スポーツ選手が、極度の集中状態にあり、他の思考や感情を忘れてしまうほど、競技に没頭しているような状態を体験する特殊な感覚を「Zone(ゾーン)に入る」と言います。
このゾーンに入ると、時間感覚が歪み物(ボール)や人の動きがゆっくりに見えたり、極端な時は止まって見えたりという事や、疲労を感じにくいという事が起きているそうです。
「自分の横に、もう一人の自分がいて、プレーしているのを客観的に見ている感じなんです。それでいて、すべてをスローに感じる。時間だけがゆっくり流れるんです」
これは元全日本女子バレーの竹下佳江さんがゾーンに入った時の状態を説明したものです。
野球でもバッティング好調時のコメントに「ボールが止まって見えた」「ボールが大きく見えた」がありますが、これもゾーンに入った状態と言ってもいいでしょう。
私たちも一般的に物事に集中し、外からの情報をシャットアウトした状態にいると、時間が経つのが遅く感じたりします。そんなような感覚だと思います。
ピッチャーの動き、ボールの速度やコース、相手チーム野手の動き、風向きや温湿度の状態、バットスイング時の力の入れ具合…これらすべてが、自分の手に取るような感じになる。
これが修業後の孫悟空が自分の意思で100%スーパーサイヤ人になれるように、自分の意思で100%の確率でZoneに入ることが出来ればいいのですが、ほぼ不可能だと思います。ただ、その確率を高めることは出来るはずです。
つまり、集中すると言うことは、余計な情報処理を少なくし、身体を直感的に動かすことを出来るようにすることです。これは繰り返しの練習によって、脳が瞬間的に情報処理して、自動的に体を動かせるようにすることです。
要するに最大のポイントとしては「余計なことは考えないこと」なのですよね。
スポーツにおいていいプレーが出来たりした場合、ほとんど自分の技術が「無意識」に発揮されていると思います。たとえばマラソンで「早く終わらないかなあ」と考えながら走るよりも、ただ走るだけを考える・・・究極的には、全身の筋肉を働かせるだけのことしか考えない方がパフォーマンスが発揮出来たりします。
そのような無意識の反応は、繰り返しの練習によって習得された技術においてのみ可能になるそうです。大切なのは小さなゾーンが起きたとき、それを感じられるようになることだそうです。