野球で使うボールのことを、その色から「白球」なんていいます。
水島新司さんのマンガ「球道くん」の主人公、中西球道の名前の由来になっている「球けがれなく道けわし」は、「白球のようなけがれない純粋な気持ちで野球に打ち込め、しかし球道を極める道は険しい」という意味です。選抜大会が終わりましたが、高校野球は、こうあって欲しいものですよね。
さて、プロ野球では「汚れた白球」が使われているのです。おろしたての真っ白なボールが試合で使われることはないのです。
というよりも、プロ野球では、試合で使用するボールは、特殊な砂によってあらかじめ汚すことが公認野球規則によって決められているのです。
公認野球規則3・01「試合の準備」
(C)正規のボール(リーグ会長がホームクラブに対して、その個数および製品について証明済みのもの)を、ホームクラブから受け取る。審判員はボールを検査し、ボールの光沢を消すため特殊な砂を用いて適度にこねられていることを確認する。(以下略)
ここでいうボールの光沢とは、皮をなめすときの油や糸についている蝋(ろう)のことで、これを「特殊な砂」を使って揉んで、取り除いて使うという決まりになっているのです。
この「ボールを汚すための砂」は「もみ砂」と呼ばれていて、2011年からは12球団ともに同じ「もみ砂」を使うよう統一されています。この「もみ砂」は、歩くと音がする「鳴き砂」で有名な京都府京丹後市の琴引浜の白砂と、鹿児島県の火山灰を含む黒土を「秘密の配合比率」でブレンドして作るそうです。
そして、試合前にホームチームの用具係が、この砂を使ってボールを揉んで審判員に渡すことになっているそうです。
MLBでは1950年代からこの「デラウエア川の川砂」が使用される決まりとなっていて、試合前に審判員が自分の唾と一緒に掌につけて揉んで確認することになっているとのことです。ただし、日本の砂ように粒子の大きい砂ではなく、「デラウエア川の川砂」は粒子が細かく、ほぼ泥に近いものだということで、泥状の砂はボールの表面に付着したままとなって、それが多いと逆にボールは滑り易くなってしまうそうなのです。
ちなみに、先日横浜スタジアムに行ったとき、初回の中日ドラゴンズの攻撃時に大島選手のファールボールが私共の座席にライナーで一直線に飛んできました。実際、微妙にずれて隣の席にへと。
これを見ますと、確かに純粋な「白球」ではありませんでした。
ただ、以前、T・ウッズさんや英智さんにもらったイニング間のキャッチボールのボールとは違って、臭くはなかったです。