2018年の年始に「今年の夏は日本武道館3連戦だ」という望みは儚くも打ち砕かれました。もちろん、7月8日(日)と8月12日(日)の昇竜デーでのレプリカユニホーム配布試合にも行けませんでした。
(©ドラゴンボールより)
西で高校野球で盛り上がっている日本列島。東では東京・日本武道館大会で新日本プロレスの真夏の祭典「戦国炎舞 -KIZNA- Presents G1 CLIMAX 28」の3連戦で盛り上がりました。最終戦となる8月12日には、優勝決定戦などが行われ、満員札止めとなる1万2112人を動員しました。
今年のG1は20選手がABの2ブロックに分かれ、総当りリーグ戦で激突しました。優勝決定戦は、Aブロック1位の棚橋弘至選手とBブロック1位の飯伏幸太選手が激突し、G1歴代最長タイムとなる35分の激闘の末に、棚橋選手が3年ぶり3度目の優勝を決めました。
過去に棚橋選手と飯伏選手はシングルで3度対戦しています。以前から飯伏選手は棚橋選手のことを「神」と崇めていて、シングル初対決となった3年前の7月20日の札幌大会でのG1開幕戦では、棚橋選手がハイフライフローで勝利。昨年の8月1日の鹿児島大会では、現在の飯伏選手のフィニッシュ技「カミゴェ」を初公開し、棚橋選手から勝利しています。ちなみに「カミゴェ」は「神(棚橋選手)を超えた」ということで命名されています。同年11月5日の大阪大会では、IWGPインターコンチネンタル王座を賭けて再戦し、ハイフライフローで王者・棚橋選手が王座防衛に成功しています。
優勝決定戦の棚橋選手のセコンドには昨年4月から長期欠場中の戦友・柴田勝頼選手が、そして飯伏選手のセコンドには「ゴールデン☆ラヴァーズ」の盟友ケニー・オメガ選手が就きました。
私はネットで速報を観て、翌日、ニュースを観て、後日YouTubeでダイジェストを観ました。これは日本に帰ってから録画を観るのを楽しみにしています。
飯伏選手は打撃中心の技、ムーンサルトプレス、エプロンでのフットスタンプを放ち、ひとでなしドライバーで脳天からマットに突き刺せば、棚橋選手は歯をくいしばりながら、耐えに耐えて飯伏の膝を攻め、グラウンド式ドラゴンスクリュー2連発、テキサスクローバーホールド、ロープ越しのドラゴンスクリュー、場外へのハイフライアタックとたたみかけます。
しかし、飯伏選手も飛びつき式フランケンシュタイナー、スワンダイブ式ケブラーダ、雪崩式フランケンシュタイナーと得意の空中戦へ。さらにハーフネルソンスープレックスからついにカミゴェを繰り出しますが、棚橋選手は腕をクロスして防御。
その後、飯伏選手の掌底、棚橋選手の張り手、エルボー合戦と打撃戦になり、棚橋選手がスレイングブレイド、ダルマ式ジャーマン、そして、ハイフライフローを出しますが、飯伏選手のヒザ剣山でブロックされてしまいます。
試合は30分を超え、飯伏選手はボマイェ風ヒザ蹴り、その場飛びムーンサルト式ダブルニーアタック、やり投げ、スワンダイブ式ジャーマンスープレックス、シットダウン式ラストライドと猛ラッシュ、手をつかんでカミゴェを繰り出すものの、またも不発になります。棚橋選手はツイストアンドシャウト2連発、ドラゴンスープレックスを繰り出すと、怒涛のハイフライフロー3連発を食らった飯伏選手がついに力尽きました。棚橋選手は3年振り3度目、そして平成最後のG1を優勝という最高の形で終えました。
TVの実況解説を務めていた元サッカー日本代表の中山雅史さんから優勝トロフィー、黒のカリスマ・蝶野正洋さんから優勝旗を贈られた棚橋選手。3年前にはリング上で旗を折ったというアクシデントがあったためか、優勝旗の振り回し方は控え目でした。
「G1、生き残りました。それはすなわち、新日本プロレスで生き残ったということ。これから先、1・4東京ドームも、さらにその先も、オレが引っ張っていきます」と言った後に恒例のエアギター、そして、「今日はありがとうございました。逸材、完全復活。見ててください。武道館の皆さん、愛してまーす!」と絶叫しました。バックステージでのインタビューは棚橋選手らしいものでした。「今まで、苦しんだ分……苦しんでない、楽しんで、喜んでやってきたけど結果が出なかった分、今日はいつもよりうれしいです」と、頂点へ返り咲いた思いを打ち明けました。
棚橋選手は1999年10月に新日本プロレスでデビュー。以降、闘魂三銃士が去った2000年代の冬の時代をエースとして支え、2012年には当時IWGPヘビー級歴代最多連続防衛記録となるV11を樹立しました。その後にオカダ・カズチカ選手にベルトを奪われ、今年5月にはその記録を塗り替えられました。2017年には、6年連続で勤め上げてきた1・4東京ドーム大会のメインイベントの座から陥落。度重なる負傷と欠場の繰り返しで、タイトル戦から遠ざかり、今年春のNEW JAPAN CUPでは、「必ず頂点に返り咲く」と宣言しながら、決勝戦でザック・セイバーJr.選手に敗れて準優勝止まり。全身ボロボロで、全盛期のような若さや躍動感あふれる試合は見られなくなっています。それでも、今の自分の体で、できる技で、全力で戦うことで、勝利を積み上げ、頂点へと返り咲くことが出来ました。優勝後のリング上のマイクアピールが物語っています。
平成最後のG1を制し、次なる狙いは例年どおりであるならば、2019・1・4東京ドーム大会のメインイベント出場になるでしょう。あとは棚橋選手次第になります。ここから下がるか、それともここから上がるか。ドームですんなりとケニー選手との対戦が実現するのか? それとも違うカードになるのか?
今年の後半の新日本プロレスマットは見どころ満載です。