台湾プロ野球の人気球団ラミゴモンキーズが7月に球団を売却する意向を表明していましたが、日本の楽天株式会社が買収するとのことです。
2004年のプロ野球球団設立に始まり、近年、楽天は幅広くスポーツ事業に取り組んでいます。2014年にはJ1ヴィッセル神戸の経営権を取得。2017/2018年シーズンからサッカーのスペインリーグ強豪・FCバルセロナと4年総額2億2000万ユーロ(約257億円)でメインパートナー契約を結び、さらに2018年は総額約100億円の大型契約で同クラブからイニエスタ選手を獲得しています。
また、2009年からスポンサーを務めるテニスの楽天ジャパン・オープンや、16年ぶりに日本で開催されるNBAのプレシーズンゲームマッチも主催しています。
さて、ラミゴモンキーズは台湾のプロ野球組織である中華職業棒球大連盟(CPBL)に所属する球団で、親会社は靴メーカーのLa Newです。2003年に当時の第一金剛から球団を買収し、ラニューベアーズとして発足。2006年には初めて台湾シリーズで優勝し、アジアシリーズに出場。アジアシリーズでは決勝で北海道日本ハムファイターズに敗れて準優勝でした。本拠地を桃園市に移した2011年に現チーム名に改称しています。
2006年の初優勝から過去6度の台湾王者。13度のリーグ優勝も誇り、リーグ記録となる5半期連続優勝は現在まで続いています。
美人チアのラミガールズが有名であり、活気のある応援スタイルで若いファンも多く、現在では中信ブラザーズや統一ライオンズといった老舗球団をも凌ぐ人気を誇っています。
球団ゼネラルマネジャーは、「16年の間、年間およそ1億台湾ドル(約3億5000万円)を負担してきた。球団の更なる発展のためには、もっと資源を投入しなければならないが、それは我が社が負担できる範疇(はんちゅう)を超えている。まだチームが強い競争力を持っている間に、実力のある企業が引き継ぐべきだ」と、売却について説明しています。
球団発足当初の平均入場人数は約3000人でした。2009年には八百長問題の影響を受け、一時期は平均約2000人まで入場者数が落ち込み、苦しい時期が続きました。2011年のラミゴに改称後は、約7500人まで入場者数は増えましたが、収益自体は伸び悩んでいました。
主な原因は、チケット料金だそうです。球団が発足した当時から、チケット代はおよそ300台湾ドル(約1000円)のまま。一方で選手の給料は16年間で3倍になっているそうです。ですから、入場者数が増えても、それ以上に選手や球場の費用などが増加していく一方なのでした(人が太っていく理屈のようなものです)。
また、台湾プロ野球の試合レベル自体も一要因だそうです。2016年以降、台湾リーグは打撃力を大きく向上させた一方で、ピッチャーの実力低下を招きました。現在の台湾リーグには国を代表するような台湾人ピッチャーが見当たらず、打撃がいい分、試合時間が長くなってしまい、従来の台湾野球の面白さを失いつつあり、昔からのファンは離れていっているようです。
そのような状況であり、ほかの3チームの親会社は何れも大手企業でもあるため、まだ経営を続けることが可能のようですが、中小企業のラミゴは将来的に経営が難しくなるとみて、球団として一番脂ののった今、身売りすることを選択したとのことです。
もちろん、東北楽天ゴールデンイーグルスにとっては、今後、台湾とのパイプがより太くなり、有望な選手の獲得などのメリットがあると思われます。
16年間で貧乏球団から台湾球界一の人気球団となったモンキーズ。
現在の本拠地の桃園市中壢區は、私が長期出張で生活したところでもあって、応援しているチームです(決して、ラミガールズ目当てではございません)ので、これからも頑張って欲しいですね。