野球小僧

コリジョンルール

5月に入ってから、コリジョンルールで判定が変わったのが、昨日(15日)の中日ドラゴンズ vs. 広島東洋カープ戦を含めて4度目になり、ここのところ、相次いで起こっています。

セ・パ両リーグを通じて初めてコリジョンルールで判定が覆ったのが、5月6日の西武ライオンズ vs. 北海道日本ハムファイターズの六回でした。1アウト塁からマウンド上のピッチャー高橋光成選手(ライオンズ)の暴投で三塁ランナーがホームインし、さらに二塁ランナーの淺間大基選手(ファイターズ)がホームを狙って三塁を回り、本塁のベースカバーに入った高橋選手がキャッチャーからの送球を本塁ベースを跨いで捕球して浅間選手にタッチしました。アウト判定されますが、ファイターズの抗議でビデオ判定の結果、コリジョンルールが適用されてセーフへと覆りました。

5月11日の阪神タイガース vs. 読売ジャイアンツの三回、ジャイアンツが2アウト二塁からセンター前ヒットで二塁ランナーの小林誠司選手(ジャイアンツ)が本塁に足から滑り込みましたが、一瞬早く原口文仁選手(タイガース)がタッチしてアウトの判定。ジャイアンツの抗議でビデオ判定に持ち込まれ、判定はアウトからセーフへと変わりました。

同じ日の5月11日の東北楽天ゴールデンイーグルス vs. 埼玉西武ライオンズの四回表ノーアウト一・三塁から金子侑司選手(ライオンズ)のショートゴロでショート茂木栄五郎選手(イーグルス)は、セカンドの藤田一也選手(イーグルス)へ送球し、一塁ランナーがフォースアウト。このとき三塁ランナー木村文紀(ライオンズ)がホームへ走っており、藤田選手がホームへ送球。キャッチャー嶋基宏選手(イーグルス)がランナー木村にタッチするものの、判定はセーフ。イーグルスの抗議から、ビデオ判定の結果、判定はセーフからアウトになりました。

昨日、5月15日にナゴヤドームで行われた中日ドラゴンズ vs. 広島東洋カープの3-3の同点で迎えた九回表カープの攻撃。1アウト一・二塁のチャンスから田中広輔選手(カープ)がライト前にヒット。前進守備を敷いていた平田良介選手(ドラゴンズ)がバックホーム。ボールは一塁側に少し逸れ、二塁ランナーの安部友裕選手(カープ)とキャッチャー桂依央利選手(ドラゴンズ)のタッチは際どいタイミングでセーフの判定。ドラゴンズの講義により、ビデオ判定となり、長時間の検証の結果、判定はアウトに変更されました。

上2つと下の2つのケースは状況が違いますが、コリジョンルールの適用によって発生したプレーです。

そもそも、このルールが作られるきっかけとなったのは2011年5月25日のMLBサンフランシスコ・ジャイアンツ vs. フロリダ・マーリンズ(現; マイアミ・マーリンズ)戦の本塁上でのクロスプレーでした。本塁に突っ込んできたマーリンズのスコット・カズンズ選手がジャイアンツのバスター・ポージー選手に激しいタックルをしたことにより、ポージー選手が選手生命を脅かされる重傷を負ったことです。NPBでも、2013年5月12日の東京ヤクルトスワローズ vs. 阪神タイガース戦で当時タイガースのマット・マートン選手のタックルを受けたスワローズの田中雅彦選手が左鎖骨を骨折しました。マートン選手はそれまでも度重なる激しいタックルでトラブルを起こしていたこともあり、激突プレーについて議論され、MLBから二年遅れて正式導入されました。

つまり、元々はコリジョンルールは本塁上での度の過ぎた危険な接触プレーの回避です。「得点しようとしている走者は最初から捕手に接触しようとして(中略)走路から外れることはできない…」「捕手がボールを持たずに得点しようとしている走者の走路をブロックすることはできない。もし捕手がボールを持たずに走者の走路をブロックしたと審判員が判断した場合、審判員はその走者にセーフを宣告する」などが明記され、ビデオ判定を本塁上でのクロスプレーでも適用することになったのです。

つまり、どちらかというとキャッチャー側の危険回避が主体だったと思われることが、むしろ守備側の走路妨害、ブロックの禁止が主体になってしまい、守備側が不利になっている感じがします。守備側が少しでも走路に入ってランナーと接触したらコリジョンルール違反になり、タイミング的にアウトでも、判定はセーフに覆ってしまっているのが現状だと思えます。

折しも昨日、5月15日の朝のTBS系テレビ「サンデーモーニング」で張本勲さんが、コリジョンルールについて「喝!」を入れていました。

「何回も言ったように何でこんな規約を決めたのかねえ。三者三様でね、選手はとまどう、キャッチャーもとまどう、アンパイアも困る、ファンは迫力のないプレーは見たくない」
「責任者に聞きたいわ。はっきり激突した時は(ランナーを)退場とか出場停止にすればいい。アンパイアも判断に困る。来年もやるようなら責任問題になるから。やめた方がいい。絶対やめた方がいい」

以前、私も書きましたが、本塁上のクロスプレーは野球の大きな醍醐味ですし、昔からランナーを止めるためのブロックはキャッチャーの技術であり、そのブロックをかい潜って滑り込むスライディングはランナーの腕(脚?)の見せ所でもあります。私も張本さんには同意見です。ただ、ケガした損にならないようなルールであるべきと観ている側にとっても判りやすいルールであるべきだと。

ただ、最近このルール適用から気のせいか、本塁への突入シーンが増えたように思えます。これはこれで、野球の質が変わって来ているのかも知れません。このルールの下でやきゅをやって来ている子どもたちにとっては、これが普通のことであるのかも知れませんね。


コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。
そうなのですよね。本末転倒です。

また、MLBでは二塁ベース付近でのスライディングに関しても新たなルールを採用することが正式に決まり、「本塁を除き、スライディングが完了した時点で走者はベース上に留まること」また「走者は野手との接触目的で走路を変えてはならない」というもので、これらに抵触して危険だと判断されれば、走者だけでなく打者もアウトになるというものです。

遅かれ、早かれ日本でも導入されるでしょうけど、正しい判定のためにも事前にルールを判りやすくして、もっと研究しておいて欲しいです。

ビデオ判定もいいですけど、プレーの中断も試合が間延びして面白くありませんから。
eco坊主
おはようございます(*Ü*)ノ"☀

コリジョンねぇ・・・
高橋光成選手の場合は別として、原口捕手のケースは???です。
実はこの動画ここで初めて見たのですが(ネット紙面では見ましたけど)
あれをコリジョン適応でセーフって言われたらキャーはヽ(*`Д´)ノですよ。
跨ってはいるけど股間空いてるし、レガースでブロックしてないし!

キャーを怪我から助けるルールが本末転倒しているみたい。
どうなるんでしょうね~このルール。
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