「ゆきにたえてばいかうるわし」と読みます。これは「偶成」という漢詩の一部です。
西郷隆盛さんが1872年(明治5年)に甥の市来政直に送ったものです。
示外甥政直 西郷南洲
一貫唯唯諾 一貫、唯唯(いい)の諾
従来鉄石肝 従来、鉄石(てっせき)の肝
貧居生傑士 貧居(ひんきょ)、傑士(けっし)を生み
勲業顕多難 勲業(くんぎょう)多難に顕(あら)わる
耐雪梅花麗 雪に耐えて梅花麗(うるわ)しく
経霜楓葉丹 霜を経て楓葉(ふうよう)丹(あか)し
如能識天意 如(も)し、能(よ)く、天意を識(し)らば、
豈敢自謀安 豈(あに)敢(あえ)て、自から安きを謀(はか)らむや
一度「よろしい、引き受けよう」と心に誓った事は、どこまでも唯直向きにそれを貫き通さなければならない。
これまで保ってきた鉄の如く石の如く守ってきた胆力は、いつまでもそれを変えてはならない。
豪傑の士というものは貧しい生活をしてきた人の中から現れ、高く評価される事業というものは、多くの艱難を経て成し遂げられるのだ。
初春の雪の冷たさを耐え忍んだ梅の花が麗しく咲いて芳香を放つように、晩秋の深い霜をしのいで楓の葉が真っ赤に染まるように(人間というものは、辛いことや 苦しいことを耐え忍んでこそ大成するのだ)。(天は人々に本分を授けている。)
もしこれらの天意が理解できたのなら(天命をよく認識するならば)、どうして我が身の「安楽を謀る」ような生き方が出来るだろうか(決してしてはならないのだ)。
昨年、ニューヨーク・ヤンキースのキャンプミーティングで、各選手が好きな言葉を日替わりで披露しました。このときに黒田博樹選手が選んだのが、この「耐雪梅花麗」でした。
梅の花は、寒い冬を耐え忍ぶことで、春になれば一番麗しく咲く、という意味で「苦しまずして栄光なしの考え方、それを最初に知ったのは高校のときかな」と説明したそうです。
いろいろ言ったところで、結果は出さねばダメなんです。
その結果を出すためには、手段を選び、人事を尽くして、努力して、目標に到達することです。
良い時も悪い時も、常に変わらず努力し続けることが大切。
梅は花が咲けば、必ず実を結びます。
頑張れば必ずその報いがあります。