昨年12月21日に広島市内の広島東洋カープ球団事務所で契約更改交渉を行った菊池涼介選手。オフにポスティングシステム(入札制度)によるMLB挑戦の意思を球団に伝えました。
ただ、現在、MLBでプレーしている日本人内野手はいません。MLBでは、驚異的な身体能力を誇る内野手が超人的な守備を連発し、さらに打撃面でもチームに貢献できる選手が重宝されています。過去、日本でもトップクラスの内野手が挑戦しましたが、正直、日本人選手にとっては険しいところです。
松井稼頭央さん(2004年~2010年)通算:7年
630試合 2302打数 615安打 32本 211打点 102盗塁 打率.267 OPS.701
中村紀洋さん(2005年)通算:1年
17試合 39打数 5安打 0本 3打点 0盗塁 打率.128 OPS.350
井口資仁さん(2005年~2008年)通算:4年
493試合 1841打数 494安打 44本 205打点 48盗塁 打率.268 OPS.739
岩村明憲さん(2007年~2010年)通算:4年
408試合 1545打数 413安打 16本 117打点 32盗塁 打率.267 OPS.720
西岡剛さん(2011年~2012年)通算:2年
71試合 233打数 50安打 0本 20打点 2盗塁 打率.226 OPS.503
川崎宗則さん(2012年~2016年)通算:5年
276試合 633打数 150安打 1本 51打点 12盗塁 打率.237 OPS.609
中島宏之選手(2013年~2014年)通算:2年
MLB出場なし
田中賢介選手(2013年~2014年)通算:2年
15試合 30打数 8安打 0本 2打点 2盗塁 打率.267 OPS.620
今季オフに菊池選手がMLB挑戦を目指せば7年ぶりとなります。
菊池選手といえば、安定した守備がストロングポイントです。2017年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の2次ラウンドのオランダ戦で、二遊間の強烈な打球をダイビングキャッチし、素早く二塁へグラブトスするスーパープレーを見せ、MLB公式サイトからも「世界クラスの守備」と称賛されてもいます。
ただし、これまでの日本人内野手は2005年に松井稼頭央さん(当時ニューヨーク・メッツ)が左膝打撲、2009年には岩村明憲さん(当時タンパベイ・レイズ)が左ヒザ前十字靱帯断裂を負い、2011年には西岡剛さん(当時ミネソタ・ツインズ)が左足腓骨を骨折していています。これらのケガは接触プレーによって負ったもので、現在のルールでは守備妨害と判定される可能性はありますが、それでも、日本よりも激しいスライディングを受けることになると思います。そのプレーによってケガをしないかが、最初のポイントになるでしょう。
でも、いくら守れても、打てなければMLBでは話になりません。バッティングでは何と言っても相手ピッチャーの剛速球が壁になるでしょう。今季の日本での打率.233では、先が思いやられると思います。現在、MLBでは160km/h(100マイル)を超える剛速球を普通に投げ込んできます。昨年、オープン戦で打率.125と苦しんでいたアナハイム・エンゼルスの大谷翔平選手は、右足を上げていた打撃フォームをシーズン開幕直前にすり足に改良しています。以前の大谷選手と同じように、軸足と反対側の足を大きくあげてタイミングを取る菊池選手も打撃フォームの改造が必要かもしれません。
菊池選手の華麗な守備がMLBでどう通じるのか、見てみたい気がする反面、そのプレーを日本でもっと見ていたいとも思えます。
まずは、今シーズン、どのようなMLBへのアピールプレーをするのか、見ものです。