「チャレンジ」とはベネッセコーポレーションが展開する進研ゼミの小学生向け通信教育のことです。
通称「チャレンジ〇年生」と呼ばれることもあって、一度は耳にされたことがあると思います。特に毎月「教材」として、ドリルだけでなく、付録が届くのが特徴であって、この付録目当てで、本体のドリルはそっちのけという、悲しい状態のご家庭は多いと思います。我が家はその罠(?)に陥ってしまったのです。
昔はすべてのテキストの取り組んだ後、その月の後半に「赤ペン先生の問題」と呼ばれる添削サービスに提出すると、毎月「がんばりシール」と呼ばれる、努力賞をもらうために必要なシールが1教科あたり8枚もらえました。
2016年4月からアップル社のiPad用のアプリを使用したオンライン学習システムが導入されています。紙の教材と併用するため「ハイブリッドスタイル」と呼ばれ、毎月の赤ペン先生の問題もあるそうです。
ただ、何事も続けなければ努力は実りません。子どもがやる気を出して、順調に進んでいけばいいのですが、テキストやドリルが溜まってきたら、もう雪だるま式に負債がたまっていきますので、親としては投資回収させるために、子どもに”やれやれ攻撃”になり、子どもはそれに反発して、互いにWin-Winの関係にはなりません。そんな時には、きっぱりと中断する勇気も必要でしょうね。「やれるときにやればいい」のであって、いつからでも、別の方法でも「チャレンジ」できますから。
さて、日本語では以下のようなときに「チャレンジ」という言葉を使いますよね。
(その1) 今年はハーフマラソンにチャレンジしてみようと思う。
(その2) 一番のチャレンジは、ブランド認知度を上げることだ。
実は、英語として正しいのは(その2)のような使い方で、(その1)のような使い方はしないそうです。これは、英語では日本語のように「頑張る」「挑戦してみる」という意味の動詞として“challenge”を使いません。”challenge”を「頑張る」「挑戦してみる」という意味合いで使うのは日本語的な表現と言ってもいいかもしれません。英語の”challenge”は「頑張る」「挑戦してみる」という意味ではなく、「大変なこと」「課題・問題」という意味で使われるのです。では、「頑張る」「挑戦してみる」という意味で「チャレンジ」と言いたい場合は、英語では”try”になるそうです。
ちなみに、“challenge”を動詞として使うと「異議を申し立てる」「挑発する」という意味になります。例えば、テニスで審判の判定に対して異議を申し立てることを「チャレンジ」と言います。
国際テニス連盟は、ライン付近の微妙な判定に「ホークアイ(鷹の目)」システムを導入することを2005年10月に承認し、2006年3月22日からのナスダック100オープンで、テニス史上初のビデオ判定が行われました。そして、2006年8月の全米オープンで、4大大会では初めてビデオ判定が導入されました。2007年以降は全豪オープン、ウィンブルドン選手権でも導入、日本では2008年の東レ・パン・パシフィック・オープン・テニストーナメントにおいて使用されたのが初めてです。ただ、全仏オープンやマスターズ1000のようなクレーコート(赤土のコート)で開催される大会は打った球は痕が残るため、選手の異議があれば審判がコートまで確認に走り判定をしに行くようになっています。
選手はライン際のイン、アウトの微妙な判定に対し、1セットにつき3回失敗するまで「チャレンジ(ビデオ判定を要求)」する権利を持っています。つまり、チャレンジが成功し続ける限り何度でも要求可能なのです。TVなどで観たことがあると思いますが、ビデオ判定の際にはCG加工された映像が場内の大型スクリーンに映され、観客の手拍子とともにシステムが行った判定の結果が分かるようになっていて、ショー的要素も含んでいます。
このシステムは、イギリスのホーク・アイ・イノベーションズが開発を手がけたシステムで、軍事技術のミサイル誘導技術を応用したもので、コート周囲に10台のカメラを設置し、ボールがどのような軌跡を描いたかを瞬時に映像解析を行うことができます。プロテニス界にとって1971年のタイブレーク導入以来のルール上の革命とも言われ、単に判定の正確性という観点のみならず、チャレンジ要求のタイミングが試合の流れを大きく左右することも少なくないとのことです。
他にNFL(アメリカンフットボール)では、「インスタント・リプレー」というビデオ判定制度が導入されており、チームのヘッドコーチが判定に対して異議がある場合、1試合に最大3度までタイムアウトの権利を賭けて審判にビデオ映像による判定の再確認を要求する「チャレンジ」を行うことができる。チャレンジで異議が認められた場合には、問題の判定を覆した状態で試合が再開され、認められなかった場合にはタイムアウトを1つ消費した事になっています。
他にはバレーボール、ラグビー、レスリングなどで「チャレンジ」制度が導入されています。
なお、本業以外で話題の大相撲では「物言い」と言い、1969年五月場所よりビデオ判定が導入されており、「チャレンジ」制度の先駆けともいえるでしょう。一つだけ要望があるとすれば、本場所のみならず、地方巡業の後の酒宴の席においてもビデオ判定ができるようになっていれば、物事はより明確になるでしょう。