野球小僧

指名打者(DH/Designated Hitter)

指名打者(以下、DH)とは、公認野球規則5.11にもとづき、野球の試合において攻撃時にピッチャーに代わって打席に立つ、攻撃専門の選手のことです。DH(designated hitter の略)や指名代打とも言います。

なお、ソフトボールの試合においては、任意の野手に代わって打席に立つ打撃専門の選手として指名選手(DP / Designated Player)が認められており、指名選手はどの守備位置の選手にも適用可能です。

NPB(日本プロ野球)とMLB(メジャーリーグベースボール)の一部、KBO(韓国プロ野球)、中華職業棒球大聯盟(台湾)、セリエ・ナシオナル・デ・ベイスボル(キューバ)などのプロ野球リーグ、四国アイランドリーグplus、ベースボール・チャレンジ・リーグなどの独立リーグや社会人野球、日本の一部の連盟を除く大学野球、および日本中学硬式の「フレッシュリーグ」などで採用されており、国際試合においても採用されることが多くなっています。それ以外の少年野球、高校野球の公式戦では採用されていません。

DHは1972年に当時、投高打低で人気も低かったMLBアメリカン・リーグ(ア・リーグ)で、これを解消するためオークランド・アスレチックスのオーナーだったチャーリー・O・フィンリーさんらのアイディアによって、翌1973年よりア・リーグで初めてDHが採用されました。DHとして最初に打席に立ったのはニューヨーク・ヤンキースのロン・ブルームバーグさんでした。

NPBでは元・阪急ブレーブスの高井保弘さんが代打で多くのホームランを打っていたことから、1974年に毎日新聞に米国記者の「あれだけの選手というのはもったいない、日本も米国に倣いDHを導入すべき」というコラムが掲載されたことがきっかけで議論され、人気低迷だったパシフィック・リーグがア・リーグを参考に1975年から採用しました。日本で最初にDHとして打席に立ったのは日本ハムファイターズの阪本敏三さんでした。初年度はリーグの平均打率(.247→.254)とピッチャーの完投数(197→302)がそれぞれ向上し、平均試合時間の5分短縮にも成功しました。

ただし、セントラル・リーグはDHを採用しない理由を9ヶ条にまとめて発表し、今でもセ・リーグの公式見解であり、公式サイトにも掲載されています。

日本のアマチュア野球では、全日本大学野球選手権大会が1992年からDHを採用しました。そして、1994年秋から東都大学野球連盟が採用、以後大半の連盟がDHを採用していますが、東京六大学野球連盟と関西学生野球連盟では採用されていません。また、明治神宮野球大会でも採用されていません。高校野球では本大会全てにおいて採用されていません。

国際大会は1984年のロサンゼルスオリンピックで公開競技として野球が採用されて以来、2008年の北京オリンピックで野球競技が廃止されるまでDHが採用されていました。現在でも、アジアシリーズやワールド・ベースボール・クラシック(WBC)など、野球の国際大会では数多く採用されています。

そもそも、昔から「ピッチャーで四番」という言葉があるとおり、プロで活躍するようなピッチャーは小学生の頃からバッティングでも中心ですが、レベルが上がっていくにつれてピッチャーに専念することがほとんどです。ファイターズの大谷翔平選手のような二刀流と言うのは、本当に珍しく、ほとんどが、打席ではバットを振らないようコーチから指示を受けることもあります。

DHが導入されると、打力が期待できないピッチャーを打順に組み入れる必要がないため、攻撃的な打順を組むことができるようになります。同時に、打力は高いが守備に難のある野手を使用することも出来るようになります。

また、ピッチャーにとっても、好投を続けている時に、やむを得ず試合展開により代打を送られてしまい交代させられるというケースがなくなり、打席の準備および立つ必要もなくなったため、味方の攻撃中に休ませることも可能になりました。

ただ、DHに反対派の論理としては、野球は9人でやるものであり、それが打って・守って・走ってという本来の姿というものです。また、ピッチャーに打順が廻りそうな場合での駆け引きと言う面白味もなくなるからでもあります。そして、世界一期待出来ない中で、パッカーンと打ってしまう醍醐味も見られなくなってしまいます。

というような過去の経緯もあるなかで、最近「セ・リーグ DH制度導入」の動きが急速に進んでいるとの報道です。

背景にあるのは、そう、今年のドラフトの目玉の早稲田実業高・清宮幸太郎選手の「守備問題」です。高校通算ホームラン111本の打撃力とは裏腹に、弱点として指摘されるのが守備力です。一部には「そんなに下手ではない」という話もありますが、高校でも一塁しか守れなかった清宮選手にとって、DHのあるパ・リーグが有利とする声があります。そこでセ・リーグ球団が面談の席で、清宮選手側にDHの導入を囁いたというのが発端です。

「ドラフト前の清宮家とプロ側の面談で焦点となったのが、将来のメジャー移籍と、入団後の育成計画です。そのなかでジャイアンツを含めた複数のセ・リーグ球団から飛び出したのが、『近々セ・リーグでもDHが採用される』という話でした」(スポーツ紙)

9月に行われた12球団オーナー会議とセ・リーグ理事会では、広島東洋カープを除くセ・リーグの5球団が「清宮くんのためにも必要だ」とDH導入に向けた機運が盛り上がったそうです。

「唯一反対したのが広島の松田元オーナー。ただカープにしてもリーグ繁栄のために導入が必要だといわれればそうは反対できない。清宮がセ・リーグの球団に指名されれば、一気に導入にむけた流れは加速するはずです」とのことです。

でも、実際に導入された場合には、別の“ごもっとも”らしい言い訳…じゃなくて、理由になると思います。

これまでセ・リーグが守ってきた9人野球の歴史を清宮選手が変えてしまうのか。

早ければ2019年シーズンから適用される見込みだそうですが、それも、これもセ・リーグの球団に指名されるかどうかでしょう(でも、導入されないと、嘘ついたことになってしまうのかな)。


コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。
日本の最高峰レベルが全部DH導入となると、その下はどうなっていくのでしょう。
社会人、大学はともかく、高校野球や中学・学童野球。

タイブレーク、コリジョン、宣誓敬遠と野球が変わっていくのですから、これも時代の流れでしょうか。

エースで四番はいなくなるかもしれませんが、ライトで八番は残るでしょう・・・きっと。
eco坊主
おはようございます(*Ü*)ノ"☀

決まったら決まったでそれで楽しみますけど・・
予告先発もDHも要らない派です、私!

エースで4番、ライトで8番(ライパチ君)等は死語になっちゃうのですかね~ライパチ君はもう死語になっているか^^;

年度別のセ・パのシャッフルなんてどうなんでしょう??
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