第23回全国高等学校女子硬式野球選手権大会の決勝は8月2日に大阪・履正社高と栃木・作新学院高が対戦し、作新学院が1-3で迎えた最終回7回裏に3点を挙げて、逆転サヨナラ勝ちの劇的な勝利で、創部7年目で初優勝を達成しました。
作新学院高は今春の選抜大会二回戦で履正社高に延長タイブレークで敗れており、春のリベンジを合い言葉に臨みました。
3回、1点を追う作新学院高は関選手のタイムリーヒットで同点。しかし、履正社高は4回に安食選手のタイムリーヒット、6回にも安食選手のタイムリー3ベースヒットで1点を追加し、2点差をつけた。
最終回の7回裏。作新学院高は1アウトから金山選手、関選手のヒットなど2アウト満塁。ここで海老沼選手がセンター前に2点タイムリーヒットで同点に追いつくと、2アウト一・二塁の場面で本間選手が、緊急登板した履正社高のエース・安武選手から、センター前にサヨナラタイムリーヒットを放ち、試合を決めました。
決勝
履正社 0011010 |3
作新学院0010003x|4
作新学院高ナインの元には、優勝を知ったクラスメートの硬式野球部員からも祝福のLINEが送られてきているそうです。ナインは「男子も続いて欲しい」と、史上初の男女アベック優勝を期待しています。
さて、今年の大会は過去最多の32チーム約1千人の選手が集い、真夏の熱い戦いを繰り広げられました。
第1回大会は5校で開催されましたが、徐々に参加数が増え、今回は北海道から鹿児島までの31校と、女子野球部のない全国の選手でつくる連合丹波チームがエントリーしました。
埼玉・叡明高、大阪・大阪体育大学浪商高、岡山・岡山学芸館高、福岡・折尾愛真高、新潟・開志学園高、東京・蒲田女子高、鹿児島・神村学園高等部、岐阜・岐阜第一高、京都・京都外大西高、京都・京都明徳高、京都・京都両洋高、宮城・クラーク記念国際高校仙台キャンパス、高知・高知中央高、兵庫・神戸弘陵学園高、東京・駒沢学園女子高、埼玉・埼玉栄高、広島・佐伯高、栃木・作新学院高、北海道・札幌新陽高、愛知・至学館高、島根・島根中央高、熊本・秀岳館高、千葉・秀明八千代高、兵庫・全国高校連合丹波、愛媛・新田高、埼玉・花咲徳栄高、福井・福井工業大学附属福井高、京都・福知山成美高、東京・村田女子高、高知・室戸高、神奈川・横浜隼人高、大阪・履正社高
全国高校連合丹波(足立俊長監督)は、これまでで一番多い27人でチームを結成し、隣接する京都府福知山を拠点に7月24日から練習を始め、7月26日までの2日間、合宿して初戦を迎えました。
連合丹波は、試合に出たい選手たちの受け皿となり、13年前の第10回大会から毎年出場しています。以前に比べると全国で女子野球部は増えてきており、今大会も出場チーム数は過去最多となりました。
今年の連合丹波のメンバーは、普段は男子硬式野球部や女子クラブチームの所属していた選手たちです。女子高校野球の公式試合で戦えるチャンスでもあり、岩手県や沖縄県などから自費で集まってきました。
長野県からも女子野球部を創部したばかりで、まだ部員数が少ない松本国際高の選手も参加しました。
合宿初日は、足立監督が勤務する福知山淑徳高グラウンドで朝から全体練習をし、午後からは福知山成美高女子硬式野球部(長野恵利子監督)の協力を得て福知山球場でオープン戦を実施しました。途中、大雨のため中断となりましたが、本番までの短い時間での実戦でチームプレーを確認し合えました。翌日は淑徳高グラウンドで、1日目の課題改善をして、本番へ。
主将を務める兵庫・八鹿高の濱田優奈選手は「普段はクラブチームで野球をしているけれど、同年代がいないので、キャッチボール一つでもすごくうれしいです。大会ではまず1勝を目標に頑張りたい」とコメントしています。
また、足立監督は「こうやって志を同じくして集まった大人数で過ごす時間そのものが、いい経験になると思います。試合に勝つ喜びを味わうことができたら」と語っています。
連合丹波の初戦の相手は強豪の大阪・履正社高との対戦でした。
一回戦
連合丹波0002000|2
履正社 201041x|8
全国高校連合丹波は、悲願の1勝を挙げることはできませんでした。でも、「女子だって野球がしたい!」と男子に負けない熱意を白球にぶつけ、ひたむきな選手たちが全国から集まってきたチーム。選手たちが、あこがれの公式戦でプレーできた思いは、きっと次へとつながっていくことでしょう。
悲願の勝利はきっと。