第91回選抜高校野球大会が幕を閉じました。
最終日に応援に関する表彰があり、徳島県から出場していた富岡西高の応援団が最優秀賞を受賞しました。このニュースが地元・徳島新聞の4月4日付け朝刊に掲載され、また、「読者の手紙」というコーナーに、「富岡西応援 夫の遺影と共に」という読者の投稿欄にタイトルがあったそうです。
差出人は千葉県の女性の方で、女性の旦那さんは富岡西野球部のOBであり、甲子園初出場をとても喜んでいたそうです。そして、地元から送られてくる徳島新聞の記事を繰り返し読み「必ず応援に行って、みんなで校歌を歌いながら号泣するんだ」とうれしそうに笑っていたそうです。
そんな中、3月7日、富岡西高の初戦だった3月26日を目前にして、突然なくなってしまったそうです。「入院して3週間、あまりに突然だった。ぼうぜんとする日々の心の支えは『彼の代わりに富西を応援する』ただその思いだけだった」と思ったそうです。
そして、女性はスクールカラーのえんじで埋まるアルプススタンドで、旦那さんの遺影を抱きしめ、旦那さんの代わりに旦那さんの後輩たちの活躍を見守ったそうです。
「卒業生でない私には校歌は歌えなかったけれど、彼は天国で高らかに歌っていたに違いない」
「顔をくしゃくしゃにして後輩たちにはっぱをかけ、ファインプレーには大きな拍手をし、惜しいプレーには愛のむちのブーイングを飛ばしていただろう。あれほど応援に行きたがっていた選抜。きっと満足してくれたに違いない」
最後は富岡西高野球部への感謝を伝え、今後の活躍を祈っていたというものです。
今回、富岡西高応援団の最優秀賞の受賞理由は、「スクールカラーのえんじ色のウエアと帽子で統一された応援団がアルプススタンドをぎっしりと埋め、阿波踊りを取り入れたご当地色のあるユニークな応援や、一打一打への大声援など活気と勢いに満ちていた」なっています。スムーズな入場や整然とした待機時の様子などマナーの良さも評価されました。
今回、地元・阿南市からバス44台で約3000人が駆け付け、また、関西や関東、日本各地から同窓生や関係者が甲子園球場に集ったそうです。
選手一人一人に、それぞれの人生があるように、応援に訪れた一人一人に、それぞれの人生があり、いろんな思いがあると思います。この甲子園の舞台に立つまでの、一球一球の物語がここにはあると思います。創部120年目にして初の甲子園出場となった富岡西高は、応援も初めてのことです。そんな中で今回、最優秀賞を受賞したということは、現役生も当然のことながら、OBの方々も含めて、応援に訪れた方々全員が、いかに素晴らしい心のこもった応援だったということだと思います。
きっと、先の千葉の女性の方のように。
応援団代表の梶本さん
「甲子園へ連れてきてくれた野球部のみんなにありがとうと言いたい。夏も連れてきてほしい」
野球部・坂本主将
「アルプスの応援が大きな力になった。夏は勝って恩返ししたい」
応援は、選手やチームにとっては、心強い後押しになります。
それとともに、そこに生きる人にとっても、心強い後押しになることでしょう。