2023年8月6日~8月22日までの予定で夏の甲子園大会(第105回全国高校野球選手権記念大会)が阪神甲子園球場で開催されています。
今年から変更になった開催要項があり、ベンチ入り登録選手数が20人(2022年までは18人)になり、また、暑さ対策として5回終了時に10分間の「クーリングタイム」が導入されました。
クーリングタイムといっても、いままでも5回終了時にはグラウンド整備時間があったため多少の休憩時間はあったのですが、時間を10分間として、選手の身体冷却や水分補給など暑さ対策に特化した取り組みをするというものです。原則として全試合に適用する方針とのことですが、気象状況によって大会本部がこのクーリングタイムを短縮したり、適用を中止することもあるそうです。
近年、環境省は熱中症の指標として、気温ではなく「身の回りの暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度)」という数値の情報を提供しています。
これは「湿度」「日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境」「気温」の3つから算出したもので、「気温が低くても湿度が高くて直射日光が当たるところでは、熱中症になる可能性が高くなる」ということで行動の目安にするようにしています。
早い話が、「人体と外気との熱のやりとり(熱収支)」に着目し、特に労働や運動時の熱中症予防に用いられています。
■危険(31以上):高齢者は安静状態でも発生する危険性が大きい。外出はなるべく避け、涼しい室内に移動
■厳重警戒(28以上から31未満):外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意
■警戒(25以上から28未満):運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる
■注意(25未満):一般に危険性は少ないが激しい運動や重労働時には発生する危険性がある
暑さ指数が28以上になると熱中症患者の発生率が増えるため厳重な警戒が必要であり、31以上になると危険な暑さとなり、日本スポーツ協会は31以上では、すべての生活活動で熱中症がおこる危険性があるとしており、並行して気温35度以上では、「特別の場合以外は運動を中止する」「特に子どもの場合には中止すべき」という指針を出しています。
これにともなって、日本サッカー協会(JFA)は2016年に熱中症対策ガイドラインを導入しています。
■31以上となる時刻に、試合を始めない(キックオフ時刻を設定しない)
■31以上となる時刻が試合時間に含まれる場合は、事前に「JFA 熱中症対策」を講じた上で、試合日の前日と翌日に試合を行わないスケジュールを組む
■28以上となる時刻が試合時間に含まれる場合は、事前に「JFA 熱中症対策」を講じる
基本的には暑さ指数が31以上、最高気温が35℃以上では試合を行わないということです。それはまさしく、選手の健康を第一に考えた視点であり、当然の決定であるでしょう。
2023年の全国高校総体(夏季インターハイ)のサッカー競技でも暑さ指数計を設置し、JFAのガイドラインにしたがって試合時間は前後半35分と本来より10分短くし、さらにクーリングブレイクや給水時間も設定した対策をとっています。
まだ、本州よりも多少は気温や湿度の低い北海道で開催されていても、このような対策をしてきているのですが、阪神甲子園球場のある兵庫県西宮市はこの比ではないでしょう。
ちなみに、神戸市の2023年7月29日~2023年8月4日の暑さ指数は次のとおりでした。
7月29日:30
7月30日:30
7月31日:29
8月1日:30
8月2日:30
8月3日:30
8月4日:30
大会が開催されている場所、時期と時間は違いますが、指数28~31の厳重警戒となり、「激しい運動は中止」ということになります。
サッカーに比べて野球が激しい運動かどうかは別としても、環境省、文部科学省、日本スポーツ振興センターなどの発表では学校管理下での熱中症で亡くなる件数は小中高では高校生が断然高く、発生状況ベースで「運動部活動」が約70%、しかも、種目別では野球がワースト1位で2位のラグビーの倍以上とのことです(大会などは別)。
元プロ野球選手の松井秀喜さんは、「高校野球も時代の変化とともに変わった方が良いと思います」「課題は日程だと感じますね。多くの地区は7月開幕ですが、もし可能ならば6月から始めるとかできないかと思いますが、難しいのでしょうかね?夏の甲子園は前半、後半のような2部制にすれば負担は軽減されるのではと感じますが、それも難しいのでしょうかね?」と声を挙げています。
元プロレスラー、元文部科学大臣の馳浩石川県知事も、石川大会の決勝が午後0時半から行われたことについて、「開始時間を早めるべき」「美談で終わらせてはならない」などと疑問を呈し、青山学院大学陸上部の原晋監督もSNSで、「選手、審判、応援団、ファン、灼熱の太陽の中誰がこの時間帯にプレーボールする事を望んでいるんでしょうかね!?涼しいエアコンの中で観戦してる方にはわからないんでしょうね!?」と投稿していました。
甲子園大会が始まる前のとある野球部が、甲子園の暑さに対応するために野球では冬などの寒い時期に着るようなスタジアムジャンパーを着ながら練習しているニュース映像を観ました。
もちろん、健康管理、安全管理に配慮していると思うのですが、根性論・精神論主体で野球やっている場合じゃないと思いながら、家で高校野球をラジオで聞いています(エアコンは使っていませんけど)。
本日も、拙文最後までお読みいただきありがとうございます。
皆さまにとって、今日という日が昨日よりも特別ないい日でありますようにお祈りいたしております。
また、明日、ここで、お会いしましょう。それではごめんください。
今年から変更になった開催要項があり、ベンチ入り登録選手数が20人(2022年までは18人)になり、また、暑さ対策として5回終了時に10分間の「クーリングタイム」が導入されました。
クーリングタイムといっても、いままでも5回終了時にはグラウンド整備時間があったため多少の休憩時間はあったのですが、時間を10分間として、選手の身体冷却や水分補給など暑さ対策に特化した取り組みをするというものです。原則として全試合に適用する方針とのことですが、気象状況によって大会本部がこのクーリングタイムを短縮したり、適用を中止することもあるそうです。
近年、環境省は熱中症の指標として、気温ではなく「身の回りの暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度)」という数値の情報を提供しています。
これは「湿度」「日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境」「気温」の3つから算出したもので、「気温が低くても湿度が高くて直射日光が当たるところでは、熱中症になる可能性が高くなる」ということで行動の目安にするようにしています。
早い話が、「人体と外気との熱のやりとり(熱収支)」に着目し、特に労働や運動時の熱中症予防に用いられています。
■危険(31以上):高齢者は安静状態でも発生する危険性が大きい。外出はなるべく避け、涼しい室内に移動
■厳重警戒(28以上から31未満):外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意
■警戒(25以上から28未満):運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる
■注意(25未満):一般に危険性は少ないが激しい運動や重労働時には発生する危険性がある
暑さ指数が28以上になると熱中症患者の発生率が増えるため厳重な警戒が必要であり、31以上になると危険な暑さとなり、日本スポーツ協会は31以上では、すべての生活活動で熱中症がおこる危険性があるとしており、並行して気温35度以上では、「特別の場合以外は運動を中止する」「特に子どもの場合には中止すべき」という指針を出しています。
これにともなって、日本サッカー協会(JFA)は2016年に熱中症対策ガイドラインを導入しています。
■31以上となる時刻に、試合を始めない(キックオフ時刻を設定しない)
■31以上となる時刻が試合時間に含まれる場合は、事前に「JFA 熱中症対策」を講じた上で、試合日の前日と翌日に試合を行わないスケジュールを組む
■28以上となる時刻が試合時間に含まれる場合は、事前に「JFA 熱中症対策」を講じる
基本的には暑さ指数が31以上、最高気温が35℃以上では試合を行わないということです。それはまさしく、選手の健康を第一に考えた視点であり、当然の決定であるでしょう。
2023年の全国高校総体(夏季インターハイ)のサッカー競技でも暑さ指数計を設置し、JFAのガイドラインにしたがって試合時間は前後半35分と本来より10分短くし、さらにクーリングブレイクや給水時間も設定した対策をとっています。
まだ、本州よりも多少は気温や湿度の低い北海道で開催されていても、このような対策をしてきているのですが、阪神甲子園球場のある兵庫県西宮市はこの比ではないでしょう。
ちなみに、神戸市の2023年7月29日~2023年8月4日の暑さ指数は次のとおりでした。
7月29日:30
7月30日:30
7月31日:29
8月1日:30
8月2日:30
8月3日:30
8月4日:30
大会が開催されている場所、時期と時間は違いますが、指数28~31の厳重警戒となり、「激しい運動は中止」ということになります。
サッカーに比べて野球が激しい運動かどうかは別としても、環境省、文部科学省、日本スポーツ振興センターなどの発表では学校管理下での熱中症で亡くなる件数は小中高では高校生が断然高く、発生状況ベースで「運動部活動」が約70%、しかも、種目別では野球がワースト1位で2位のラグビーの倍以上とのことです(大会などは別)。
元プロ野球選手の松井秀喜さんは、「高校野球も時代の変化とともに変わった方が良いと思います」「課題は日程だと感じますね。多くの地区は7月開幕ですが、もし可能ならば6月から始めるとかできないかと思いますが、難しいのでしょうかね?夏の甲子園は前半、後半のような2部制にすれば負担は軽減されるのではと感じますが、それも難しいのでしょうかね?」と声を挙げています。
元プロレスラー、元文部科学大臣の馳浩石川県知事も、石川大会の決勝が午後0時半から行われたことについて、「開始時間を早めるべき」「美談で終わらせてはならない」などと疑問を呈し、青山学院大学陸上部の原晋監督もSNSで、「選手、審判、応援団、ファン、灼熱の太陽の中誰がこの時間帯にプレーボールする事を望んでいるんでしょうかね!?涼しいエアコンの中で観戦してる方にはわからないんでしょうね!?」と投稿していました。
甲子園大会が始まる前のとある野球部が、甲子園の暑さに対応するために野球では冬などの寒い時期に着るようなスタジアムジャンパーを着ながら練習しているニュース映像を観ました。
もちろん、健康管理、安全管理に配慮していると思うのですが、根性論・精神論主体で野球やっている場合じゃないと思いながら、家で高校野球をラジオで聞いています(エアコンは使っていませんけど)。
本日も、拙文最後までお読みいただきありがとうございます。
皆さまにとって、今日という日が昨日よりも特別ないい日でありますようにお祈りいたしております。
また、明日、ここで、お会いしましょう。それではごめんください。