「生あるものは必ず死ぬ、それが世の常、諸行無常だ・・・」
(2010年2月に放送されたTVスペシャル「ルパン三世 the Last Job」)
TVアニメ「ルパン三世」の2代目・石川五ェ門などで人気を博した声優の井上真樹夫さんが、11月29日に亡くなっていたことが、12月2日に所属事務所から発表されました。
「また、つまらぬ物を斬ってしまった」が決めセリフの寡黙で渋い剣の達人・石川五ェ門(ルパン三世)や、華やかでプライドが高い花形満(巨人の星)、孤高の戦士・ハーロック(宇宙海賊キャプテンハーロック)など二枚目を中心に幅広い役柄をこなしており、声優だけでなくナレーション、読み聞かせ、作詞家などでも活躍されていました。
中学時代から舞台俳優を目指し、17歳でTVデビューしましたが、エキストラ程度の仕事しかなく、苦しい生活であり、空腹でお腹が鳴り、NGを出したこともあったそうです。東京アナウンスアカデミーの第1期卒業生で声には自信があったことから、生活費を稼ぐために知人の勧めで声優業に挑戦。これが人生の大きな転機となりました。
1963年にTVアニメの「鉄腕アトム」や「鉄人28号」などに出演。1968年に花形満でブレーク。その後、石川五ェ門をはじめ「キャンディ・キャンディ」のアルバート王子などを演じてきました。特に石川五ェ門は30年以上も担当しており、井上さんの代名詞と言ってもいいと思います。
この五ェ門とは、モンキー・パンチさん原作のマンガ「ルパン三世」シリーズ、およびそれを原作としたアニメ作品に登場する人物です。
実在の盗賊・石川五右衛門の十三代目という設定であり、名前については「五ヱ門」や「五右ェ門」、「五右ヱ門」などと表記されたりしますが、現在では「五ェ門」となっています。
アニメでのオリジナルキャストはTV第1シリーズのみ大塚周夫さん、第2シリーズ~2010年のスペシャルまで最も長く務めたのが井上真樹夫さんであり、2011年のスペシャル以降は浪川大輔さんが声を務めています。
(井上さんが初めて五ェ門で出演した、1977年ルパン三世(TV第2シリーズ)第1話「ルパン三世颯爽登場」です)
愛用の日本刀「斬鉄剣」を所持しており、この斬鉄剣で様々なものを斬った後の、「つまらぬものを斬ってしまった」というセリフは劇場映画第1作「ルパン三世 ルパンVS複製人間(1978年12月公開)」で初めて使われ、その後のTVシリーズや劇場映画第2作「ルパン三世 カリオストロの城(1979年12月公開)」でも使用されて定着したものです。なお、ルパンからは、「つまらないものを斬らせたら、おまえは世界で一番だぜ!」と言われています。
ちなみに、五ェ門が実際に斬ったものとしては、弾丸、砲弾、自動車、ビル、戦車、戦艦、戦闘機、ミサイル、スペースシャトルなどがあります。
なお、井上さんは晩年は千葉県内のお寺で住職を務めていたそうです。スタジオに袈裟(けさ)姿で現れることもあったそうです。
ご冥福をお祈りします。
「武士道とは死ぬことと見つけたり」
(1977年ルパン三世(TV第2シリーズ)第10話「ファイルM123を盗め」)