第95回全国高校ラグビーフットボール大会は東海大仰星高校が4度目の優勝を果たしました。テレビを観ていますと、高校生を超越したような立派な体格に圧倒されます。
以前、そのラグビー部を率いる湯浅大智監督のインタビュー記事がありました。
ラグビー部の平日の平均練習時間は16時10分から約3時間ほどで、長くても19時30分までには終わるというより、終わらせることを強く意識しているそうです。その理由は選手たちの休養時間を充分に取るためだそうです。身体が思うように大きくならない要因として「食事が足りない」「トレーニング方法が間違っている」といったことよりも「休養がきちんととれていない」というケースの方が実は多いと言っています。
まず、家に帰る時間が遅くなると疲労回復に効果的がある入浴の時間が短くなります、すると、夕飯を食べる時間が遅くなり、胃の中にまだ夕飯が残っている状態で寝ることになります。すると、寝ている間に消化エネルギーが使われ、身体が疲労回復に集中出来なくなり、充分に休養出来ないままで、翌日を迎えてしまいます。この状態が続きますと、徐々にエネルギーが減って行ってしまい、いずれはエネルギー切れになってしまいます。そうすると、翌日の勉強にも影響するでしょうし、同じトレーニングをしても成果が異なってしまいます。
ただ、それだけでは足りません。人が本当にリラックスして、休養状態に入るのは副交感神経が優位に働いているときになります。ですから、副交感神経を優位に働かせた状態で就寝することで、成長ホルモンの分泌が活発になります。「寝る子は育つ」という言葉があるとおり、睡眠は一日の中でもっとも副交感神経が優位になる時間になります。身体の回復も新陳代謝も栄養の吸収も老廃物の排出も、まったく違います。また、寝る前に少しぬるめのお風呂にゆったりとつかると、副交感神経が優位になります。お風呂あがりには温まった体温がすーっと下がって、深い眠りへと寝つきもよくなります。ただ、ゆったりのお風呂がいいとはいえ、無理して長湯するのは逆効果で、交感神経に切りかわってしまうことがあるそうです。
最近は、寝る直前までスマホやパソコンを触っていると、ブルーライトの影響で副交感神経が優位に働かないことが判ってきました。寝る直前までブルーライトを浴びていると、リラックスしているつもりでも、実際は交感神経が優位に働いてしまうそうです(会社でパソコンの前で仕事をしていると眠くなるのはなぜ?)。寝る前にはスマホやパソコンはほどほどにした方が良いでしょう。
それと、夜、寝る前に素振りをする高校球児がいると思いますが、これも交感神経を刺激してしまうため、睡眠には良くないとのことです。素振りをするならば、寝る前よりもお風呂前、それよりも、朝一番で、素振りとともに筋力トレーニングをする方が、身体は大きくなりやすいそうです。
また、食事については空腹の時間を極力なくすことが大きなポイントになるそうです。人は空腹を感じたときには既にエネルギーがない状態ですから、逆に筋肉などからエネルギーを補充する状態になります。つまり、せっかく身体を大きくして筋肉を付けたところで、空腹状態になってしまうと、貯金がなくなってしまうことになります。どうせ、苦しくなるほどに食べても、一度に吸収できる栄養素の量には限界がありますから。
また、夜、寝る前にご飯をたくさん食べすぎると、寝ている間もエネルギーを費やしてしまいますので、夜はほどほどにして、朝しっかり食べた方がいいそうです。また、食べる際にはよく噛むことも重要で、たくさん咀嚼することで固形物も小さくなり、唾液、胃液もしっかり出るため、消化がスムーズに進むそうです。
これらは特にスポーツをやるからという訳ではありませんよね。日常的に気を付けておくべきことでもあります。
湯浅監督は「どんなトレーニングをするかより、どんな日常を送るかの方が大事」という話をしているそうです。食事、睡眠、休養といった要素を踏まえ、日常生活をきちんと送る方が身体作りということにおいて、求める成果が出やすいとのことです。
確かに練習はどこも同じような内容であって、教え方に多少の差はあるにしても、その効果は大差が出るほどのことではないでしょう。それよりもの、その他の部分で差が付く要因がると思います。もちろん、この日常生活に関係することは、その一つであるでしょう。
最後に、面白いなと思った内容が「必要性を感じない長距離ランニング」でした。ラグビー界から見ると野球界は「長距離ランニングの量が多い」という印象がすごくあるそうです。実際、試合が出来ない冬場に長い距離を走りこんでいる姿をよく見ます。私も野球部は走っていても、サッカー部やラグビー部が走り込んでいるところをあまり見ていません。
東海大仰星高ラグビー部もランニングはするそうですが、10分間の間にジョギングとダッシュを交互に入れ混ぜたりすることはあっても、10km走のような長距離メニューはないそうです。野球はラグビーよりも持久力よりも瞬発力が求められる競技であり、長時間、走る必要性はないように感じるそうです。もっと、スピード、強さといった部分に特化したトレーニングをしてもいいのではないかとのことです。もしも、湯浅監督が野球の指導者であれば、長距離を走る時間はすべてウエイトトレーニングに回すそうです。また、ランニングメニューの時間を設けてしまうと練習時間が長くなってしまい、19時30分までに帰れなくなるということが大きな理由なのだそうです。
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まっくろくろすけ
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