「練習は嘘をつかない」と言いますが、そんなのは綺麗ごとであって、センスのあるやつが言うことだ。だから、凡人は練習に練習を積み重ねて来てはいるものの、結果が出ないため「練習は嘘もつく」と考えてしまうこともあると思いますが、やっぱりそうではないのです。
細谷圭 / 千葉ロッテマリーンズ
群馬県太田市立商業高校時代は通算で46本のホームランを放ち、「群馬のゴジラ」と呼ばれ、甲子園出場はないものの、バッティングが注目され、2005年のドラフト会議で千葉ロッテマリーンズから高校生ドラフト4巡目で指名を受け、入団しました。
2015年までの通算成績
212試合 296打数 56安打 HR5本 25打点 40得点 打率.189
失礼ながら目を見張るような成績ではありません。失礼ながら、プロ野球に入団して11年間でこの成績でであるならば、戦力外通告されていても不思議はないと思います。
2006年は二軍で48試合、打率.217、HR1本。2007年は二軍の四番で打率.270、HR9本、41打点を挙げたものの、2008年も開幕から二軍。成績は平凡で二軍の中でもいい成績ではありませんでしたが、一軍の事情により、4月13日に一軍登録され、八番・ファーストでプロ入り初出場初スタメンし、プロ初ヒット、同点打を放ち、初のお立ち台も経験しました。しかし、その後は一軍と二軍を行ったり来たりを繰り返し、レギュラー獲りのチャンスが巡ってきたのは2011年でした。前年まで不動のショートだった西岡剛選手(現; 阪神タイガース)がミネソタ・ツインズへ移籍。キャンプから荻野貴司選手とショートの定位置争いを繰り広げます。開幕直後は荻野選手がスタメンでしたが、5月にケガで戦線離脱。細谷選手は出場機会を得ることとなります。プロ入り初ホームランを放つなどレギュラー定着するかに見えましたが、ケガで登録抹消される不運に見舞われてしまいました。その後、2013年に自己最多の84試合に出場するものの、主に対左ピッチャー時のスタメンや今江敏晃選手の負傷時のサード、代打、代走、守備要員というものでした。しかし、その後も一軍と二軍の繰り返しでした。2016年のキャンプからは内野手登録ながら外野守備への挑戦も開始しています。
今年の細谷選手は開幕当初は絶好調で、4月8日の福岡ソフトバンクホークス戦で5安打5打点で打率.432と一時は首位打者になりましたが、4月中旬からバッティングは急下降し、出場機会は激減してしまいました。
5月15日に行われた東北楽天ゴールデンイーグルス戦。4-5とイーグルスのリードで迎えた六回裏、2アウト満塁の場面で代打で登場した細谷選手がバックスクリーンに代打逆転満塁ホームランを打ちました。
これが通算6本目、しかも、2013年9月12日以来の3年ぶりのホームランです。
同じ時期に二軍で共に汗を流した角中勝也選手、岡田幸文選手が一軍で活躍し、主力選手となっていく中で細谷選手はひとり取り残されていました。しかし、腐らず、まじめに練習に取り組み、今年は練習の時点から実戦を想定して準備し、ファーストストライクを振っていく、というテーマを持って取り組んで来ています。
「毎日必死でやっている姿を見ている。練習からいい状態で、一度使ってみようと思っていた。練習は嘘をつかない」
しっかり準備して、与えられた少ない機会に全力を発揮しようとする真摯な姿を見ている伊東監督はコメントしています。
やはり準備の仕方だと思います。出番が少ないという、現在の自分の立場を考えた上で、どれだけ突き詰めて自分をコントロールするかです。試合で結果を出すための練習だという意識でやっていることが大事だと思います。
この日、細谷選手は六回の場面で1点差になり、相手ピッチャーが左に変わったところで、自分の出番を確信したそうです。そして、練習を含めて準備をして来ており、ファーストストライクを打つことを心に決め、打席に入った時点で、既に結果が出ていたのでしょう。
細谷選手の帽子のつばには、英語で「CONCENTRATION」と書かれているそうです。これを日本語に訳すと「一生懸命」「集中」という意味になります。
OH Yeh 細谷圭
細谷圭 oh-oh
OH Yeh 細谷圭
細谷圭 oh-oh
この応援歌は細谷選手の出身群馬県伊勢崎市出身であり、生まれた年に解散したBOØWYのDreamin'が原曲です。
OH Yeh I’m only Dreamin’
I’m only Dreamin’ for me
OH Yeh I’m only Dreamin’
I’m only Dreamin’ for me
結果を出すためには、どんな状況をも真摯に受けとめ、しっかりとした準備が必要であること。
これはプロ野球の世界だけではなく、どの世界にも当てはまることを改めて認識させられました。