プロ、アマ合同の日本野球規則委員会が先日、東京都内で開かれ、本塁での危険な衝突を禁止するための規定が公認野球規則に追加されることが決まりました。
MLBでは昨年からルール改正されており、日本のアマでも既に適用されていましたが、ここでプロも適用されることになりました。
6.01 (i)本塁での衝突プレイ
(1) 得点しようとしている走者は最初から捕手(または本塁のカバーに来た他の野手)に接触しようとして、走路から外れることは出来ない。走者が最初から捕手(または本塁のカバーに来た他の野手)に接触しようとしたと判断すれば、審判員はその走者にアウトを宣告する。
(2) 捕手がボールを持たずに得点しようとしている走者の走路をブロックすることはできない。もしブロックと審判員が判断した場合、走者をセーフを宣告する。捕手が送球を実際に守備しようとして走路をふさぐ結果になった場合(たとえば、送球の方向、軌道、跳ねに反応して、投手またはカットに入った内野手からの送球に反応、動いたような場合)には、それは本項違反とはみなさない。
つまり、写真の①捕手は走路を空けているが、走者が落球を誘うために走路を外すのは「守備妨害でアウト」②ボールを持たない捕手が走者の走路をブロックするのは「 走塁妨害でセーフ」というものです。
このルールが明文化されるきっかけになったのが、2011年のMLBでのプレーでした。私もブログで書いていました、このプレーです(http://blog.goo.ne.jp/full-count/e/3effebfab2d9739d25f388bda0cfb4c4)。
その後、2014年にMLBで本塁上でのプレーに対するルールが決まり、そのときに「NPBではMLBよりも一年遅れでいろんなルールが導入されるのですが・・・(http://blog.goo.ne.jp/full-count/e/737573d2e97e9d2b1981ff6c14a1c8d1)」と書いたとおりに、一年後の2016年から日本のプロでも導入されることとなりました。
これで、得失点にどのくらいの違いが出たかは明確に計る術はありませんが、そもそもケガをしたら何にもなりません。ケガは選手自身、チーム、リーグにもマイナスになってしまいますから。ただ、キャッチャーは本塁上から離れて立ち、ランナーには追いタッチ気味になるケースが増えるでしょうから、得点は増えそうな感じはします。 そもそも野球ではタイミング的にアウトで、実際アウトでも追いタッチはセーフに取られやすいプレーですから。
ただ、キャッチャーも走路は空けても、送球を受ける自然な動きの中で、左足でベースにかかるか、かからないかの動きでランナーをブロックすることが出来るでしょう。こんなプレーの中で、また名キャッチャーが出現してくるかもしれません。
続いてMLBでは二塁ベース上でのプレーについてもルール制限を検討しています。このきっかけは2015年10月に行われたMLBナショナル・リーグ地区シリーズのニューヨーク・メッツ対ロサンゼルス・ドジャースの試合で、メッツのショートのルーベン・テハダ選手が、ダブルプレーを阻止しようとしたドジャースの一塁ランナーのチェイス・アットリー選手に足を刈られるようなスライディングを受けて、右足を骨折したことです。
動画は昨年9月にピッツバーグ・パイレーツの姜正浩( カン・ジョンホ)選手がケガしたプレーです。
過去に日本人選手も2009年に当時タンパベイ・レイズに所属していた岩村明憲選手(現; 福島ホープス選手兼任監督)が左ひざじん帯損傷、2011年には当時ミネソタ・ツインズ所属の西岡剛選手(現; 阪神タイガース)が左すねを骨折しています。一方でショートは守備でも魅せる名選手を多く輩出してきています。オズの魔法使いと呼ばれ13年連続ゴールドグラブ賞のオジー・スミスさん、堅実な守備とアクロバティックなプレーのオマー・ビスケルさん、広大な守備範囲と失策を恐れぬアグレッシブな守備力のレイ・オルドニェスさんや日本では久慈照嘉さん、宮本慎也さん、井端弘和さん、小坂誠さんらです。
「ショートのプレーは特別。野球の醍醐味がそがれる」と米国では二塁ベース上のルール導入に反対する意見もあるそうです。
でも、ショートだってキャッチャーと同じ 生身の人間です。いくら超人的な選手だとしても、限界はあります。