野球小僧

2019 戦力外通告 クビを宣告された男達

年末の風物詩と呼ばれているTV番組と言えば、「M-1グランプリ」「日本レコード大賞」「紅白歌合戦」「絶対に笑ってはいけないシリーズ」とともに、「プロ野球戦力外通告 クビを宣告された男達」があります。

番組の内容はタイトルそのままの、「所属球団をクビになった選手」に密着したドキュメンタリーです。リアルすぎる生き様が映し出されることもあり、人気ですが、あまりにもリアルすぎて、ここ数年は観ていません。ちなみに、ドラフト特番も指名されなかった選手が取り上げられたりするリアルさもあって、こちらも近年は観ていません。

ところで、戦力外通告はプロ野球選手に限った話ではありません。

Aさん(男性・42歳)
Aさんが戦力外通告を受けたのは、入社1年目のときでした。

「大学を出るまで、学力でも部活やサークルの活動でも、頭の回転で人に負けた経験はほぼありませんでした。だから、この会社に入っても同期には負けないと思っていましたし、逆に同期に勝つことばかりを考えていました」

しかし、この考えが戦力外のきっかけになったそうです。

「営業職で入社し、同期約80名の中で数少ない首都圏激選区の担当になりました。1年目で配属されたのは、私を含め3人。数カ月たち、同期一人ひとりが担当のお客様を持つようになりました。もちろん、最初ですから同期同士で助け合っていくべきなのですが、私はとにかく負けたくなくて…。ずっと一人で行動していましたね」

1年目の終わり。自分が担当するB社と他の同期メンバーが持つC社はライバル関係にあり、営業をする際は両社のバランスを取る必要がありました。しかし、Aさんは同期メンバーにC社の状況を聞かず、B社に単独営業。勝手に話をまとめてしまった。

「それまで数年の流れを考えると、C社を尊重すべきタイミングでした。しかもC社はウチの苦しい時を支えてくれた経緯があったといいます。でも、私はとにかく目の前の獲得が欲しくて。この事案が知れ渡ると、社内では大問題になりましたね」

それから1週間後、首都圏担当を外されます。会社としても異例の措置でした。

「上司に呼び出され、『お前は誰に向けて仕事をしているんだ』と怒鳴られたんです。つまり、外部のお客様を見ず、社内の同期ばかり見て、しかも同期を敵とみなして戦っている。実は、他にもそういった言動があり、担当を外されました。それまで大口をたたいていた分、きつかったですね」

Aさんは、そこから地方での企業担当となります。売り上げ規模が違うこともあり、緊張感も違い、社内からの注目度も低い。何より、上司や同僚の目は冷たいものでした。

「でも、担当の上司が私を救ってくれました。やさしい言葉をかけるわけでもなく、ただ自然と、淡々と接してくれて。その上で、自分が会社の中でどうあるべきか、どう振る舞うべきか。背中で示してくれましたね」

自分自身、深く反省していたからこそ、冷たい目で見ず、かといって過度に接するわけでもなく、自然体の関係でいてくれた上司が「ありがたかった」そうです。

Aさんはそれから4年間、地方で担当。前半2年で会社から首都圏への復帰を打診されますが、担当地域のクライアントからの要望もあり居残りました。

「無責任な言い方ですが、たとえ最初は悲劇だと思う出来事でも、どうにかして視点を変える、捉え方を変えるしかないんです。私も当時すごくつらかったし、会社を辞めてしまおうかとも思った。若くて無鉄砲ですから。でも、結果的にあの時期に首都圏から外されて、地方に行ったから今があります。ポジティブに捉えようなんて簡単なことは言えませんが、見方を変えて、一から頑張るしかないんですよね」

Bさん(男性・35歳)

「3年ほど前、マッチングアプリで出会った女性がいました。美人で話も合い、好きになりましたね。デートを3回ほど重ねて告白したのですが、そのときは『ちょっと考えさせて』とのことでした」

相手は29歳。結婚を考える時期でもあり、出会って2ヶ月ほどということもで、まだ分からない部分も多く、「慎重に判断したいのだろう」とBさんは考えていました。

「ただ、告白した夜に電話をくれたり、その1週間後にも遊びに行ったりしていたので、おそらく大丈夫だと思っていました」

少しずつ違和感を抱き始めたのは、1ヶ月後。告白してから3回ほど会ったが、毎回返事が聞けませんでした。

「たまりかねて、『いい加減答えを出してほしい』と言いました。すると『実は他の男性とも会っていた』と…。どうやらマッチングアプリをその後も続けていて、何人も候補を作っていたようなんです」

彼女には3人の男性と付き合っていたという事実が発覚。しかも、Bさんは最初に落とされてしまいました。

Bさんはその後、マッチングアプリで出会うのをやめたそうです。出会いの頻度は減りましたが、「それでもあの世界はもうイヤだ」と話します。出会いが手軽すぎ、簡単に新候補が生まれ、その一方で戦力外が生まれる。「レギュラー争いが激し過ぎですから」と笑っているそうです。

Cさん(男性・29歳)

大学一年のころ、2つ上の先輩女性に告白しましたが…。

「単純に『顔が好きじゃない』と言われましたね。『イケメンかかわいい男子がいい』と。その後、彼女は『彼氏にするのは無理だけど、ご飯だけおごってくれる関係ならいいよ』と続けたんです」

Cさんは悲しみましたが、しかし、好きな先輩だからこそ、思わず「それでもいいよ…」と言ってしまいます。すると、その先輩は、「ウソだよ、冗談に決まってるじゃん。その発言はますますマイナス」と言われます。

それでも、Cさんはあきらめきれず、以降も先輩と交流を続けました。フラれた直後は絶望的でしたが、逆に認められようと奮起しました。

「言われてみれば、当時の自分は服装にも無頓着で、髪型も微妙。魅力的な要素はゼロなんですよね。そういう客観的な目がまったくなかった。なので、それからいろいろ頑張りましたよ」

そして、3ヶ月後にCさんはふたたび先輩に告白したそうです。しかし、結果は2度目の敗戦。甘くはありませんでした。

ただ、彼女は、「でも前よりはかっこよくなった」とCさんに言いました。

Cさんは、戦力が通告を受けたとは言えども、この一言に喜んでいる自分がいたそうです。恋愛は実らなかったものの、結果的にこの経験は大きなプラスになったそうです。

さまざまな人たちに訪れる、いろいろな戦力外通告。その瞬間は挫折だと感じても、実は大きな転機になるかも知れません。後で振り返ると必ずしも悲劇とは言えないものもあると思いますし、何年後、何十年後、遠くから振り返れば、良い経験に見えることだってあります。

そして、そうしなければなりません。

2019年。

何かしらの戦力外通告を受けたとしても、今後の人生にきっと多くの幸があることを願っています。


コメント一覧

まっくろくろすけ
象が転んださん、こんばんは。

そうですね。昔は、仕事でも、挑戦して、失敗しても、それが許されたりしましたが、今は、仕事にしても許してもらえなくなっている風潮ですよね。

私は、失敗体験しかないようなものですから、多少の失敗ではアタフタしませんが・・・これからの仕事は、それを伝えていくことでしょうか。
まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。

人は生きている間には、何かしらの戦力外通告はあると思います。でも、ただ、その環境が自分に合わなかっただけであって、本当の自分の居場所を教えてくれるためだったと。

雨の日には雨の中を
風の日には風の中を
相田みつを
象が転んだ
一昔前は、失敗が成功の母になる時代でした。
しかし今や、失敗は失敗の父ですかね。
”あの失敗があったからこそ今の自分がある”
と思える人は、実際にどれくらいいるんでしょうか。

昨夜はソフバンをクビになった川崎選手と3度三冠王をとった落合選手の特集を見ました。勝者と敗者がハッキリと分かれた番組だったですかね。
eco坊主
おはようございます。

記載のTV番組はどちらも観ないです。リアルでは無理だし録画は・・・
戦力外通告は某社を退職したときかな(笑)
でもあの時の社内SNSの仲間の言葉は感謝してますよーーー!
だからこそ今があるのも事実ですしね^^v

あの時の戦力外通告が良かった!と思えるように次の人生を歩むことが大事です。そうすれば必ずや道は開けますよね。

しあわせは いつも じぶんのこころがきめる   みつを
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