NPB予備軍 vs. MLB予備軍ともいえる一戦をTV観戦しました。
日本代表の先発の佐藤世那選手(仙台育英高)は甲子園での疲れも取れてか、決勝戦では見られなかった力強いピッチング。
一方の米国代表は191cmの長身サウスポーのギャレット選手。まるで往年のランディ・ジョンソンさん(元サンフランシスコ・ジャイアンツほか)を思わせる風貌とピッチングでの投手戦で試合は進みました。
U18の試合を観ていて、日本代表と米国代表の違いで気が付いたことが一つあります。
それは攻撃時のサイン。日本代表はベンチから監督がサインを出していましたが(三塁コーチは高知高の島田監督、一塁コーチは八戸学院光星高の仲井監督)、米国は三塁ベースコーチがバッターへサインを送っていました。
これは、高校時の野球スタイルの違いだからでしょうね。
さて、米国高校野球のシステムは州によって体制が異なります。
例えば43~44試合と決められた試合数のルイジアナ州があったり、トーナメント2つのみでしかプレーできないカリフォルニア州があったりと、州によって運営が違っています。
そして中には部活動として野球が行える期間が、3~5月までと限定されている地区も存在しています(米国の新年度は9月から)。
ですから、高校の野球部の頂点は州大会。いわばローカル大会であり、日本のように高校の野球部でプレーするだけでは、米国では埋もれてしまいます。
州によっては他州の優勝校と対戦するケースもあり、イリノイ州は州大会で優勝するとインディアナ州、オハイオ州、ケンタッキー州といった近隣の州のチャンピオンと戦って、ナンバーワンを決めたりします。
フロリダ州は広いため、北と南に分けて州大会を行っています。
これらは、それなりに大きな大会っぽいのですが、高校の野球部で臨む州大会は「誰も気にしていない」とそうです。これはMLBどころか、野球部の選手自体も同じことだそうです。
では、米国高校球児の目標は「ショーケース」というイベントに出ることが最大の目標なのだそうです。
ショーケースは様々な形で開催され、10月にジュピター(フロリダ州)で行われる三大イベントの一つは高校の部活とはまったく関係なく、全米から選抜された高校生が集います。
そしてプロのスカウトや大学のリクルーターが集結することもあり、スカウトらの前で球児は自分をアピールするのです。ただ、選抜大会とかトーナメント大会があるのではなく、ただ試合があるだけであり、そこで自分のスキルを披露するのです。
米国球児は夏休みに入るとサマーリーグでプレーを始め、上手い選手は選抜されるとまず地域の選抜チームに入ります。そこでさらに目立つ選手は市の選抜チーム、4つぐらいの市を統合した選抜チームへと徐々に昇格して、中でも上手い選手はトラベルボールという遠征を伴うリーグに入るそうです。
次のステップへ進むには、このトラベルボールでの活躍が不可欠になるそうで、小さな地域にとどまらず州や国境を越えて試合を行うトラベルボールは、州内でしか試合を行わない高校の野球部で活躍するよりも、はるかに多くのプロのスカウトや大学のリクルーターの目に留まる可能性が高まるそうです。
このトラベルボールなどで活躍し、プロスカウトが推薦すると、ショーケースのイベントに招待されたり、「エリアコード・ゲーム」という毎年夏にカリフォルニア州のロングビーチで行われ、300人ほどのMLBスカウト、大学のリクルーターが訪れるイベント(ここも、ただ試合をするだけ)だそうです。
全員が全員ではないでしょうけど、米国高校野球ではMLBからドラフトされるため、大学の奨学金を得るために自分を磨いているとも言えるでしょう。日本の高校野球はあくまでも教育の一環のはずですし。
どちらの高校野球論が良いのか悪いのかは、文化・風習の違いなどもあるので一概には言えません。
ただ、グラウンド内で一球一打に追い求める先にあるものは同じ夢であるでしょう。
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まっくろくろすけ
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