野球小僧

るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-

「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」は、「週刊少年ジャンプ(集英社)」の1994年19号~1999年43号まで連載された、和月伸宏さんによる漫画およびアニメ化・実写映画化などと様々な形でメディアミックスも行われている作品です。略称は「るろ剣」。2017年10月号からは続編の「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚・北海道編-」が「ジャンプスクエア」より連載しています。

2021年4月23日から、「るろうに剣心 最終章 The Final」が公開中、6月4日から「るろうに剣心 The Beginning」が公開されます。

明治時代初期の日本が舞台。幕末に「人斬り抜刀斎」として恐れられた伝説の剣客・緋村剣心。新時代「明治」の幕開けとともに歴史の表舞台から忽然と姿を消し、その名は伝説と化してた。それから10年、人を斬ることを自らに堅く禁じ、「不殺(ころさず)」を誓って、その刀を決して人を斬ることのできない「逆刃刀」に持ち変え、流浪人・緋村剣心と名乗り、弱い立場の者を救い本当の意味での維新を成し遂げるため、東京に現れる。

ひょんな事から女剣士・神谷薫と出会った剣心は、薫が師範代を務める神谷道場に居候する。その後、次第に剣心に共感する仲間たちが集まっていく。一方で、剣心の最強伝説に挑み、最強の名を自らの手中におさめるべく戦いを挑む男たちが、剣心たちを付け狙う。

ストーリーはオリジナルのものですが、「赤報隊(幕末に結成された草莽隊で、王政復古により官軍となった長州藩、薩摩藩を中心とする新政府の東山道鎮撫総督指揮下の一部隊)」「新選組(幕末の京都で治安維持活動、特に尊攘派志士の弾圧活動をした浪士隊)」や「紀尾井坂の変(1878年5月14日に、内務卿・大久保利通さんが暗殺された)」などの史実や実在人物も登場します。

さて、実際に幕末は刀で時代を変えようとする志士たちによって、暗殺が繰り返されました。「桜田門外の変(1860年3月24日)」で大老の井伊直弼さんが暗殺された事件をきっかけに、「尊王攘夷(天皇を敬い、外国の侵略を撃退しようとする思想)」の大義のもと「天誅(天皇に代わって悪人を成敗する)」と称して、多くの要人がその刃の対象となりました。

特に有名だったのが、「尊王攘夷派の四大人斬り」と呼ばれる四人の暗殺者です。

■田中新兵衛さん / 元;薩摩藩士
最初に暗殺したのが、そのころ京都で絶大な権力をふるっていた、島田左近さん。井伊直弼さんの右腕だった長野主膳さんに協力して、安政の大獄で尊王攘夷派を弾圧していました。さらに1万両を越えた賄賂を江戸幕府より受け取っていました。

田中新兵衛さんは脱藩後に上京してすぐに、6名で島田左近さんを暗殺する計画が持ち上がるも失敗。しかし、その後1ヶ月間、島田左近さんを追いまわし、鴨川で暗殺し、晒し首にしました。実はこれが「天誅」の先駆けです。

その後、武市半平太さん、土佐勤皇党の岡田以蔵さんらと徒党を組んで暗殺を繰り返します。命令には絶対服従で同士だろうと敵だろうと容赦なく暗殺し、「人斬り新兵衛」と呼ばれていました。

田中新兵衛さんは、過激派攘夷論者の公卿の姉小路公知(あねがこうじきんとも)さんが京都御所の朔平門(さくへいもん)付近で刺客3人に襲撃された「朔平門の変(1863年5月20日)」の容疑者として捕らえられ、隙を見て自刃という末路でした(享年31歳)。

■岡田以蔵さん / 土佐藩郷士
岡田以蔵さんは、武市半平太さんに師事し、剣術を学びます。その後、土佐勤皇党に加入したのが、人斬りの始まりになります。

土佐勤皇党の志士として、井上佐市郎さん(土佐藩下目付)を同士とともに暗殺、その後も暗殺を繰り返していきます。単独で行うことはなく、集団による暗殺で、田中新兵衛さんらとともに行動することもありました。

安政の大獄での尊王攘夷派の志士弾圧に関与した、京都町奉行の役人などを暗殺し、「天誅の名人」と呼ばれていました。

しかし、その後、岡田以蔵さん脱藩して江戸へ逃亡し、土佐勤皇党とは距離を置き、暗殺をやめて高杉晋作さんの居候になったり、坂本龍馬さんの紹介で勝海舟さんの護衛をしたりします。

後年、岡田以蔵さんはお金がなくなり、商家へ押し入ったところを捕縛され犯罪者として土佐へ搬送されます。拷問に耐えきれず自分の罪状や加担した同士を洗いざらい喋り、結局、打ち首、獄門での最期となりました(享年27歳)。

■河上彦斎(かわかみげんさい)さん / 元;熊本藩士
河上彦斎さんは、「るろうに剣心」の緋村剣心のモデルといわれています。低い姿勢からの片手抜刀の達人で、逆袈裟切りが得意。普段は礼儀正しく優しく温和で、小柄な女性のような色白の色男でした。

儒学者・轟武兵衛さん、国学者・林桜園さん、宮部鼎蔵さんに学び、清川八郎さんとも交流を持った、過激な尊王攘夷論者でした。このころに多くの人間を斬ったといわれており、「一度にらまれたら逃げられない」というところから「蝮蛇(ひらくち)の彦斎」と呼ばれていました。しかし、このころに暗殺したという記録は残っていませんが、攘夷の妨げには容赦なかったという恐ろしい逸話も残っています。

記録に残っているのは、京都で西洋の馬の鞍を使い闊歩していた佐久間象山さんを、「西洋かぶれ」という理由だけで衝動的に暗殺したのみです。

その後、京都で起きた「蛤御門の変(はまぐりごもんのへん)(1864年8月20日)」では長州の久坂玄瑞さんに協力し、人斬りが加速しますが、佐久間象山さんが欧米に対応するために公武合体を唱えていた人物であり、河上彦斎さんが唱えていた攘夷論と広い意味で同じであることを知り、突如人斬りをやめます。

河上彦斎さんは、最後まで強固な攘夷論者を貫きとおし投獄されますが、新政府になってから解放されます。しかし、政府要人の暗殺や奇兵隊反乱の首謀者を匿ったなどの疑いにより、東京日本橋小伝馬町で斬首されました(享年38歳)。

■中村半次郎(本名:桐野利秋)さん
「人斬り半次郎」と呼ばれ幕末の四大人斬りの一人ですが、実際に記録として残っているのは、赤松小三郎さん(薩摩藩の軍学者)を暗殺した1件のみです。

中村半次郎さんは西郷隆盛の右腕でした。当時、薩摩が武力討幕に考えが傾いていたため、窮地に追い込まれます。赤松小三郎さんは、討幕派も佐幕派も同じように付き合っていたため、藩の情報を会津や幕府に売り渡しかねないと危険視されていました。そして、薩摩では情報漏洩阻止のために赤松小三郎さんを斬るしか方法がないと考えました。

そして、西郷隆盛さんが中村半次郎を止めようとしましたが、ピストルを構えた赤松小三郎さんに対してひるまず、「一度斬ると決めたら斬るまで刀を収めるな」という考えのもと、瞬時に斬殺した剣の速さにより、人斬りとして恐れられました。実際に、新選組では、「半次郎は相手にするな」と隊士に命じていたという話も残っています。

一方で西郷隆盛さんを「人生の師」と仰ぎ、諸藩の維新志士とも交流があり、聡明で分け隔てなく接する人物であり、信念に実直で心優しい男だったといわれています。

明治政府では軍人として陸軍裁判所所長などを歴任していましたが、西郷隆盛さんが明治政府を去ると、一緒に鹿児島に帰還します。そこで西郷隆盛さんと私学校を創設しますが、これが反政府組織となっていき、さらに西南戦争となり、中村半次郎さんは銃弾を受けて亡くなりました(享年38歳)。

新しい時代のため、志をもって自分の信念に従った行動が「人斬り」だった時代、正義と信じていた時代だったと思います。

しかし、田中新兵衛さんと岡田以蔵さんは新しい時代を見ることのないまま何を思い去っていき、河上彦斎さんと中村半次郎さんは、自分たちが目指していたものとは違ったと思われる新時代に何を思って去って行ったのかはわかりません。

そして、昔も今も、何も変わっていません。

「時代を変えても 刀を変えても 人が変わらなければ 何も変わらない」

今日も、私のブログにお越しいただいてありがとうございます。

今日がみなさんにとって、穏やかで優しい一日になりますように。そして、今日みなさんが、ふと笑顔になる瞬間、笑顔で過ごせるときがありますように。

どうぞ、お元気お過ごしください。また、明日、ここで、お会いしましょう。

コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。

コメントありがとうございます。

日々変わっていく歴史のとき。新しい時代を自分たちの力で切り開いていく、ということを信じていたのでしょう。

時代を変えるのは、人の熱意。

今の時代は物は豊かかも知れませんが、それに引き換えて、なくしてしまったものも多いように思えます。
まっくろくろすけ
Yuccoringさん、こんばんは。

コメントありがとうございます。

幕末~明治初期の時代が好きなこともあって、「るろうに剣心」はマンガで読んでいました。そな流れで(?)「銀魂」も最初の頃、読んでいました。

なお、この本はつい先日、コンビニで見つけて購入したものです。
eco坊主
おはようございます。

るろうに剣心は少年ジャンプに連載されていた頃に読んでいました。
何編だったかは忘れましたけど・・・単行本や映画は一切観ていません。

「尊王攘夷派の四大人斬り」知っているのは岡田以蔵さんくらいかな~
「青天を衝け」で安政の大獄は終わったけど田中新兵衛さんは記憶にないなぁ~
西郷吉之助(博多華丸さん)が登場してきたので中村半次郎は出てくるかな?

そういや~龍馬伝で岡田以蔵さん役は佐藤健さんだったなぁ~
そこから抜刀斎=緋村剣心に繋がっているのかしら?

>「時代を変えても 刀を変えても 人が変わらなければ 何も変わらない」
↑同意


笑顔で生活ができるよう今日も感謝とおもいやりの気持ちを持って顔晴ります。
明日を信じて 明日のために。
supihealing
はじめまして。早朝から失礼します。
つい、剣心が懐かしくブログを拝読させていただきました。

最近では、実写が話題になってましたね。

幕末を生きた偉人たちの名前を見て、銀魂では微妙に名前変えて登場していた偉人たちがいた事も思い出して、一人でクスリと笑ってしまいました。


わたしも、写真と同じ本持っていたけど、ブックオフに売ってしまったので、後悔してます。

朝から懐かしさに浸れてよかったです。
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