れば退院できるが、退院後は14日間の自宅隔離

なお、世界的にマスクが不足している状況の中で、台湾当局の1月24日からの対策は次のようなものです。

・輸出の禁止 出国者の持ち出し制限 個人輸出も原則禁止
・高値転売などの公正取引監査の強化
・政府備蓄マスクを放出し、コンビニなどで1枚8元(約28円)1人3枚までの提供
・国内生産業者への増産依頼
・政府買い取り保証
・正しい使用方法の啓発
・製造業者への残業代の政府補塡ほてん
・国軍兵士(予備役)による生産協力体制

これらの施策とともに、「マスクは足りているから安心して」と発表し、当初1枚8元だったマスクを5元(約18円)に値下げもしています。さらに、国民健康保険のIDを使い、薬局でマスクを配給するシステムも立ち上げ、中華郵政公司は全国の薬局6500箇所のマスクの在庫をオンラインで把握し、過不足なく無料で配送する態勢を整備しています。

証拠がないから警戒しない日本と、可能性が0ではないからと対策した台湾。両者の置かれた事情や危機管理に対する姿勢の違いが、はっきり表れた事象であり、台湾当局の判断が正しかったかどうかは、日本の判断が正しかったかは今後の状況が証明してくれると考えます。

ただ、日本が学ぶことも大いにあると思います。

ちなみに、中央感染症指揮センターによると4月5日時点、台湾で確認された新型コロナウイルス感染者は累計363人であり、武漢滞在の台湾人のその後のニュースは見つけられませんでした。

二度と来ない今日のために、大切に過ごしましょう。そして、また、明日、ここで、お会いしましょう。

コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。

政治のプロ(蔡英文政権)と政治のアマ(安倍晋三政権)ですからねえ。海外での対応で日本でも取り入れられる施策はあったと思うのですが、変なプライドが許さないのでしょうね。

しかも、この対応のスピード。国会内は時空がゆがんでいるのかも知れませんね。

さらに、制限なしの10万円・・・これは、国会議員へも給付されるのでしょうか。なんだかなあ・・・。
eco坊主
おはようございます。

この時系列を改めて見ると日本とはスピードが大きく違いますね。
蔡英文総統と安倍総理の違いなんでしょう。
習近平国家主席来日への忖度が今の現状を引き起こしているのは間違いないでしょうね。

今からでも遅くはないので安倍さんが総理を続けるのなら(続けるでしょうけど)蔡英文総統の爪の垢でも煎じて飲んで、そして台湾政府の対策の真似をできるとこをやって欲しいものです。
それもスピードをもって!!!
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