新型コロナウイルスの拡大によって、日本のスポーツ界にも大きな影響が出ています。サッカーJリーグが公式戦を中断し延期を決定したことをはじめ、ラグビーのトップリーグ、バスケBリーグなども延期となりました。また、プロ野球のオープン戦、女子ゴルフの開幕戦は無観客で行われています。
今後も延期や無観客を発表する競技が増えていくと思われますが、日本のおとなり韓国では日本と似たような状況というよりも、より深刻な状況と言ってもいいかも知れません。
韓国野球委員会(KBO)は3月14日から予定していたKBOリーグのオープン戦(示範競技)について、リーグ発足39年目で初となる全50試合の中止を決定しました。
現在、KBOリーグ全10球団の一軍クラスの選手は1月末に韓国を出国し、海外で春季キャンプを行っています。現在、日本でキャンプを行っているのはサムスン・ライオンズ(沖縄県恩納村:3月5日まで)、LGツインズ(沖縄県うるま市:3月10日まで)、斗山ベアーズ(宮崎県宮崎市:3月7日まで)の3球団です。そのほか、台湾、オーストラリア、米国でキャンプを行っています。
今回、オープン戦の中止が決まったことで、サムスンは3月5日までを予定していた沖縄キャンプの延長を検討しているとのことです。サムスンは感染者が急増した韓国南東部の都市・大邱(テグ)市を本拠地としており、帰国しても大邱市で練習を行うのは不可能に近い状態と考えられるからです。さらに、ほかの球団にもキャンプ期間の延長を検討しているようです。
(2020年2月15日に行われた読売ジャイアンツ vs. サムスン・ライオンズの練習試合)
ちなみに、日本政府は2月27日午前0時から、大邱市と周辺の慶尚北道(キョンサンプクト)、清道(チョンド)郡に過去2週間以内に滞在した外国人の入国を拒否することを決めていますが、サムスンの選手、関係者は1月30日、一部選手はそれ以前から自主トレのため沖縄入りしているため、対象外となっています。
ただし、サムスンのキャンプ地のONNA赤間ボール・パークは、3月6日以降は名古屋学院大野球部がキャンプを予定しているため、サムスンがキャンプ延長する場合、他の練習場所を確保する必要がある可能性もありますが、大学野球部のキャンプ中止も相次いでいることから、同野球部も中止する可能性は高いとのことです。
帰るに帰れない選手がいるとともに、韓国脱出する選手もいるようです。
韓国プロバスケットボールリーグ(KBL)は、無観客でリーグを再開することにしましたが、釜山KTの米国選手が、「韓国は怖いから帰国する」と新型コロナウイルスを理由に退団帰国してしまっています。KBL規定では契約中の選手が一方的にチームを離れて契約を破棄した場合、選手資格がはく奪されてしまいますが、そのリスクもいとわないということです。韓国メディアは今後、韓国を脱出する外国人選手が次々と増えていきそうな気配があると伝えています。
サッカーのKリーグは開幕延期を発表しているものの、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)でも混乱が生じており、無観客試合で開催する承認を得ていますが、すでに中国クラブとの対戦が延期され、3月に韓国で試合を予定していたタイとオーストラリアのクラブは「韓国への入国を拒否」しているとのことです。
FCソウルと蔚山現代は予定された試合日に合わせて、それぞれタイとオーストラリアで先にアウェー戦を行う案も検討中とのことですが、現地に韓国人入国関連の規定が存在するため、それさえも実施できない状況になっているのです。
日本政府と東京都は東京オリンピック開催に意欲を示していますが、直近の3月6日に予定されている女子サッカーの東京オリンピック予選プレーオフは開催の危機。韓国女子サッカーは史上初のオリンピック出場までプレーオフを残すだけですが、その第1戦の開催地である龍仁(ヨンイン)市が開催拒否しているとのことです。
男子サッカーのワールドカップアジア予選も、韓国は3月26日にホームでトルクメニスタンと対戦する予定ですが、開催できるか不透明。さらに韓国人に対する入国禁止や手続き強化のなかで、海外組の招集にも問題が発生しそうで、日本のJリーグに所属する選手たちや、カタールリーグ所属選手たちが代表戦後にそれぞれの所属チームに復帰するとき、入国の問題が生じる可能性があります。
試合開催の問題だけでなく、代表選手の招集問題まであります。
3月22日から韓国の釜山(プサン)市で予定されていた世界卓球選手権大会は延期、3月13日からソウル市で予定されていたスピードスケート、ショートトラックの世界選手権は中止となり、大混乱となっている韓国スポーツ界です。
こう考えてみますと、これから先に事態がどうなっているか想像できませんが、日本が東京オリンピック・パラリンピックを開催する意向であるとしても、日本からの入国を禁止したり、入国した者を一定期間隔離したり、健康状態を観察したりするなど、入国手続きを強化した国が多くなれば、選手団を派遣しない国が出てきても不思議ではありません。
なお、3月28日に開幕予定の韓国プロ野球公式戦についてKBOは、3月3日の緊急実行委員会で運営方法などを話し合い、以後、理事会を開いて決める方針だそうです。