2015年東京モーターショーが開催されました。今回、最大のテーマは自動運転技術であり、数年後には実用化が進んでいくものだと思われます。ただ、私のような平民が自動運転技術の自動車を手に入れられるのは、まだまだ先になることでしょう。
それ以外には水素自動車などが目玉だと思われますが、他には新しい提案がない様子です。気になる新車の発売モデルが見られたというくらいでしょうか。
そんな中で一番のサプライズだったのが、イチロー選手をゲストに招いたトヨタ自動車でした。
イチロー選手と言えば1990年代半ばに日産自動車のCMで「変わらなきゃ」と連呼していたのが思い出されます。そして当時は日産の車に乗っていました。
それが今回、トヨタがイチロー選手をゲストに呼んだということは、乗っている車をトヨタに変えたのではないか、または変えるのではないかと想像できます。
現在のトヨタは過去最高益を更新し、最大のライバルのフォルクスワーゲン(VW)が排気ガス規制への不正対応によって未曾有のリコールを迫られたことで、一転して経営危機に直面したため、目下無敵状態に思われます。
ただ、外敵がいるときには、社内も一致団結して取り組むのですが、外敵がいなくなってしまうと内部で思わぬほころびが発生すると、もろくも崩れやすいものです。そうならないように気を引き締めるのが経営者の手腕でありますが。
イチロー選手は打率が良くても、毎年、打撃フォームを変えるのは有名です。常に新しいことに挑戦し続けていかないと、選手としての成長がないと考えているからです。仮に打撃フォームを変えて、成績が良くなかったとしても、それは自身の成長に向けた後退と捉えると言います。
トヨタは現在、設計から生産まで車づくりの手法を見直す「TNGA(トヨタ・ニューグローバル・アーキテクチャー)」と呼ばれるプロジェクトに取り組んでおり、今年12月にはTNGA1号車の新型「プリウス」が登場します。
「トヨタも今の非常識を常識に変えていくようなチャレンジする局面にある。ベストを目指すのではなく、小さくてもいいからベターを積み重ねることでトヨタを変革させたい」と豊田社長は考えています。
前向きな失敗は将来の持続的な成長に向けての「糧」です。
ただ、残念ながらそれを「良しとする」度量の大きい経営者が少なくなっていることも事実です。