米国が中国の気球を打ち落とした件で、日本政府は2023年2月6日の記者会見において、日本上空で過去に確認された気球に似ている気球について、「米国における事案との関連性も含め、引き続き分析を進めたい」と説明しました。これは2020年6月に宮城県、福島県など、2021年9月に青森県でそれぞれ目撃されたものです。
もちろん日本政府は、「気球が領空に入れば、国際法上、航空機による領空侵犯と同様に対応する」という方針であり、「外国の気球であっても、許可なく領空に侵入すれば、領空侵犯となり、必要な場合には緊急発進を含めた措置を取る」と説明しています。
この対応ですが、現在の自衛隊法では外国の航空機が領空侵犯した場合、防衛相は自衛隊に対し、「機体を着陸させる」「領空から退去させる」ために必要な措置を講じさせることができ、警告などに相手がしたがわなければ正当防衛や緊急避難に該当する場合に限ってミサイルなどの武器を使えるようです。
ただ、武器使用には抑制的に対応すると想定されており、実際には自衛隊は米軍のように打ち落とすことは難しいとのことです。これは、自衛隊法での「弾道ミサイル等に対する破壊措置」では、「落下により人命または財産に対する重大な被害が生じると認められる物体」を対象としており、偵察気球に適用することは想定していないからだそうです。
ちなみに、1958年に対領空侵犯措置を開始して以降、現在までに自衛隊が領空侵犯を確認したのは計45件で、ロシア(旧ソビエト連邦)が42件、中国2件、台湾1件とのことです。
実際には領空の外側に設けた防空識別圏(ADIZ)に進入する機体を見つけた時点で自衛隊は戦闘機などでの対処を始めます。これは領空に入ってからでは防衛に間に合わない可能性があるためです。ADIZへの進入を踏まえた自衛隊の緊急発進(いわゆるスクランブル)は2021年度に1004回で過去2番目の多さで、中国機向けが約70%を占めています。
さてさて、法的および被害がなくても実際に自衛隊機がこの気球を打ち落とせるのか?ということに関しては難しいようです。
今回、米軍が使用した戦闘機は「世界最強」といわれるF-22です。F-22は「超音速巡航能力」「短距離離着陸能力」「高いステルス能力」を持ち、「ラプター(猛禽類)」というニックネームで呼ばれています。さらに、民間航空機が約12,000m~約13,000mが限界なのに対し、ほかの戦闘機にはない、実用上昇限度20,000mという高度の飛行能力を持っており、約20,000mを飛ぶ気球に対して、約18,000m上空まで飛行したようです。
現在、自衛隊が保有している主力戦闘機F-15は高度15000mまで到達できます。また、次期主力戦闘機として導入開始しているF-35Aは最大上昇可能高度は19,240 mですが、実用上はそれ以下でしょうから、対処しようがないのも現実です。
ちなみに、中国は2月6日の記者会見で、「日本上空で2020年、2021年に確認された気球に似た飛行物体については、状況を把握していない」と発表しています。
本日も、拙文最後までお読みいただきありがとうございます。
皆さまにとって、今日という日が昨日よりも特別ないい日でありますようにお祈りいたしております。
また、明日、ここで、お会いしましょう。それではごめんください。
もちろん日本政府は、「気球が領空に入れば、国際法上、航空機による領空侵犯と同様に対応する」という方針であり、「外国の気球であっても、許可なく領空に侵入すれば、領空侵犯となり、必要な場合には緊急発進を含めた措置を取る」と説明しています。
この対応ですが、現在の自衛隊法では外国の航空機が領空侵犯した場合、防衛相は自衛隊に対し、「機体を着陸させる」「領空から退去させる」ために必要な措置を講じさせることができ、警告などに相手がしたがわなければ正当防衛や緊急避難に該当する場合に限ってミサイルなどの武器を使えるようです。
ただ、武器使用には抑制的に対応すると想定されており、実際には自衛隊は米軍のように打ち落とすことは難しいとのことです。これは、自衛隊法での「弾道ミサイル等に対する破壊措置」では、「落下により人命または財産に対する重大な被害が生じると認められる物体」を対象としており、偵察気球に適用することは想定していないからだそうです。
ちなみに、1958年に対領空侵犯措置を開始して以降、現在までに自衛隊が領空侵犯を確認したのは計45件で、ロシア(旧ソビエト連邦)が42件、中国2件、台湾1件とのことです。
実際には領空の外側に設けた防空識別圏(ADIZ)に進入する機体を見つけた時点で自衛隊は戦闘機などでの対処を始めます。これは領空に入ってからでは防衛に間に合わない可能性があるためです。ADIZへの進入を踏まえた自衛隊の緊急発進(いわゆるスクランブル)は2021年度に1004回で過去2番目の多さで、中国機向けが約70%を占めています。
さてさて、法的および被害がなくても実際に自衛隊機がこの気球を打ち落とせるのか?ということに関しては難しいようです。
今回、米軍が使用した戦闘機は「世界最強」といわれるF-22です。F-22は「超音速巡航能力」「短距離離着陸能力」「高いステルス能力」を持ち、「ラプター(猛禽類)」というニックネームで呼ばれています。さらに、民間航空機が約12,000m~約13,000mが限界なのに対し、ほかの戦闘機にはない、実用上昇限度20,000mという高度の飛行能力を持っており、約20,000mを飛ぶ気球に対して、約18,000m上空まで飛行したようです。
現在、自衛隊が保有している主力戦闘機F-15は高度15000mまで到達できます。また、次期主力戦闘機として導入開始しているF-35Aは最大上昇可能高度は19,240 mですが、実用上はそれ以下でしょうから、対処しようがないのも現実です。
ちなみに、中国は2月6日の記者会見で、「日本上空で2020年、2021年に確認された気球に似た飛行物体については、状況を把握していない」と発表しています。
本日も、拙文最後までお読みいただきありがとうございます。
皆さまにとって、今日という日が昨日よりも特別ないい日でありますようにお祈りいたしております。
また、明日、ここで、お会いしましょう。それではごめんください。