夏の高校野球100回記念ということで、「ファン10万人がガチで投票!高校野球総選挙2018」が一部地域を除いて、テレビ朝日系で8月5日の18:57~11:05に放送されます。
なお、山陰放送、日本海テレビ、山陰中央テレビでは放送されません。いなばぴょんぴょんネットに加入していれば、観ることが出来ます。おっと、営業エリアが違いましたっけ。
さて、昨年まで99回という歴史を彩ってきた甲子園。自分が子どもの頃にはヒーローとして憧れ、同年代になると、その凄さに驚き、大人になってからは、新しい歴史を塗り変える選手を見守るような感じですか。
番組ではファン10万人にアンケートを取り、記憶に残る歴代のスゴい高校球児トップ30をランキング形式で発表し、選ばれた選手たちのどこがスゴいのか、高校時代の映像を交え紹介していくそうです。
怪物、怪童、アイドル、王子・・・記憶と記録に残る感動のドラマを演出した選手。
ランキングには、江川卓さん(栃木・作新学院高)、桑田真澄さん(大阪・PL学園高)、太田幸司さん(青森・三沢高)らの昭和時代に活躍した選手から、松井秀喜さん(石川・星稜高)や松坂大輔選手(神奈川・横浜高)という平成の怪物、さらに斎藤佑樹選手(西東京・早稲田実業高)、大谷翔平選手(岩手・花巻東高)、清宮幸太郎選手(西東京・早稲田実業高)の若手選手など、高校野球の歴史に名を残した選手が続々登場する予定とのことです。
また、女性ファン1000人が選んだ夏のプリンス球児トップ10も発表するそうです。
いつものことですが、この手の番組の場合、アンケート対象者の選び方で結果が変わってくることが多いです。過去のプロ野球選手やプロレスラーの場合などがそうでした。「あれ? あの選手がいない」とか「思ったよりも順位が低い」とか。
ちなみに、番組出演者の思い入れのある高校球児について、すでにネタバレしています。爆笑問題の田中裕二さんは松坂大輔選手、太田光さんは原伸次さん、ウエンツ瑛士さんはダルビッシュ有選手、ピエール瀧さんは桑田真澄さん、伊集院光さんは香川伸行さん、古田敦也さんは荒木大輔さんなどだそうです。伊集院さんの香川さんはなんとなく、わかるような気がします。
他にも、実況アナウンサー、記者などにもアンケートをとり記憶に残る名勝負を取り上げるようです。
ちなみに、甲子園の昭和の怪物・江川さん、平成の怪物・松坂選手ですが、もの凄い印象が残っています。でも、夏の甲子園出場は、ともに高校三年時の1回のみ。しかも、春の出場も、同じ年の1回のみなのです。それでも、後にプロ野球で活躍したイメージもありますが、何十年も経っても甲子園の強い印象が残っているのですから、凄いものですよね。
私が選手を一人挙げるとしたら・・・非常に悩みますが、名勝負というか、記憶に残る試合はたくさんありますが、あえて今の気分で一つ挙げるとしたら、第66回全国高等学校野球選手権大会(1984年)の一回戦 鳥取・境高 vs. 西東京・法政一高です。
境 0000000000 |0
法政一0000000001x|1
この年の選手権大会にも出場した境高は、エース・安部伸一選手を擁して4度目の選手権出場を果たし、夏の甲子園1勝を目指していました。境高のグラウンドは境港の目と鼻の先にあります。「マグロがよくとれる年は、境の野球部はよく打つ」と言われるように、この年はマグロは大漁であり、境打線は鳥取大会は5試合すべてを8得点以上挙げて勝ち上がってきました。
初戦の相手は強豪・法政一高。
試合は両チームのエースの投げ合いとなり、境高・安部選手は高校二年の秋に習得したスライダーを武器に、9回をフォアボール1つ、9奪三振の完璧な投球でノーヒットノーランに抑え込みます。対する法政一高の岡野憲優選手はアンダースローからのスローボールを織り交ぜて、境打線を9回まで散発4安打、1フォアボールと、こちらも無失点に抑えていました。
試合は0-0のまま延長戦に突入。延長突入が決まると、アルプススタンドが安部選手の偉業に湧きます。「6回ぐらいから自分もノーヒットノーランに気付いていたし、意識もしていた。けれど、あまりの大歓声にぶるっと寒気がした」とのことです。安倍選手は練習試合も含め、被安打0はなかったそうです。
10回裏も三振、セカンドゴロと7球で簡単に2アウトとしました。次のバッターは三番・末野芳樹選手。ここでキャッチャーの片岡史雄選手が要求したのがカーブでしたが、この試合ではほとんど投げておらず、安部選手は「すっぽ抜けるから嫌だ」と首を振り、スライダーを選びました。しかし、外角低めの要求に対して、球が浮いてた甘いスライダーを末野選手が強振すると、打球は左中間ラッキーゾーンに入るサヨナラホームランとなりました。
それまで外野フライはわずか3つ。久しぶりの打球が外野手のはるか上に舞い上がり、追いかけますが、すぐに諦めました。左中間のラッキーゾーンの深い位置へ打球が落ち、レフトとセンターの選手は整列に向かいます。試合が決したにもかかわらず、マウンド上の安部選手は次の投球をしようとロージンを触っていました。
安部選手は「打たれた瞬間、入ったなとは思ったんですよ。でも終わったとは思わなかった。10回まで投げていてサヨナラ本塁打で試合が終わるというのは投手心理としてはない」「奇跡です、奇跡。野球の神様が笑ってくれた。野球人生でナンバー1の投球」と語っています。ただ、「ぼくが余計なことをしてしまったから、気がひけるんです」とも語っています。
球数は124。10回2アウトまでノーヒットノーランに抑えながら、たった一球のコントロールミスが痛恨の一球となってしまう。31人目のバッターに初めて許したヒットがホームラン、しかもその瞬間に試合の勝敗を決してしまうという、境高にとっては何とも残酷な結末という試合でした。