何をどのくらいやれば一所懸命にやっているといえるのでしょうか。
本当のところ、私にもよく判りません。
日本のプロ野球と米国のメジャーで活躍した長谷川滋利さんの話を少し紹介します。
彼は小学生二年生からソフトボールチームのピッチャーとしてプレーし始めました。
お父さんがチームの監督をしていた事もあって、一年中休みなく野球をやっていた記憶だったといいます。
休みは夏休みに温泉へ1泊2日で行ったくらい。
ほぼ野球漬け。日々の楽しみもプロ野球テレビ観戦、高校野球観戦(夏の予選は地元球場へよく見に行った)くらいだったといいます。
中学は全国優勝するくらいの厳しい野球部に入部。特に監督が厳しく、まったく休みがない。
冬の練習も休みなしにランニング練習中心に行っていたといいます。
その上、長谷川さんは学校に行く前には朝早く起きて、5円玉を持って神社まで30分、帰りも30分の計1時間ほぼ毎日ランニングを欠かさなかったという。
ですが、勉強をしなかったというと、そんなことはありません。
勉強の方も週に2度は平日の野球の練習後に塾に通っていました。
高校に入ってからは、ほぼ地獄の生活(本人談)。
朝は5時に起きて始発電車に乗って学校へ行き、朝練習。夜の練習後に電車に乗って帰ると家に着くのは午後10時前。
それでも大学へ進学したかったため、授業中はもちろん、電車の中でも勉強していました。
とにかく、目標の大学に行くために国語、数学、英語、社会の4科目だけを必死に勉強していたという(本人談)。
野球をしている中で、逆に勉強で気休めをしていたような感じだったという。
一・二年生のときに野球では思いどおりに出来なかった分、勉強に逃げていたとも言う。
その甲斐 あって大学に入学でき、野球でも中学、高校で頑張った蓄えで、すぐに結果が出た。
一方勉強の方は高校までの苦労の事を思えば大学時代は天国のような生活だったという。
「一所懸命やっているか?」と聞けば、ほとんどの子どもが「やっている」と答えるでしょう。
でも、このような話を聴いた後では、どの子もこの半分もやっていないように見えるのです。
今、プロ野球やメジャーで活躍しているイチロー選手や松坂選手など多少の差はあってもこれに近かったと思います。
このまねをして欲しいということではありません。また、このまねを子どもにさせるということではありません。
この話を参考にどのくらいやれば一所懸命やっているかという事を知ってほしいと思います。
これから先、この世の中は楽をして、簡単に生きていく事は無理だと思います。
地道に最後まで諦めずにやりぬくこと。
そうすればいつか必ず花が咲く。
好きな事であれば、なおさら苦労をしても、スランプに陥っても何とか乗り切れます。
今は野球をやっていて、将来別のことをやるのも構いません。
「どんなにつらくても、最後までやりぬくこと。やりきること」
このことが大切だと考えます。つらいことがあって、途中でやめたくなることもあるでしょう。
ただ、それでいいの?
自分がつらくなったら、やめてしまう。これではこれから先、同じことを繰り返してしまうかもしれません。
そこから離れれば、嫌なことはなくなるでしょう。
だけど、そうやって逃げてばかりいると全部とは言いませんが、また同じことで逃げてしまうような気持ちでの甘えも出てくることでしょう。
子どもたちには難しい話かもしれませんが、これは今後の自分の生き方も何ら変わる事はありません。
今、一所懸命やる事、毎日、地道にやる事によって、野球と同じようにあるいは学校の勉強と同じようにいつか花が咲くのです。
これから先、中学校や高校へ行ったとき。
野球をやっていなくてもいいです。でも、そのときに
「僕・私は、あのチームで野球をやっていたんだよ」
と胸を張って言えるようには是非ともなって欲しいものです。
そういうことへの期待も込めて、監督、助監督、コーチ、お父さん、お母さんが君たちに一所懸命に全力で、最後までやることを教えてくれているのです。
小さなことですが、きっと、続けることが、将来の自分のためになることでしょう。