プロ野球の春季キャンプが2月1日からスタートします。球春ももうすぐですね。
春のキャンプではないのですが、伝説のキャンプといえば長嶋政権が最下位となったシーズンに行なわれた秋の「地獄の伊東キャンプ」がありました。
今年から横浜DeNAベイスターズの監督になった中畑清さんが当時を振り返ってこう言っています。
「午前中は守備練習で初日から1,000本ノック。昼飯はカレーライスで、カレーは大好きなんだけど食べた瞬間に全部吐いちゃった。午後からは特打ち。最低一日1,000スイングというのがテーマだから、振って振って振りまくった。風呂の中ではみんなマグロみたいに寝てるんだから」
秋季キャンプだからあれだけの練習がやれたのでしょう。
中でも一番厳しい特訓を受けていたのが後の盗塁王となった“青い稲妻”こと松本匡史さんだと言います。
「あいつがマシーンで球を打つ音が目覚まし代わりだった。みんなの何倍も練習してたから死んでもおかしくないと思ったね。ミスターもつきっきりで、延々ゴロばかり打たされてた。俺たちは猛ノックで涙を流してたけど、あいつは涙を流す暇もなく、血を流してたんじゃないかな。だから3割バッターになれたんだよ」
そこまで行かないですが、2006年の中日・沖縄キャンプ。
今となっては名物となった「落合ノック」で、森野選手が失神したこともありました。
何時間もノックを受け、倒れては頭から水をかけられていたという。
森野選手は3時間近くノックを浴びせられた挙句、グラウンドに倒れこんでしまいました。脱水症状と疲労で目の焦点が定まらない森野は失神して、スタッフに水をかけられてもなかなか立ち上がれませんでした。
YouTube: 2007/2/26 森野に2時間を超える壮絶な落合ノック
「あの時は本当にまずいと思った。救急車を呼ぼうかとか、あいつの家族になんて謝ればいいのかということが頭をよぎったよ」
と当時の落合監督自らがこう振り返る過酷さだったそうです。
就任1年目には井端選手、荒木選手に約2時間20分、約500本のノックを浴びせています。
天才的なバットコントロールを生かした打球に井端選手は
「あんなノック受けたことない」
とぐったりだったそうです。
昔は1,000本ノックとかがニュースになっていましたが、最近は聴かれることもまれですね。
これだけのことが出来たからこそ、中畑さん、松本さん、森野選手にしても新しいシーズンには好成績を残し、レギュラーの座を確保して言ったということなのでしょう。
また、彼らはそれだけ期待されているという証でもあったのでしょう。
調べている中で、伝説のキャンプとしては次のようなものもありました。
昭和32年。高橋ユニオンズというチームのキャンプがスタート。
しかし、一部で「高橋解散」の噂話が出てくる。他チームからの「大映と東映と近鉄に分かれる」という話がスポーツ紙に掲載されます。
あるコーチは
「おい、けしからん記事がでているぞ。今日は練習休み」
といって練習はなし。まじめに練習するものはなく、一部の選手は練習をすっぽかして、岡山でヤケ酒を飲んでいたという。
そして・・・ 岡山でキャンプをやっている最中に高橋ユニオンズというプロ野球球団は突然解散してしまいます。
2月下中には東映、近鉄、大映の代表がキャンプ地に来て、引き取る選手を3ヶ所に分けられたというが、弱小チームの選手で使える選手はあまりにも少なく、ほとんどの選手がクビとなってしまったそうです。
ここには後にプロ野球ニュースで有名だった佐々木信也さんもいました。彼は
「クビになった選手の表情が忘れられない」
と言っています。
シーズンオフに球団が身売りをすることはありますが、キャンプ中に解散するとなどということは最初で最後の事件かもしれません。
この時期。
ドラフトで上位指名された選手たちが期待どおりなのか、それとも思わぬ選手が出てくるのか。
今年、もう後がない選手がどこまで頑張れるか。
楽しみな球春が近づいてきています。