日本シリーズが第7戦まで行われていれば10月28日からだった、プロ野球フリーエージェント(FA)宣言解禁日が、第4戦で日本シリーズが終了したために4日も早まりました。
今回の公示では、FA権利を持っている選手は90人で、今年、新たに国内限定FA権を取得した選手は23人、海外を含めたFA権を取得したのは9人となりました。
このうち海外FA権を取得した埼玉西武ライオンズの秋山翔吾選選手は、シーズン216安打のプロ野球記録を持ち、今シーズンもパ・リーグの最多安打に輝く活躍でリーグ連覇に大きく貢献しました。10月13日にクライマックスシリーズで敗退したあとは、「今すぐどうこうは言えない」と権利を行使するかどうかは明らかにしませんでしたが、MBL挑戦を決断するか動向が注目されます。
また、国内FA権を取得し、昨シーズンのオフにポスティングシステムを使ってMLBに挑戦したいと球団に伝えていてた広島東洋カープの菊池涼介選手の今後の動向も注目されます。
一番人気ともいえるのが、日本一になった福岡ソフトバンクホークスの福田秀平選手。どうやら、権利を行使する見込みで、ニュースなどでは既に関心を示している球団が複数あります。他にもカープの野村祐輔選手、東京ヤクルトスワローズのW・バレンティン選手、東北楽天ゴールデンイーグルスの美馬学選手、千葉ロッテマリーンズの鈴木大地選手と益田直也選手らにもFA権行使の可能性がありそうです。
一方で、カープ・會澤翼選手と横浜DeNAベイスターズ・伊藤光選手ら、すでに権利を行使せず残留することを明らかにしている選手もいます。
■埼玉西武ライオンズ
国内FA権保有選手
・十亀剣(今季取得)
海外FA権保有選手
・秋山翔吾(今季取得)
・内海哲也
■福岡ソフトバンクホークス
国内FA権保有選手
・今宮健太(今季取得)
・福田秀平(今季取得)
・中村晃(故障者特例日数加算により今季取得)
・柳田悠岐
海外FA権保有選手
・松田宣浩(今季取得)
・内川聖一
・中田賢一
・高谷裕亮
・明石健志
・長谷川勇也
・川島慶三
■東北楽天ゴールデンイーグルス
国内FA権保有選手
・銀次(今季取得)
・美馬学(今季取得)
・則本昂大(故障者特例日数加算により今季取得)
海外FA権保有選手
・藤田一也
・青山浩二
・嶋基宏
・渡辺直人
・久保裕也
■千葉ロッテマリーンズ
国内FA権保有選手
・鈴木大地(今季取得)
・益田直也(今季取得)
・荻野貴司(今季取得)
・清田育宏
・大谷智久
海外FA権保有選手
・角中勝也(今季取得)
・細川亨
・福浦和也(引退)
・唐川侑己
■北海道日本ハムファイターズ
国内FA権保有選手
・杉谷拳士(今季取得)
・中島卓也(今季取得)
・吉川光夫
海外FA権保有選手
・田中賢介(引退)
・金子弌大
・實松一成(引退)
・宮西尚生
・中田翔
■オリックスバファローズ
国内FA権保有選手
・安達了一(今季取得)
海外FA権保有選手
・T-岡田
・山崎勝己
・岸田護(引退)
■読売ジャイアンツ
国内FA権保有選手
・菅野智之(故障者特例日数加算により今季取得)
・澤村拓一
海外FA権保有選手
・中島宏之
・阿部慎之助(引退)
・亀井善行
・坂本勇人
■横浜DeNAベイスターズ
国内FA権保有選手
・伊藤光(今季取得)
・藤岡好明(今季取得)
海外FA権保有選手
・石川雄洋
■阪神タイガース
国内FA権保有選手
・俊介
・上本博紀
海外FA権保有選手
・メッセンジャー(今季取得:引退)
・能見篤史(今季取得)
・藤川球児(今季取得)
・福留孝介
・鳥谷敬
■広島東洋カープ
国内FA権保有選手
・會澤翼(今季取得)
・菊池涼介(今季取得)
・野村祐輔(今季取得)
・松山竜平
海外FA権保有選手
・石原慶幸
・永川勝浩(引退)
・小窪哲也
・長野久義
・赤松真人(引退)
■中日ドラゴンズ
国内FA権保有選手
・吉見一起
・谷元圭介
・松坂大輔
海外FA権保有選手
・堂上直倫(今季取得)
・藤井淳志
・平田良介
・山井大介
・大島洋平
■東京ヤクルトスワローズ
国内FA権保有選手
・中村悠平(今季取得)
・近藤一樹(今季取得)
・W・バレンティン(今季取得)
・上田剛史(今季取得)
・三輪正義(引退)
海外FA権保有選手
・青木宣親(今季取得)
・大引啓次(今季取得)
・五十嵐亮太
・石川雅規
・坂口智隆
・雄平
・畠山和洋(引退)
・川端慎吾
・館山昌平(引退)
さて、保有しているFA権を行使するかどうかが、地味に注目されているのが、我らが中日ドラゴンズ・大島洋平選手です。
「ルール上、11月1日まで時間はありますし、じっくり考えたいと思っています」と、加藤球団代表に電話し、結論までもう少し時間が欲しいことを伝えていたそうです。
大島選手は3年契約が切れる今シーズン、ドラゴンズではビシエド選手と2人だけとなる全143試合出場を果たし、リーグトップの174安打を放ち、自身初の打撃タイトルとなる最多安打を獲得し、打率もリーグ4位の.312を記録しました、また、盗塁数もリーグ3位の30盗塁で、プロ入り後で2度目となる30の大台でした。守りでは広い守備範囲でチームを救うプレーで、大きく貢献していました。
与田監督は大島選手のFA権について、「大島の今年の貢献度は、もちろんすごいものがある。来年以降も、チームの優勝に欠かせない男です」「FAだからどうこうでなく、大島の力がチームに必要だとは伝えている」とシーズン中から何度か話をしているコメントしています。
また、「他球団の話を聞いてみたいということもあるかもしれない。でもチームに絶対に必要な選手。それだけは間違いない」「自分が出て話をした方がいいなら、もちろん」と直接交渉してもいいともコメントしています。
大島選手との交渉役を務める加藤球団代表は、「ドラゴンズとしては彼の功績を考えて、最大限の提示をしたつもりです。誠意を示したつもりです」と説明したように、査定以上の評価を金額に反映させたそうで、年俸は今季の推定1億8000万円から増額し、3年契約を提示されたようです。そのため、「細かい部分はひょっとしたら変えられるかもしれないけど、基本的には難しい」と、さらなる金額の上積みには難色を示しています。大島から再度話し合いを求められたら応じる姿勢だが、提示した金額からの大きな変動はないという。
「年齢的にもこれが最後のFA」「ドラゴンズにはもちろん愛着はありますが、家族とも相談しながらしっかり決めていきたい」とも話している大島選手は、地元・愛知県名古屋市出身で、プロでもずっと過ごしてきたドラゴンズの愛着は持っていてくれています。宣言すれば他球団が手を挙げる可能性もあると思います。ファンとしては、残留してくれることを祈るばかりですが、マネーゲームになってしまえば、ドラゴンズとしては分が悪くなります。
ただ、考える時間を求めたのは、悩む気持ちがあるからだと思っています。
FA権は選手が長年の積み重ねにより手にした権利です。だから各選手とも行使についてはじっくりと考えて欲しいものです。
FA宣言できるのは、今年は11月1日まで。宣言した選手は11月3日から所属球団を含めた各球団と交渉できます。