我らが中日ドラゴンズは、今シーズン途中で松井雅人選手がトレードでオリックスバファローズに移籍し、武山真吾選手と杉山翔太選手に戦力外を通告。キャッチャーが3人減り、ドラフト会議での指名に注目していましたが、4位指名で慶應義塾大・郡司裕也選手の一人だけでした。
大野奨太選手、木下拓哉選手、加藤匠馬選手、石橋康太選手、桂依央利選手と育成契約のA・マルティネス選手の6人態勢。ここに郡司選手が加わったとしても7人であり、「ちょっと怪しいな」と思っていたところに、「やっぱり」というニュース。
ドラゴンズが東北楽天ゴールデンイーグルスを自由契約になる嶋基宏選手の獲得調査に乗り出すとのことです。
ただ、10月9日に矢野球団社長が、「まだ与田監督らとは話していないけど。ウチはいま若返りしているからね」とコメントしていたところに、手のひらを反すような感じの話です。
嶋選手は、10月21日に仙台市内のイーグルス球団事務所を訪れ、立花陽三社長、石井一久GMら球団幹部に今シーズン限りでの自由契約を申し入れ、了承されました。ドラゴンズはこれを受け、調査する方針を固めたというものです。
ドラゴンズのキャッチャーは今シーズンも確固たるレギュラーを確立できませんでした。キャッチャー固定は数年の問題であり、今シーズン期待された加藤選手が最多の92試合に出場しましたが、リードを含めた守備に加え、打率.228だったバッティングも課題が多く、定位置をつかめませんでした。新人の石橋選手も12試合に起用されましたが、まだまだこれからの選手であります。
そんな中で、嶋選手が自由契約になります。今シーズンは腰痛の影響もあり、プロ13年目で最少の57試合出場、打率.209、ホームラン3本、15打点の成績でシーズンを終えましたが、身体が万全ならば、まだまだ活躍することが可能だと思います。また、何よりも経験も実績も豊富であることは、若い選手にとって、お手本になります。
何よりもイーグルスでコーチとして3年間チームメートだった与田剛監督の存在も大きいと思います。嶋選手の自由契約が決定したという報道が流れた後、与田監督は、「非常にピッチャーを育ててくれるキャッチャー。ここ数年はけがもあったが、楽天にいた時も3年間、嶋の力で勝ったり、若いピッチャーを育ててきたりしたのを見てきた。後は球団と本人がどういう意思かとなる」と語り、かなり前向きになっていると思われます。
また、岐阜県出身(中京大中京高を経て、国学院大)ということで、ドラゴンズにとっては地元の選手にもなります。
腰痛は回復したのですが、福岡ソフトバンクホークスとのクライマックスシリーズ第1ステージではメンバー入りを果たせず、イーグルスを去る決断した理由について、「一番はこのチームがクライマックスシリーズ争いをしているなか、また、クライマックスシリーズ出場を決めてから、福岡での試合の時に一緒に戦うことができなかった。ベンチにも入れなかったのでね。戦力としては見られていないと感じた。それが一番の理由です」と語りました。ニュアンスは違いますが、先日、ドラゴンズを退団することになった、選手のコメントに似ているような気がします。
「13年間やらせていただいた。僕が入った頃はお客さんもほとんどいない中、毎日試合をしていました。そんな中、色んな球団の方の頑張りであったり、選手の頑張りで、今は毎日2万人を超えるお客さんが球場に足を運んでいただいて。僕にとってはいい13年間だったと思います。そんな球団を離れるのは、それはさみしいし、悔しいし、悲しい思いもあるんですけど、プロ野球人生1回なので、勝負したい思いがまだあります。その気持ちが無くなった時は引退する時。僕はまだその思いが強いので、その思いを球団に伝えさせていただきました」と、2006年に大学生・社会人ドラフト3巡目で入団し、当時の野村克也監督の指導を受け、新人だった2007年から125試合に出場するなど主力で活躍し、2013年には球団初のリーグ優勝と日本一に貢献するなど、球団への想いを話しています。
今後について、「レギュラーじゃないから、正捕手じゃないから、もう楽天を去りたいとか、そういう思いは一切ない。野球選手である以上、全員がレギュラーを取りたいと思っている。そういうことよりも、本当に必要とされているかどうか、そういう思いが伝わる球団でやりたいと思いました。もう1回、フラットな目で勝負させていただける球団を探したいなと思います。次にチャンスをいただける球団で僕のすべててを出し切ることが一番だと思う」と語っています。
矢野球団社長のコメントはともかくとして、ドラゴンズ入団には問題になるものはないと思います。