少し(?かなり前?)のネットニュースにこんな記事がありました。
(本文ママ)
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ドラゴンズが5位(7月8日時点)と低調なのも厳しさに拍車をかけているかもしれませんが、これも好きだからゆえの苦言、なんです。
苦い復帰戦となった鈴木博志投手
7月9日の放送ではまず、一軍に復帰したばかりの鈴木博志投手が登板した、7月3日の対ジャイアンツ戦を振り返りました。
6回が終わった時点でジャイアンツが1点ビハインドの状態でしたが、7回表にドラゴンズが2点取ったことで逆転し、ドラゴンズ側が1点ビハインドという状態で7回裏に鈴木投手が登板することとなりました。
しかし、ジャイアンツに2点取られてしまい、最終的にはそのまま負けとなってしまったという苦いシーンを振り返りました。
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この試合は、私も記憶にあるのですが、この文章を読んで違和感を感じました。
スポーツでは上記のように、「ビハインド」という単語を使って得点差を表すことがあります。現在、日本語で使われている「ビハインド」は、英語の「behind」に由来しています。英語では、「後ろに」「残って」「隠れて」「遅れて」などの意味の副詞・前置詞として使用する単語です。
日本語で定着している「ビハインド」は、基本的に英語の意味と大きな違いはありません。何かの後ろにある状態・後れを取っている状況などで「ビハインド」という言葉は使われています。
スポーツでは「2点ビハインド」と、得点差とともに使用します。直訳すると、「2点後ろに」、つまり、「2点差で負けている」という意味になります。「2点ビハインドを逆転」というと、2点差で負けていたけど、逆転した、という意味です。
つまり、上の文章では、
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6回が終わった時点でジャイアンツが1点差で負けていた状態でしたが、7回表にドラゴンズが2点取ったことで逆転し、ドラゴンズ側が1点差で負けている状態で7回裏に鈴木投手が登板することとなりました。
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という、無茶苦茶な内容になってしまいます。
これ、実際はラジオ局の番組内容をWebニュースにしたものなのですが、言葉を生業にしているのですから、正しく使って欲しいなと思った次第です。
さて、「ビハインド」は、スポーツの「技」の名称としても使われています。サッカーの「プルプッシュビハインド(プルプッシュV)」やバスケットの「ビハインド・ザ・バック」という技です。サッカーの「プルプッシュビハインド(プルプッシュV)」は、ドリブル技の「プルプッシュ」を応用したもので、インサイドから蹴り出す技です。バスケットの「ビハインド・ザ・バック」はドリブルスキルの技になります。
また、ビジネスにおいて進捗状況が予定よりも遅れている場合や、不利な状況に対して「ビハインド」という言い方をすることもあります。
ちなみに、「ビハインド」の対義語は「アヘッド(ahead)」になります。「後ろに」という意味の「ビハインド」に対し、「前に」という意味の「アヘッド」になります。ただ、日本のスポーツでは「リード(lead)」が使われることが多いです。
何はともあれ、鈴木選手には今回の悔しさをバネにして「ゴー アヘッド(Go ahed)」を期待します。