先日、無償トレードで阪神タイガースが福岡ソフトバンクホークスから移籍した中田賢一選手の入団発表がありました。
中田選手といえば、中日ドラゴンズにも所属しており、タイガースキラーとして活躍していました。また、2013年オフにFA権を行使した際には、ホークスのほかにタイガースも獲得に動いていました。今回の移籍はタイガースとしては6年越しの獲得となった次第です。
さて、この「無償トレード」ですが、通常のトレードとは、文字どおり選手同士の交換や移籍金負担などで行われます。これらを伴わないトレードが無償トレードになります。選手を譲渡する球団からすれば、何のメリットもないようにも思えますが、もちろんそういうわけではないのです。
近年では2017年オフにホークスから東京ヤクルトスワローズへ移籍した山田大樹選手でした。その前となると、2010年に千葉ロッテマリーンズから北海道日本ハムファイターズへ移籍した佐藤賢治さんです。そもそも、トレード自体が活発ではないのですが、無償トレードはレアケースでもあります。ただ、2006年以前は結構活発に行われていたりしました。
白野清美 南海ホークス → 国鉄スワローズ(1962年)
七森由康 読売ジャイアンツ → サンケイアトムズ(1964年)
富永格郎 東映フライヤーズ → サンケイアトムズ(1965年)
江藤省三 読売ジャイアンツ → 中日ドラゴンズ(1968年)
金本秀夫 阪急ブレーブス → 阪神タイガース(1968年)
カール・ボレス 近鉄バファローズ → 西鉄ライオンズ(1968年)
若生忠男 西鉄ライオンズ → 読売ジャイアンツ(1968年)
葛城隆雄 中日ドラゴンズ → 阪神タイガース(1969年)
飯塚佳寛 大洋ホエールズ → 広島東洋カープ(1972年)
及川宣士 大洋ホエールズ → 太平洋クラブライオンズ(1972年)
田中章 太平洋クラブライオンズ → 大洋ホエールズ(1975年)
藤井栄治 太平洋クラブライオンズ → 阪急ブレーブス(1976年)
ゲイル・ホプキンス 広島東洋カープ → 南海ホークス(1976年)
水谷孝 読売ジャイアンツ → 阪急ブレーブス(1976年)
山下司 読売ジャイアンツ → 日本ハムファイターズ(1976年)
矢野俊一 大洋ホエールズ → ロッテオリオンズ(1978年)
金城致勲 西武ライオンズ → ロッテオリオンズ(1980年)
大津一洋 西武ライオンズ → 南海ホークス(1983年)
藤村雅人 西武ライオンズ → 南海ホークス(1983年)
山内新一 南海ホークス → 阪神タイガース(1983年)
永射保 大洋ホエールズ → 福岡ダイエーホークス(1988年)
竹田光訓 横浜大洋ホエールズ → 韓国・三星ライオンズ(1988年)
若菜嘉晴 横浜大洋ホエールズ → 日本ハムファイターズ(1988年)
有田修三 読売ジャイアンツ → 福岡ダイエーホークス(1989年)
角盈男 読売ジャイアンツ → 日本ハムファイターズ(1989年)
栄村忠広 読売ジャイアンツ → オリックスブルーウェーヴ(1991年)
金沢次男 ヤクルトスワローズ → 千葉ロッテマリーンズ(1994年)
愛甲猛 千葉ロッテマリーンズ → 中日ドラゴンズ(1995年)
荒木大輔 ヤクルトスワローズ → 横浜ベイスターズ(1995年)
横谷彰将 横浜ベイスターズ → 阪神タイガース(1995年)
井上祐二 広島東洋カープ → 千葉ロッテマリーンズ(1996年)
近藤芳久 広島東洋カープ → 千葉ロッテマリーンズ(1996年)
荒井幸雄 近鉄バファローズ → 横浜ベイスターズ(1998年)
清川栄治 近鉄バファローズ → 広島東洋カープ(1997年)
椎木匠 中日ドラゴンズ → 千葉ロッテマリーンズ(1997年)
仁平馨 広島東洋カープ → 中日ドラゴンズ(1998年)
小久保裕紀 福岡ダイエーホークス → 読売ジャイアンツ(2003年)
(小久保さんは無償トレードそのものも衝撃的でしたが、その理由も移籍先も驚きでした)
飯田哲也 東京ヤクルトスワローズ → 東北楽天ゴールデンイーグルス(2004年)
紀藤真琴 中日ドラゴンズ → 東北楽天ゴールデンイーグルス(2004年)
小山伸一郎 中日ドラゴンズ → 東北楽天ゴールデンイーグルス(2004年)
酒井忠晴 中日ドラゴンズ → 東北楽天ゴールデンイーグルス(2004年)
関川浩一 中日ドラゴンズ → 東北楽天ゴールデンイーグルス(2004年)
玉木重雄 広島東洋カープ → 東北楽天ゴールデンイーグルス(2005年)
仲澤忠厚 中日ドラゴンズ → 福岡ソフトバンクホークス(2005年)
大道典嘉 福岡ソフトバンクホークス → 読売ジャイアンツ(2006年)
黒田哲史 読売ジャイアンツ → 埼玉西武ライオンズ(2006年)
佐藤宏志 読売ジャイアンツ → 東北楽天ゴールデンイーグルス(2006年)
佐藤賢治 千葉ロッテマリーンズ → 北海道日本ハムファイターズ(2010年)
山田大樹 福岡ソフトバンクホークス → 東京ヤクルトスワローズ(2017年)
中田賢一 福岡ソフトバンクホークス → 阪神タイガース(2019年)
正直なところ、無償トレードに出すということは来シーズンの構想から外れたということか、何かしらの大人の事情(2005年の小久保さんのような)があってのことだと思います。ただ、ホークスにとっては中田選手はFA移籍で獲得した選手であり、6年間で通算39勝を挙げ、チームに貢献してきた選手でもありますし、大人の事情もないでしょうから、来シーズンの構想から外れたものの、戦力外通告では無慈悲だという配慮があってのことでしょう。
通常、自由契約選手として公示された選手は12球団合同トライアウト前に他球団への移籍が出来ません。よって、該当選手はトライアウトまで自主トレをするしかありません。一方、トレードの場合はトライアウトを受けることなく移籍します。よって、秋季練習や秋季キャンプに参加することが出来ます。よって、トレードされた選手にとって大きなメリットがあるのです。
また、自由契約にした場合、同一リーグの球団に移籍することもあります。となりますと敵として活躍するということもあり得たりします。中田選手などの場合、そういうことを想定して意図的にセ・リーグのタイガースへ無償トレードした可能性もあります。つまり、チームの構想からは外したものの、力ある選手だと評価しているのでしょう。
そして、タイガースからすれば、今シーズン二軍でしたが、最優秀防御率、最多勝の二冠でもあり、先発ピッチャーの層を厚くするため、また、多くの経験は魅力的なのだと思います。
中日で9年、ソフトバンクで6年の経験を持つ中田選手は勢いのある球を投げますが、制球が乱れることも目立ち、「暴れ馬」という、ありがたくないニックネームもあります。
タイガースには、もう一人の暴れ馬(?)の藤浪晋太郎選手がいます。福原忍・金村曉ピッチングコーチが上手く調教(?)し、矢野燿大監督が上手く手綱を操って乗りこなせるのでしょうか。