ちょうど一年前の2015年12月16日に日本高野連から、2016年の選抜高校野球大会の21世紀枠候補に和歌山県高野連が推薦した和歌山東高から辞退の申し出を受け、了承したと発表しました。理由は監督が三年生部員の頬を生活指導中に平手で2度たたいたということです。高野連はこの日開かれた審議小委員会で、報告遅れの部長とともに処分を日本学生野球協会審査室に上申しました。和歌山東高は最終候補の9校には入っていませんでした。
それから、約一ヶ月後の2016年1月27日に日本高野連は2016年の選抜大会出場候補校として推薦されていた島根・浜田高から推薦辞退の届け出があったと発表しました。理由は野球部内での暴力行為といじめでした。高野連はこれを了承し、同日に大阪市内で開いた審議委員会で有期の対外試合禁止処分が相当として、3月開催予定の日本学生野球協会審査室会議に上申することを決めました。
和歌山東高の件とは違い、浜田高の辞退に至った原因はまだ自分たちの手の届く範囲でのこと。一人ひとりが注意していれば防ぐことが出来てことでしょう。
こういうニュースを自分で見聞きしたり、学校で監督先生や部長先生などからも話を聞いたり、散々注意を受けたりしているはずです。でも、同じようなことは繰り返されてしまいます。
2017年の第89回選抜高校野球大会の21世紀枠長野県推薦校になっていた小諸商高が推薦を辞退し、12月14日に了承されたというニュースがありました。
ニュースによりますと、無料通信アプリLINEの画像変換機能を用いた送信が発端となり、11月27日に二年生部員が同級生部員の顔を殴る暴力行為に及んだというものです。
二年生部員のAとBがLINE上で画像変換機能を使い、会話をしていて、その中でAが同級生部員Cの画像変化を面白いと感じ、AはBに指示してグループLINEにCの変換画像を送信。そのLINEはほとんどの二年生部員が登録していた。その行為が発端となってもめ事が起き、CはAの顔を殴る暴力行為に及んだというものです。11月28日に不祥事が判明し、12月6日に同校は長野県高野連に辞退を届け出ました。殴られた部員にケガはなく、学校にも登校しているという。
同校は「野球ファンや関係者などの期待を裏切ってしまい、申し訳ない。野球部の指導を見直して、関係者と協力しながら立て直したい」としています。
これらは出場が決まった訳ではありませんが、そのチャンスを自らの手で放してしまったのです。
1975年の第47回選抜高等学校野球大会開会式当日の3月28日の朝。
福岡・門司工高野球部に非常にも出場辞退が告げられました。
その4日前、福岡県北九州市内で住居侵入、暴行未遂事件が発生。容疑者として門司工高の生徒2人が逮捕されたというものです。野球部員とは無関係の一般生徒が関わった事件ではありましたが、大会関係者からの同情論はなかった、そうです。
以前に紹介した、甲子園に向かう青函連絡船の中で出場辞退を知らされた北海道・北海高の「涙のUターン事件」と同様、この時も日本高野連の会長は佐伯達夫さんでした。不祥事には厳しい態度で臨み、門司工高の「出場辞退」を即決したそうです。
宿舎で学校長から説明を受けた門司工高の選手たちは、誰もがすすり泣きを漏らしたという。
門司工の前身は豊国中といい、1912年の創立。大正時代に2度、甲子園大会に出場したことのある古豪です。1946年に門司工高と改名し、現在は豊国学園高と名乗っています。
これまでに、選抜大会の出場権を得たにも関わらず、出場を辞退した学校は下記の12回、11校あります。
1935年 第12回大会 浪華商(大阪)
1952年 第24回大会 門司東高(福岡)
1958年 第30回大会 浪華商高(大阪)
1965年 第37回大会 高知商高(高知)
1967年 第39回大会 津山商高(岡山)
1971年 第43回大会 北海高(北海道)
1975年 第47回大会 門司工高(福岡)
1984年 第56回大会 函館大有斗高(北海道)
1987年 第59回大会 東海大浦安高(千葉)
1992年 第64回大会 神戸弘陵高(兵庫)
2000年 第72回大会 敦賀気比高(福井)
2006年 第78回大会 駒大苫小牧高(北海道)
また、この中で門司東高と津山商高の2校は出場権を手にしたのが、現在までのところ、この時だけで以降も甲子園の大舞台に縁がないままとなってしまっています。出場辞退の理由も、門司東高は甲子園出場の13人に期末テストを免除した為、津山商高は当時食中毒に見舞われながらも必死に戦って栄冠をつかんだのでしたが、応援団の不祥事の為に辞退となりました。
直接的には自分たちが原因ではないことでの出場辞退、それも開会式直前でのことは、やるせない気持ちでいっぱいだったと思います。
