今年の高校球界を代表する二人のスラッガー、東の東京・早稲田実高の清宮幸太郎選手と西の大阪・履正社高の安田尚憲選手。
今年の選抜大会では清宮選手は期待されていたホームランがノーアーチで二回戦敗退、安田選手がホームラン1本で準優勝と明暗が分かれたものの、バッティング内容についてはともに高く評価されています。
実績では清宮選手です。そもそも入学直後からクリーンアップを打ち、一年夏の甲子園でホームラン2本。その後も厳しいマークに合いながらも高校通算ホームラン81本(4月15日現在)と、清宮世代という呼び名のとおり、高校球界を代表するスラッガーという評価は間違いないでしょう。
一方の安田選手が注目を浴び始めたのは二年生から。夏の大阪府大会では5割を超える高打率でチームの甲子園出場に貢献し、昨秋の明治神宮大会では決勝でホームランを放つ活躍を見せました。選抜大会でも準々決勝、準決勝で大活躍し、チームを準優勝に導きました。
身体サイズ
清宮選手 184㎝ 103㎏
安田選手 188㎝ 95㎏
共に高校生離れした体格を誇り、ともに右投げ左打ちのスラッガーです。4月11日時点での公式戦の成績がありましたので、記載します。
公式戦打撃成績
清宮選手 42試合 193打席 147打数 68安打 17二塁打 3三塁打 ホームラン16本 62打点 44四死球 13三振 打率.463 出塁率.580 長打率.946
安田選手 35試合 156打席 114打数 50安打 14二塁打 2三塁打 ホームラン8本 46打点 37四死球 9三振 打率.439 出塁率.558 長打率.807
ともに4割を超える打率、5割を超える高出塁率で、超高校級スラッガーえす。また、そして三振が少ないのも共通したおり、清宮選手は14.8打席に1度、安田選手は17.3打席に1度しか三振をしていません。ホームランか三振かというパワーだけでなく、ミート力も備えています。ホームランは出場している試合数の差もありますが、試合数の差を差っ引いてみても現時点では清宮選手の方がより高い確率でホームランを打っています。
この2人のスラッガーですが、バッティングについては真逆と言えるスタイルとのことです。
清宮選手はスイングが柔らかいのが特長だそうです。構えた時から上半身に無駄な力が入らず、身体の鋭い回転でボールを飛ばすとのこと。そしてミートポイントは清宮選手が少しピッチャー寄りであり、言葉で形容すると“さばく”という言い方がピッタリです。
安田選手は力感が特長です。バットを大きく動かさないものの、ピッチャーに与えるプレッシャーはかなりのものがあるそうです。そしてミートポイントはキャッチャー寄りであり、“押し込む”というスタイルでボールを遠くに飛ばしています。
この2人と公式戦で対戦した日大三高のドラフト候補サウスポー・桜井周斗選手の感想が面白いです。
桜井選手は高校生離れした鋭いスライダーが絶対的な武器にしており、昨年の秋季東京大会決勝で、清宮選手から5打席連続三振を奪い、今年の選抜大会初戦の履正社高戦では、安田選手からも3打席連続三振を奪っています。櫻井選手曰く「オーラみたいなのは、清宮君の方が感じた。安田君の方が『これしか待たない。意地でも食らいつく』という感じが高校生らしかった」と言います。
ともにプロ志望届を提出すれば、ドラフト1位指名は確実でしょう。ただ、清宮選手は肩に故障歴があるため、ヒジを下げて投げることが多く、ファースト以外を守ることは考えにくこともあり、サードを無難にこなせる安田選手の方がトータルでは評価点は高いでしょう。獲得を目指すプロ球団からしてみますと、チーム事情とあとは松井秀喜さんや清原和博さんが持っていたスター性などで判断が違ってくることでしょう。
「東の清宮 西の安田」は「柔の清宮 剛の安田」とも言えるでしょう。