第4回ワールド・ベースボール・クラシック（WBC）大会が2017年3月に開催されることに対して、日本は侍ジャパンとして代表チームの常設化を決めて、活動しています。しかし、この第4回大会を最後に、WBCが消滅する可能性があることを米国の複数メディアが報じたというニュースがありました。
それはESPNの記者が「今大会で十分な利益があげられない限り、WBCの大会が終了する可能性のあることを、複数のニュースソースから聞いた」とツイートしたものです。ヤフースポーツは「WBCは米国以外の観客にアピール出来ているかもしれないが、MLBファンが同じとは思えない」と米国内の関心の薄さを指摘し、CBSスポーツも「MLBはこれ以上お金をかけたくない」と収益面の問題から次回大会が最後の可能性があると指摘しています。
そもそも2006年から「野球の世界一決定戦」と銘打たれてスタートしたWBCは、MLB機構とMLB選手会が一緒になって立ち上げたイベントで、MLBの国際化に伴うマーケットの拡大が目的とされていました。大会は各国から集められたスポンサー料、放映権料、ロイヤルティーなどで運営され、収益はWBCの大会運営会社に一括で集められ各チームへ再分配されていました。そのほとんどが日本からのものであり、その利益分配のパーセンテージを巡って、毎大会、紛糾していました。前回は直前まで日本代表の参加が危ぶまれていました。
また、準決勝、決勝などの大会のクライマックスは米国で開催されたいたのも関わらず、第1回、2回の優勝は日本、第3回はドミニカ共和国が優勝するなど、米国が過去一度も決勝進出すら出来ていないこともあり、米国での観客動員、視聴率なども振るわず、大物メジャーリーガーの参戦しないなどもあり、メディアやファンの関心も高くはなりませんでした。
しかし、日本、韓国とアジアの国々やドミニカ共和国、ベネズエラなどはファンの関心も高く、応援にも熱があり、大会に参加する選手の本気度が高いのですが、どうも主催の米国とは温度差があったようです。WBCは外国の観客にアピールするには良いかも知れないのですが（これは選手にも言えるでしょう）、MLBファンは外国の観客と同じような関心はおそらく持っていないでしょう。これは選手にも言えるようにも思え、大会に勝つことが真の名声になっていないのですから。さらに、試合はシーズン直前でもあり、事実、自分の応援するチームの選手がここでケガをしないことを願うでしょう。米国の野球ファンにとってはMLBのレギュラーシーズンのほうが重要なのですから。
昨年秋に開催されたプレミア12。こちらも国際大会ではあるものの、どこの国も代表選手の派遣には今一つ力が入っていません。MLBにおいてはWBCだけでも、毎回、選手の派遣で揉めていますので。それでもまだ、ほとんどの試合が米国内で行われるから、なんとか体裁が整えられるのですが、プレミア12は試合が日本と台湾で行われるとなると、超えなければいけない障害がいっそう高くなり、さらに消極的になるのは当然のことです。
WBCを消滅させないためには、やっぱり米国が本気を見せることでしょう。米国代表が大物メジャーリーガーを揃えて、打って打って打ちまくって、決勝へ進出し、優勝すれば、米国のファンの見方も変わるかも知れません。
大会の収益を増加させ、消滅危機を回避するためには、実施時期を変更することや運営方法を変更することが必要になるでしょう。では、今すぐ具体的に何かというのはありません。
ただ、一つだけ言えることは、2017年の大会を出来るだけ楽しむしかありません。2020年の東京オリンピックはあるものの、もしかすると、これが最後のグローバルトーナメントになるかも知れませんから。
（昨年のプレミア12に米国代表チームのトレーナーの方。こういう姿も楽しめなくなってしまうかも）
