大学野球連盟の話をする前に、日本の野球組織についてです。その組織はは一言で語れないほど複雑です。
大きなくくりとしてプロ、社会人、学生、軟式野球の4つの組織がそれぞれ独立して組織、運営され、発展してきたという歴史的な経緯があり、別の組織に干渉されることを拒んでいました。
しかし、野球がオリンピックの正式競技となることが決定すると、1990年に日本野球連盟と日本学生野球協会が全日本アマチュア野球連盟を設立して日本オリンピック委員会へ加盟、バルセロナオリンピックへの代表選手派遣を行いました。その後、プロもオリンピックの野球競技へ参加することが認められるようになるとプロとアマチュアの統一代表チームを作る必要性が生じます。ですが、それぞれが干渉されることを嫌ったため、組織の統一は進みませんでした。そこで全野球団体によって構成される会議体方式で全組織をまとめる案で各競技団体が了承し、日本では初めてとなる野球界の統一横断組織、日本野球協議会が2016年にようやく設立されました。
目指すところは、女子野球や日本で誕生した軟式野球などまで含めた野球競技全体の組織の統括ですが、まだ、実状としてはそうではなく、アマチュア野球では独立リーグ、軟式野球の中には参画していない組織もまだあります。
日本代表チームの編成だけではなく、プロとアマチュアの間の情報交換や普及のための統一施策の検討と実施、技術向上のための方策検討なども行われており、野球界全体を調整します。
特に目玉となるのが「野球日本代表『侍ジャパン』の強化に関すること」ですが、侍ジャパン強化委員会は「U-12からトップチーム、女子に至るまで日本代表として最高の選手の選出に向けて審議をする」としながら、そのあとに「基本的には各カテゴリーで中心となる選手が所属する団体が監督、選手らを選考する」と明記していますので、結局は年代ごとのチームでの選考となってしまいます。
目指すところは2020年の東京オリンピックでの金メダルと第5回ワールドベースボールクラッシックでの優勝でしょう。そのためには、次世代の強化と、今更ながらの日本での野球の普及や人材確保だと思います。
日本サッカーは日本サッカー協会(JFA)がトップとなり、ワールドカップなどの収益から、予算を各県の協会に割り振って、4歳以上の子どもの普及活動に活用しています。プロとアマの垣根はなく、フットサルも同じように扱っています。指導者に関するライセンス制度も明らかです。
野球は、まだまだ組織間指導者のライセンスもまだ明確ではありません。学童・少年野球の指導者の大半は、月謝さえ取らずボランティアです。また、NPBやアマチュア野球から補助金や支援金が入ることもありません。プロ野球球団の中には、ジュニアチームを持っているところもありますが、限定的です。
「日本野球協議会」の発足は、何もしないよりはましだと思うのですが、実態が不明なのが如何ともしがたいです。